試合レポート

進学校対決は、「恐るべき9番打者」の活躍で青稜に軍配!【東京春季大会一次予選】

2024.03.18


9回を投げ切った青稜・角投手

<春季東京都高校野球1次予選:青稜7-3早稲田>◇16日◇1回戦◇あきる野市民

早稲田は、早稲田大の直系の付属校ではないが、系属校という存在である。私立の進学校でもあり、必ずしも早稲田大進学ではなく、慶應義塾大も含めて幅広く進学していく、自由なイメージの学校ということでも知られている。来年には創立130周年を迎えるという伝統を誇る、中高一貫の男子校である。野球も、必ずしも強化としているというわけではないが、ユニホームは早稲田大と同じデザインのものを着用している。それだけでも、モチベーションは上がっていくであろう。

青稜は品川区にある中高一貫校で、難関大学進学に軸足を置いた教育方針ということで知られている。運動部に関しては、取り立てて強化していくという姿勢ではないようだ。とはいえ、当面の大会では、少しでもいい成績を残していきたいというのは、当事者たちとしては当然の思いであろう。群馬の強豪校・健大高崎や、東都大学リーグの立正大に似たような青を基調とした鮮やかなストライプの入ったユニホームのチームだ。

早稲田は初回、四球の走者をバントで進めると、3番・角田がイレギュラーバウンドのラッキーな内野安打で二塁走者をかえして先制する。

追いかける青稜も3回、9番・鈴木 総矢が右越え三塁打を放ち、1番・𠮷田がかえして同点とする。4回にはお互いに1点ずつ取り合い、5回に青稜が4番・西岡の二塁打から一、三塁として、重盗で1点リードをするが、すぐに早稲田も6回に四球の走者を盗塁で進めて相手失策も重なって同点とする。

こうして、お互いに細かく点を取り合いながら試合は進んでいった。

同点の6回、青稜は1番からの好打順で四球と安打で一、二塁として、失策で青稜が再びリード。さらに、5番・角が自らの右越え二塁打で突き放す。さらに青稜は8回に早稲田3人目の紙本投手に対して、鈴木 総矢の二塁打などで、さらに2点を追加して勝利を決定的とした。

鈴木 総矢は、9番打者ながら、この日は4打数3安打1犠打。しかも、安打は二塁打2本に三塁打1本と長打3本で、右方向と左中間へと打ち分けていた。しかも、ベースランニングも巧みで、恐るべき9番打者ぶりを示したといっていいだろう。

青稜先発の角 奏太郎投手は途中崩れそうになりながらも、何とか凌いで9回を投げ切った。6安打8四死球で3失点という内容は、よく粘った投球と評価してもいい内容だった。

今季で監督就任4年目となる南亮介監督は、「場数をそれほど踏んでいないのですが、落ち着いてよく投げてくれたと思います」と、角投手を評価した。普段は、テニスコート程度しかないグラウンドで、いろいろと工夫しながら練習しているという青稜。「本大会に進出して、何とか存在をアピールしたい」という思いも強い。代表決定戦へ向けては、いい流れになったのではないだろうかと思わせる、この日の戦いぶりだった。

この記事の執筆者: 手束 仁

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