昆野 太晴(白鴎大足利) 148キロ右腕の強みと課題を分析<2024年のヒーロー候補たち⑫>
昆野 太晴(白鴎大足利)
今秋の栃木県大会で最速148キロをマークした速球派右腕・昆野 太晴投手(白鴎大足利)。投打ともに将来性が高く、プロのスカウトから注目されている。来夏までドラフト候補として注目を浴びる存在になるだろう。
やはり武器はストレート。栃木県大会では140キロ後半の速球で圧倒する投球だった。
しかし関東大会・中央学院戦(千葉)では、常時135キロ〜140キロと、マックス時と比べると物足りなさが残る。昆野は「調子は確かに良くなかったです。フォームの中でハマった感覚がなかったんです」と振り返る。
夏までの最速は142キロ。新チームからウエイト、スクワットの頻度を増やし、肉体改造に成功。そして投球フォームでも足の上げ方を変え、「腕だけで投げている感覚だったのを、下半身で力が溜まっている感覚で投げられるようになってから変わりました」と自分に合った感覚を身につけてきた。
昆野は試合前から強めにキャッチボールする頻度が多い。昆野は「自分にはスタミナがないので、キャッチボールを多めに投げてスタミナをつけることを意識しています」と語る。自分の課題を理解しているようだ。
昆野の投球を見て気になったのが、やはり角度があるとか、ホップするような軌道を持った投手ではないこと。打者に平面的に入っていくため、しっかりと腕を振ったボールを思い切り振り抜かれている。
打者にフルスイングをさせない投球術を身につけることも重要。まだ「投げたがり」な感じが見受けられる。
打者としてはとにかく思い切り良く振っていく姿勢が見られ、スイングスピードも速い。潜在能力の高さは感じられるが、投手と比べると技術的には粗い。
この秋は高校生としては一級品のスピードボールを投げ込めるまでに成長したが、それをコンスタントに投げられる技術、体力、スピードを身につけたい。ミート力が高い打者が揃う打線を抑えるためには必須だ。まだ高卒プロを目指すには課題は多い。ただ、1つずつその課題を潰していけば、来夏には別人のような投球を見せる可能性を持った投手である。このオフでどれだけ自分に向き合って、レベルアップができるか。来春には進化した姿を楽しみにしていきたい。
昆野 太晴投手
右投げ右打ち
仙台伊達リトルシニア出身
180センチ80キロ
【経歴】
2年夏では主に5番レフトで出場し、敗れた作新学院戦では4打数3安打の活躍。2年秋から投手に専念し、エースとして県大会準優勝を果たし、関東大会出場に導く。