小松原vs城北埼玉
キャプテンが先制し4番が決める!「小松原」最後のアツい夏はまだまだ続く!
埼玉大会6日目、[stadium]さいたま市営浦和球場[/stadium]で行われた3回戦の第2試合は、小松原と城北埼玉の対戦。どちらも2回戦からの登場で、小松原はふじみ野を終盤に得点、6対1で突きはなし勝利。城北埼玉は鴻巣との5対4の接戦を制し勝ち上がってきた。両校ともに夏はここしばらく、4回戦に進出していない。城北埼玉は勝てば2010年、92回大会以来の4回戦となる。その時は浦和学院という高い壁に敗れ去った。お互い気合十分の試合は、1点を争う展開となった。
1回表、小松原の攻撃。先頭の古川 友吉が初球を思いきり振りぬき打球を飛ばす。ライトフライでアウトにこそなったものの、チームを勢いづけ、鼓舞するようなキャプテンのファーストスイングに詰めかけた応援団も盛り上がりを見せる。
すると、そのスタンドに気を取られたわけではないだろうが、城北埼玉にミスが出る。2番・杉浦 理王が死球で出塁後、3番・坂本 悠斗の当たりは内野ゴロ。ダブルプレーを獲ろうとランナーを確認したが、ボールから目を放すのが一瞬早かった。手前でファンブルし、握れずにオールセーフ。4番・山島 尭彦は空振り三振でアウトにするものの、5番・簾内 拓馬が放ったのは高いバウンドの内野ゴロ。またも内野がグラブに当てるもののコントロールしきれずにエラー。二死ながら満塁のピンチを迎える。だが、ここは城北埼玉のエース・長岡 希世人の気迫が勝る。やや浮足立つ内野陣に対し明るい笑顔を見せて落ち着かせた後、続く6番・古屋 亮太をライトフライに打ち取りピンチを脱する。
しかし小松原の勢いはすぐには止まらなかった。2回、小松原は7番・大久保がライトへのヒットで出塁。バントで送った後、二死二塁から古川が今度は右中間を真っ二つに破るスリーベースを放ち、塁上からスタンドへ笑顔のガッツポーズ。小松原がキャプテンの一打で先制を果たす。
一方、早く同点に追いつきたい城北埼玉だったが、小松原先発、背番号11の2年生・大住 優斗の投球と堅い守備陣の前にチャンスを作ることが出来ない。
4回にはこの回先頭の長岡が自ら出塁。バントを成功させ初めてスコアリングポジションにランナーを進め、小松原ナインにじわりとプレッシャーを与えていく。
すると5回、一死から9番・新井 謙太がこの日2本目のヒットを放ち出塁。2番・伊藤 優もヒットで続く。3番・長岡は強い当たりをサードへ飛ばす。勢いよく飛んだ打球はファンブルを誘い、エラー。二死満塁となる。4回に続いてのピンチに、太田は続く打者との対戦の中、まさかのボークを取られ、思わぬ形で同点となる。
その後6回はよく鍛えられた守備で互いに得点を与えない。次の1点が大事なこの局面、試合を動かしたのは7回表、小松原だった。
この回先頭の9番・先発の大住が自らセンター前ヒットで出塁。続く1番・古川はライトフライ。2番・杉浦のバントは城北埼玉・長岡が強烈なダッシュ、手を伸ばしてフライに仕留め、二死一塁。嫌な空気が流れかけるが、3番・坂本が冷静に四球を選び、二死一、二塁で打順は4番・山島 尭彦。守備でギリギリの送球をさばき続ける活躍を見せるものの、初回のチャンスに空振り三振に倒れるなど、ここまでバットでは良い所なし。その男が、4番の仕事を果たす。レフトへのタイムリーツーベースを放ち、二塁上で両手を高々と掲げる。小松原が遂に勝ち越しに成功した。
9回にも古屋のスリーベース等で2点を追加した小松原が、粘る城北埼玉を最後はダブルプレーに打ち取りゲームセット。4対1で勝利を収めた。
ネクストバッターズサークルで最後まで強気な表情を浮かべていた長岡だったが、敗戦が決まった瞬間、あふれるものを堪えきれずしばらく立ち上がることが出来なかった。投手として、打者としてチームを引っ張り続けてきた。長岡だけではない。ここまで戦い抜き、そしてこの本気の激闘を見せた選手たち、スタンドで声を枯らしながら応援してきた部員たちに、[stadium]さいたま市営浦和球場[/stadium]にいた人々からは温かい拍手が送られた。
一方、勝利した小松原だが、実は来年度校舎を移転するにあたり、叡明高等学校と名前を変える。そのためこの大会は、小松原として挑む最後の夏。否応なしに気合が入る上に、堅守と明るさでチームを引っ張るキャプテンと、ここぞの仕事を果たす4番がいる。それぞれがしっかりと役割を果たし、チームの状態は良い。そんな小松原、次の4回戦は、浦和学院を倒した川口との対戦。注目を集めることは間違いない。「小松原」最後の熱い夏は、まだ続く。
(文=青木有実子)