船橋法典vs船橋古和釜
個性的な選手が揃う船橋法典
近藤真澄投手(船橋法典)
船橋同士の対決。両チームとも1年生の活躍が光ったが、船橋法典は2年後が楽しみな好チームだった。本気で取り組めば、このチームは強豪校を脅かす存在になるかもしれない。それだけ個々の能力が光る選手が多かった。
船橋法典の先発は近藤 真澄(1年)。身長はおそらく160センチ台。身のこなしの良さを見ると、内野手もできそうな選手と思っていたら、この夏は内野手としてベンチ入りしていた。身のこなしの良さ、体のバネの強さもある。小柄ではあるが、フォームは反動をつけて上半身を鋭く振り下ろすフォーム。まだ120キロ前後に見えたが、なかなか勢いがあり、スライダーのキレもよい。野球センスのある投手だ。体の力が付いてくると、上のレベルで活躍出来る可能性を持った投手だろう。
まず近藤が無失点で切り抜けると、1回裏、宮下 恭輔(1年)が左前安打を放つと、中継のモタツキをついて一気に二塁へ陥れる。2番秋葉の犠打で一死三塁とすると、3番斎藤 祥眞(2年)の右前適時打で先制。4番上田 峻太(2年)が右前安打を放ち、一死一、三塁。5番水谷が四球で歩き、6番一戸の犠飛で1点を追加し、2点を先制する。先発の近藤は2回以降は毎回ランナーを背負うが、粘り強い投球で5回無失点で降板した。
船橋古和釜のエース山口 信之(1年) は立ち上がりに2点を失ったものの、しり上がりに調子を上げていた。体格としては恵まれており、恵まれた体格から振り下ろす速球は中々の球威があり、調子を上げてからは初回に2点を取った船橋法典打線は山口の速球に振り遅れ、逆方向のファールが目立った。まだ下半身に硬さがあり、左腕でうまく壁を作れず、上半身を鋭く回旋できない投げ方になっている時があるものの、技術的にレベルアップできれば、彼も130キロ台を超える直球を投げられる素質は十分にもっているだろう。
宮下恭輔(船橋法典)
2対0のまま7回裏、一死から1番宮下の右前安打。宮下は盗塁を仕掛け、2番秋葉の左前安打の連打で一死一、三塁。さらに秋葉は盗塁を仕掛け、一死二、三塁の場面で、3番斎藤にバッテリーミスで1点を追加、斎藤が凡退し、4番上田の場面で再びバッテリーミスで2点を追加。さらに8回裏、二死二、三塁から1番宮下が直球を捉え、左中間を破る三塁打を放ち、2点を追加する。
宮下。なかなか良い選手だ。何より驚かされるのは脚力である。第1打席の相手の隙をついてからの二塁に陥れる走塁、第2打席でも三塁前へのセーフティバント。そして第4打席の右前安打、第5打席の左中間を破る三塁打。好打者ながらしっかりと振れて、ボールを強く叩くことができている。秋の時点ではなかなか振れている。足は一塁を蹴ってからの加速が素晴らしい左の好打者であった。ショート守備はやはりフットワークが良く、身のこなしが良い。とにかく打席に入ってからの積極性も良く、それが好結果につながっている。ぜひさらに高いレベルを目指して欲しい選手であった。
そして投げては6回登板する一塁手の一戸が長い腕から繰り出す角度ある速球を武器に4回無失点の好投。まだベースカバー、フィールディング、クイックで課題はあるが、角度良く決まったときの速球は見事。じっくりと鍛えて、化けて欲しい大型左腕候補であった。
6対0で船橋法典が勝利し、代表決定戦へコマを進めた。船橋法典は野球センスのある近藤と本格派左腕候補の一戸と二本柱、そして野手では1番宮下が面白く、個性的な選手が揃う。しっかりと方向性を定めて、強化していけば、船橋法典は間違いなく注目チームになりそうだ。
(文=河嶋宗一)