二松学舎大附vs成立学園
三口大当たり、二松学舎2年連続決勝進出
成立学園と二松学舎大附は、春季都大会の準々決勝でも対戦している。
この時は二松学舎大附のエース・大黒一之は投げていないとはいえ、7対2で成立学園が圧勝した。
この試合で、成立学園のエース、左腕の木寺凌世の名は、一気に広がった。
ただ、研究され、目が慣れることを考えると、多彩な変化球を駆使して投球を組み立てる木寺にとっては、二松学舎大附の強力打線と再戦することは、負担であることは確かだ。
1回表、二松学舎大附の攻撃は、2三振を含め三者凡退に倒れ、木寺は快調なスタートを切ったかに思えた。もっとも木寺は、打者3人に対して19球も投げており、じっくり見極められた感じだった。
2回表、二松学舎大附の猛攻は、成立学園の失策から始まった。
この回先頭の4番小峯瑛輔は捕手の前方、三塁寄りに高いフライを上げる。これを成立学園の捕手・大橋拓水と、猛然と前進してきた三塁手の藤谷耕平がぶつかりそうになり、双方捕れず、落球（記録は三塁手の失策）。さらに5番岡田浩輝の左前安打、6番秦匠太朗が四球で無死満塁。
それでも木寺は、7番今村大輝、8番大黒から続けて三振を奪った。
二死満塁となって、打席には1年生の三口英斗が入る。身長162センチと小柄な三口は、準々決勝ではスタメンから外れていたが、この試合で再びスタメン復帰。
内角高めの球を、全身をぶつけるように引っ張った打球は、右翼手の頭を越える、走者一掃の二塁打となり、二松学舎大附は、3点を先取した。
成立学園にとって3点リードされることは、かなりの負担。
落ち着きを取り戻せぬうちに、木寺が投げた初球を二松学舎大附・1番末松祐弥に打ち返され、右中間を破る三塁打となった。
さらに2番北本一樹の左前安打、3番竹原祐太のレフトへの痛烈な打球を、成立学園の左翼手・山崎詠史が必死に前進して捕球しようとしたが届かず、後ろにそれて、三塁打。続く4番小峯も内野安打で出塁し、この回、6安打で一挙7点を挙げた。
3回表にも三口、末松の安打などで1点を追加。
その裏成立学園は、死球で出た工藤一眞を、最も頼れる打者である1番岩成亮祐の中前適時打で還し、1点を入れる。さらに成立学園は二死後、2番布施大樹の左前安打、3番小山拳士郎の四球、4番藤谷の中前安打で1点を追加し、加えて5番大橋の中前安打で小山が生還し、1点を追加したかに思えた。しかし小山は三塁ベースを踏んでおらず、アピールプレーによりアウト。反撃もここまで。
7回表には、二松学舎大附の5番岡田が左翼スタンドに本塁打を放ち、コールドゲームが成立する7点差となった。
不動の5番打者であった秦を6番に下げるだけあり、岡田はこの日、本塁打を含む3安打。先制の走者一掃の二塁打を打った三口は、この日3安打。新戦力の起用がズバリと当たり、もともと東京屈指の強力打線であった二松学舎大附の戦力は一層パワーアップした。
二松学舎大附の決勝進出は、2年連続11回目。しかし、夏はまだ甲子園に行っていない。
昨年の口惜しさを知るメンバーと、三口や今村といった1年生が融合し、新たな歴史を刻むことができるか。実力のあるチームだけに、結果が注目される。
一方、敗れた成立学園は、春季大会はブロック予選から勝ち抜いて、都大会で優勝した。
全体的に体はそう大きくないが、戦う姿勢が素晴らしかった。ただ2回の7点が、あまりに大き過ぎたが、それが野球の怖さである。
（文＝大島裕史）
