試合レポート

【春季東京都大会】互いに高め合った両チーム、創価の追い上げを東海大菅生・上原が気力の投球で抑え込む

2024.04.22


東海大菅生・上原慎之輔

【トーナメント表】 春季東京大会 結果一覧

<春季東京都高校野球大会:東海大菅生4-3創価>◇21日◇準々決勝◇スリーボンドスタジアム八王子

4回戦で、攻守にスキのない野球で勝ち上がった創価に対し、東海大菅生は、勝ちはしたものの、もどかしさが残る試合だった。しかし創価という強いチームと戦うことで、東海大菅生は何かスイッチが入ったような試合であった。

創価は、今大会本来の調子を取り戻した土居 賢士郎投手(3年)が先発した。土居は、1回、2回を無失点に抑えたものの、3回に東海大菅生打線につかまる。1死後、東海大菅生の先発投手でもある9番・川崎 稜太投手(2年)の中前安打に続き、1番・阪野 拓海内野手(3年)の二塁打、2番・小上防 登生外野手(2年)の中前安打、3番・高西 航輝内野手(3年)の二塁打とたたみかけ、一気に3点を先制した。創価の井路端 広明捕手(3年)は、「(東海大菅生は)2巡目で修正してきました。土居の球は悪くなかったです。2巡目も同じような入り方をして、持っていかれました」と語る。

東海大菅生の先発・川崎は球威があり、創価に安打は打たれないものの、制球が悪く、常に走者を背負った状況での投球になった。4回も四球を2つ出したところで、小島 葵投手(3年)に交代した。小島の代わりばなを創価の8番・藤岡 圭太外野手(3年)が右前安打を放ち、創価は1点を返した。川崎は3.1回を被安打0に抑えたが、四死球は6と荒れ、自責点は1となった。「川崎は流れが悪いので代えました。よく1点で終わりました。球1つ、1つはすごいのですが…」と東海大菅生の若林弘泰監督は言う。

一方、創価も4回からは、秋は主戦投手として活躍した森山 秀敏投手(3年)が登板した。今大会は登板が少なかった森山は、やや力みがあった。6回、東海大菅生は安打と2四死球で1死満塁とし、9番・小島の二ゴロで1人生還して1点を追加した。

4対1と3点をリードしたところで東海大菅生は、7回から左腕の上原 慎之輔投手(2年)を投入した。上原はこの回の先頭打者で、打撃もいい9番の森山をフルカウントから三振に仕留めると、創価の追撃は難しいように思われた。しかし、1番・大久保 悠輝外野手(3年)が二塁打を放ち、2番・井路端が内野安打で出塁し、4番・高橋 球児内野手(3年)が右中間を破る三塁打を放って創価が1点差に迫ると、試合は完全に分からなくなった。

9回も1番・大久保の二塁打と3番・田村 蓮太郎内野手(3年)の四球で2死一、二塁となり、前の打席で三塁打を放っている4番の高橋を迎える。高橋は2球目に二飛を打ち上げ、東海大菅生が1点差で辛くも逃げ切った。抑えた東海大菅生の上原は、「9回、ランナーが出て焦りがありました。最後も球が甘いところに行ってしまいました。普段は先発ですが、今日はいい経験になりました」と語る。

敗れた創価にしても、「菅生さんは素晴らしい。自分自身にとってもいい経験になりました。今日はやり切りましたが、これからです。粘り強くなってきました」と堀内尊法監督は語る。力のあるチーム同士が戦うことで、互いにスイッチが入り、さらに力を引き出せた好ゲームであった。東海大菅生の若林監督と昨年9月に就任した創価の堀内監督は、今回が初対決となったが、西東京の強豪として、今後も好勝負が繰り広げられそうな期待を抱かせる試合であった。

東海大菅生は、準決勝で関東大会出場と夏の西東京大会の第1シードをかけて日大鶴ヶ丘と戦う。「全力で勝ちに行きます」と若林監督は力を込めて語った。

【トーナメント表】 春季東京大会 結果一覧

この記事の執筆者: 大島 裕史

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