試合レポート

【春季東京大会一次予選】世田谷学園・エース・石橋が4回以降に立ち直って勝利を呼び込む

2024.03.22


石橋泰正(世田谷学園)

<春季東京都高校野球1次予選:世田谷学園7-2大森学園>◇17日◇1回戦◇都立府中工科グラウンド

強い風が吹き荒れる中で、世田谷学園大森学園の対決が始まった。

世田谷学園の先発はエースの石橋 泰正投手(3年)。肩を痛め、夏はベンチ入りできず、秋も短いイニングを投げただけだった。満を持して春の登板になるはずだったが、「先週マメがつぶれてしまいました」と石橋は言う。一方、大森学園は、石黒隼監督が「試合を作ってくれる」と安定感のある背番号10の藤井 柊斗投手(3年)が先発した。

先制したのは世田谷学園だった。2回、この回先頭で打撃もいい5番・石橋が左前安打で出塁すると犠打で二塁に進み、8番・中野 大輔の中前安打で生還した。

しかし、その裏大森学園は2死一、二塁から8番・廣井 泰士外野手(3年)の二塁打で1点を返し、同点に追いつく。

打線に力のある大森学園は、3回も2死から3番・荒川 圭吾外野手(3年)が二塁打を放ち、4番・佐藤 克の二ゴロは敵失となり、荒川が生還。大森学園が勝ち越した。

世田谷学園の石橋は序盤、苦しい投球が続いたが、リードされてから「力が抜けました」と石橋は言う。直球にも力があるが、カットボール、スライダー、スプリット、チェンジアップなど多彩な変化球を投げ分ける。4回以降は落ち着いた投球で大森学園の強力打線を抑え、安打は8回に1本打たれただけに抑える。

石橋が立ち直ると、打線に勢いが出る。5回は4番の坂本 勇希内野手(2年)が本塁打を放ち、同点に追いつく。

5回終了後のグラウンド整備が終わると、世田谷学園の攻撃が一気に勢いづく。6回、この回先頭の7番・犀川 遼捕手(2年)が二塁打で出塁すると、続く中野のバントは内野安打になる。中野が盗塁して無死二、三塁となって9番・野原 大快内野手(3年)の二塁打で世田谷学園が2点を勝ち越す。さらに2番・松下 卓飛内野手(3年)が三塁打を放って1点を追加する。

大森学園は秋の佼成学園戦も3回にビッグイニングを作られ敗れており、苦しい展開だ。ここで大森学園は藤井に代わり背番号1の冨谷 拓海投手を投入する。冨谷は以前なら二段モーションにされるフォームだが、この春から二段モーションは反則投球とならないことになっており、思う存分投げられる状態だ。6回のピンチを切り抜けると、7回、8回で奪三振4の無失点で抑える好投をみせる。

大森学園としては9回も抑えて勢いをつけたいところであったが、9回に3番・海老澤 遼人内野手(3年)が敵失で二塁に進むと、4番・坂本の二塁打で1点を追加。さらに失策が出てもう1点を追加して勝負は決まった。

9回裏は石橋が2三振を含めて三者凡退に抑えて、7対2で世田谷学園が勝った。

勝った世田谷学園の成瀬智監督は、「3日前までテストがあって、練習があまりできませんでしたが、自滅しないようにやろうと言って、試合に臨みました」と語る。エースの石橋は序盤に崩れかけたが、4回以降は立ち直り勝利を呼び込んだ。代表決定戦では都立練馬にも勝利して都大会出場を決めた。

大森学園は、秋は佼成学園に敗れ、公式戦は秋の2試合と春の1試合を経験しただけで夏の大会に臨むことになる。「くじ運のめぐり合わせもありますが、守備が乱れてしまっては。戦える選手にならないと」と語った。それでも、秋よりは確実に力をつけているが、力のあるチームに勝つには、まだ何かが足りないということだろう。都大会を経験できないまま夏を迎えることになる。ただ相手校にしてみれば、大森学園は情報のないチームとなる。それをいかにプラスとできるか。これからの練習にかかっている。

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この記事の執筆者: 大島 裕史

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