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春夏4度の全国制覇・門馬敬治監督(創志学園)が聖地へカムバック! 東海大相模時代の「打ちのめされ続けた日々」

2024.01.27


創志学園・門馬敬治監督

26日に選抜高校野球大会の出場校を決める選考委員会が開かれ、創志学園高校(岡山)の出場が決まった。指揮を執る門馬 敬治監督は、2022年8月に就任して以降、初の甲子園となる。かつて東海大相模(神奈川)の監督として名を馳せた男が、再び聖地へと帰ってくる。

春夏合わせ4度の全国制覇、甲子園通算30勝を挙げた実績を持つ門馬監督。この輝かしいキャリアの裏には、苦悩や葛藤の連続があった。名将と呼ばれるに至るまでの道のりはいかなるものなのか。現在の礎ともなった東海大相模時代の経験を、本人のインタビューをもとに振り返る。
(インタビュー初掲2023年7月11日)

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名将にも、壁を打ち破ることができなかった苦しい時代があった。1999年に29歳で東海大相模の監督に就任し、翌2000年にいきなりセンバツ優勝。華々しく監督としてのキャリアをスタートさせたかに見えたが、その後は夏の壁に何度もはね返された。

ライバルの横浜など、レベルの高い神奈川県の強豪の前に何度も苦汁を味わい、特に2006年から2008年の3年間、夏はすべて県大会決勝で敗戦した。2010年に学校として33年ぶりの夏の甲子園出場を決め、甲子園準優勝を果たすまでは、厳しい声も聞かれる中で選手と向き合ってきた。

苦しみとどのように向き合い、 そしていかにして壁を打ち破っていったのか。打ちのめされ続けた30代を振り返り、その心の内を以下のように説明した。

周りの力があってここまでたどり着いた

門馬監督——今ここで監督をやらせてもらってるってこと、そして、その後に夏の甲子園にも行ったことを考えれば、(壁を)乗り越えられたんだと思うんですね。乗り越えたから、今ここにあるんだと思います。でも乗り越えたという実感も、根拠も、今考えれば何もないんです。ただ、ひたすら毎日を生きてました。

批判という言葉が当てはまるかどうか分かりません。でも、やっぱり東海大相模という学校には勝つという使命がある。その一つ一つの言葉というのは、勝ちたいから出た言葉だと思うんですよ。色んな人が相模が勝つ、勝って欲しいと思っている。だからこそ出た言葉で、これを批判と受け止めるのか、有難い言葉として受け止めるのか。当時の僕には、有難い言葉と受け止めるだけの器が、器量がなかったです。だから苦しかった。

僕はいつも勝った試合は覚えてないけど、負けた試合はよく覚えてる。僕だけじゃなくて、 選手も辛かったと思うし、相模を支える人たちも辛かっただろうし、悔しかっただろうし。そして、僕の家族も苦しかったと思いますよ。

でも後ろを向かずに、苦しいけど前へ一歩踏み出せる周りの力があったから、今ここまでたどり着いたんだなと思います。

色んな経験じゃなくて本気の経験

もっとこうすれば良かったと思うことは、いっぱいありますよ。もう、全てじゃないかな。

だから僕が成功か、失敗かじゃなくて、選手が成功だったと思えばそれが答えだし、失敗だったと思えば失敗だし。人間って全ては相手が判断するわけじゃないですか。この世の中は人間関係で成り立ってるから、相手がどう感じるかがもう全てですよね。

今となっては言わないでしょうけど、何十年か経った時に「監督、あの言葉はきつかったですよ」って言われたら、何十年もその言葉を引きずってたってわけですよ。その言葉を僕らが残してはいけないし、「あの時こうあったから良かった」と選手に言ってもらえるような言葉を作り出していかないといけない。

多分キーワードは「本気」だと思います。

もうこれ以外はないと思う。本気でぶつかっていったら、何か見えてくるものがあるのかもしれない。勝ち負けはもちろんあるし、上手くいかないこともあると思いますが、本気の失敗をしたら、失敗なんてないと思うんですよ。いい加減にやって上手くいったことよりも、本気で上手くいかなかったことを積み重ねた方が、多分力になると思うんですよね。

この世に「本気」を調べる物差しはありません。本気を知っているのは、自分自身だけだと思います。この「本気の基準」をどれだけ高められていくか。

トライして上手くいかなくても、すごく力になるし、財産になると思います。みんな途中で、ダメだって逃げちゃうじゃないですか、諦めちゃうじゃないですか。でも、とことん、「まだだ」「まだだ」ってやり続けられる人って、多分強くなるんじゃないかなって。

色んな経験じゃなくて本気の経験。

色んな状況の中で見つけるものじゃなくて、本気の取り組みから見つける答えが、結果が、本物になっていく気がするんですね。

(記事:栗崎 祐太朗)

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この記事の執筆者: 栗崎 祐太朗

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