試合レポート

【東京春季大会一次予選】都立城東が追い上げる海城を何とか振り切って本大会進出を果たす

2024.03.21


城東・松尾颯祇

<春季東京都高校野球1次予選:都立城東9-5海城>◇20日◇代表決定戦◇成蹊学園

都立城東は過去、1999年と2001年夏に甲子園出場を果たしているが、2001年の甲子園出場の際に4番打者として活躍していたのが内田稔監督だ。その後も、ベスト4に進出するなど、東東京では21世紀枠でセンバツ出場を果たしている都立小山台や、03年夏に甲子園出場した都立雪谷などと並んで、都立の強豪として定着している存在だ。もっとも、昨秋は八王子実践に敗れて本大会進出を逃している。それだけに、今春の大会では、まずは本大会進出を果たしたいところであろう。1次予選の初戦では会場校の成蹊に9対2でコールド勝ちして、この代表決定戦に進出している。

その都立城東に挑む形になったのが、かつての海軍兵学校を目指す生徒たちの予備校として設立されたという歴史を汲む海城である。創立以来130年以上の歴史を有する男子校であり、難関大を目指す生徒たちからは人気の進学校でもある。新大久保駅からほど近い都心にある学校は、グラウンドも広くなく野球部活動という点からすれば、必ずしも恵まれた環境ではない。それでも、今大会では1回戦では都立五商を12対2のコールドゲームで下して代表決定戦へ進出してきた。

天気予報では、午後からは天気が崩れるようだということも告げられていたので、1試合目が早く終わったということもあって、予定よりかなり早くプレーボールとなった。途中、雨による10分ほどの中断はあったが、結果的には、本部のその判断は正解だったということになった。

この試合前の都立城東は、チーム状態としては、必ずしも万全ではない状態だということだった。それでも、初回には1番・田村が安打すると、すかさず盗塁を決め、さらに三塁まで進めて、4番・小関の左前打で先制。2回にも松尾、藤代が三塁打、二塁打と長打を連ねて、相手のバント処理ミスやバント安打に犠飛や相手失策も絡んで4点が入る。守っても3回には無死満塁から投手からの本塁併殺プレーで交わした。その回に1点は失ったものの、都立城東としては、いい形の前半だった。

先発した柳瀬投手は3回で外野へ回り、4回からはここまでマスクを被っていた松尾捕手がマウンドに立った。内田監督は「柳瀬も、もっと投げられていいはずなんですけれども、安定感があるので松尾に任せた形になった」というつもりで送り出した。

6回にも都立城東は1死から、松尾の安打に、二盗、三盗とかき回して、犠飛に9番・伊東陸の安打などで、さらにリードを広げた。このままいけば、コールドゲームの可能性もあるかなというところだったのだが、海城は7回に反撃する。この回先頭の6番・星が二塁打。暴投で三塁へ進むと、代打・山本が適時打。なおも一宮の左前打に失策なども重なって、この回に海城は3点を返した。海城の各打者は、思い切りよくスイングしてきているので、都立城東としても、安心はしていられないであろうという雰囲気になってきた。

それでも都立城東は、8回にも伊東ら下位打線がしぶとく打っていき、相手失策もあって2点を追加した。

しかし、海城も粘る。9回にはこの回先頭の、8番・一宮が懐に入ってきた松尾投手の球を思い切りよくスイングすると、右翼ポールを巻くようにして柵越え本塁打となった。飛ばないと言われている新基準バットでも、こういう形で本塁打になるんだ、と思わせてくれる一打だった。こうして、海城はリードされてもくい下がっていったが、都立城東バッテリーも、何とか粘る海城打線を交わして逃げ切った。

内田監督としては、「あまりいい状態ではない中で、それなりに良かったといっていいのではないかと思う。とにかく、本大会へ進めてよかった。多少は時間もあるので、次までには、いい状態にしておきます」と、2週間の間には、しっかりとチームを整えていくという心積もりを語っていた。

<関連記事>
【トーナメント表】東京都大会・ブロック予選の結果
春季東京大会は一次予選から面白い! 帝京・國學院久我山・八王子が登場! 注目カードをチェック!
【春季東京】帝京が予選から二年連続優勝を狙う!『このままじゃ学舎にも関東一にも勝てない!』冬場の猛練習で基礎を徹底!
春季東京都大会の激戦区をチェック! 日大二・共栄学園・國學院久我山の潰し合い、日大三・早大学院・佼成学園が集結、二松学舎大附vs.桐朋・森井翔太郎の対決は?夏のシード をかけた序盤戦に注目!
【トーナメント表】2023年秋季東京都大会 結果一覧
【東京】帝京、堀越など秋季都大会を逃した実力校たち

この記事の執筆者: 浦田 由紀夫

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.17

長野8強決定!松商学園、長野日大、東海大諏訪、佐久長聖などが勝ち上がる【2024夏の甲子園】

2024.07.17

【全国注目シード校・成績速報】神奈川では2校が4回戦で姿を消す、大阪、島根ではシードに明暗、昨夏初戦敗退の智辯和歌山はコールド勝ち【2024夏の甲子園】

2024.07.17

元営業マンの監督が率いる大阪学院大高が夏初戦、春初優勝の勢いを夏にぶつける!17日大阪大会【2024夏の甲子園】

2024.07.17

シード国士舘が過去5戦全敗の強敵・ノーシードの日大三に挑む!17日西東京大会【2024夏の甲子園】

2024.07.17

【全国ベスト8以上進出校一覧7・16】青森山田と八戸学院光星が8強入りし、準々決勝で対決!山梨、佐賀でも8強名乗り、北北海道では4強が決まる

2024.07.14

甲子園通算19度出場・享栄が初戦敗退 1点差でまさかの敗戦【2024夏の甲子園】

2024.07.13

四国の夏を盛り上げる逸材20名! 全国注目の四国BIG3から「東大野球部か医者か」の秀才、名門・池田の小さな大エースまで【逸材選手リスト】

2024.07.15

ノーシード・二松学舎大附が2戦連続で延長戦を制す【2024夏の甲子園】

2024.07.13

モイセエフ擁する豊川、初の夏の甲子園へ戦力向上中! カギは超高校級スラッガーの前、投手陣は急成長 センバツの雪辱をはたすか!?【注目チーム紹介】

2024.07.15

プロ注目153キロ右腕が3回戦で姿消す 好リリーフ見せるもあと1点及ばず【2024夏の甲子園・兵庫】

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」