佐宗翼(星稜)、神宮大会優勝エースは甲子園で無失点継続中! センバツでも快投に期待<2024年のヒーロー候補たち①>
佐宗 翼(星稜)
【高校野球ドットコム注目選手ファイル】
石川県高校野球の名門、星稜に将来性豊かな左腕がいる。最速143キロの佐宗 翼投手(2年)。1年の春季大会準々決勝で公式戦デビューすると、いきなり5回無安打5三振無失点の快投を演じた。今秋の石川大会、北信越大会と実力を発揮して、明治神宮大会に出場すると、チームを32年ぶりの優勝へと導いた。
決勝の作新学院(関東)戦に成長の跡が詰まっていた。
フォームは独特と言っていい。右肩が打者の方向を向いたまま、腰から下だけを後方にねじるようにテークバックし、一気にリリースする。右肩が開かないように意識されたフォームは、左腕の出所を打者から見えにくくし、タイミングを図りにくくしている。ややスリークォーター気味で、元ダイエー(現・ソフトバンク)の守護神として活躍した三瀬 幸司氏(現・中日スカウト)の現役時代に似ている。
腕を一定の速度で振り切っている。そこに、速球、ツーシーム、スライダー、カーブ、チェンジアップと多彩な変化球を駆使する。腕の出所が見にくく、どの球種でも腕の振りが変わらない。打者からすれば、打ちにくいことこの上ない。
作新学院の左打者に仕事をさせなかった。特に1番の小森 一誠外野手(2年)、3番の小川 亜怜外野手(1年)を4打数無安打に抑えた。内角への直球、ツーシームと、外角へのスライダーをコーナーに投げ分けて打ち取った。クレバーな投球だった。
マウンド経験も豊富だ。星稜中3年時には、軟式野球の全国大会で春夏連覇を達成するなど、全国的にも有名な左腕だった。1年夏には甲子園デビューを果たし、初戦敗退のなか、1回を無失点に抑えた。2年夏も甲子園を経験。チームは初戦敗退したが、2番手で4.2回を無失点に抑えた。甲子園では、無失点を継続中である。
中学、高校で「日本一」を経験したエリート左腕。出場が有力とされる来年春のセンバツで、聖地での日本一をつかみに行く。
星稜・佐宗 翼投手
【経歴】
177センチ、73キロ
星稜中(軟式)出身。
中学3年時には全日本春季軟式野球大会と全日本夏季軟式野球大会の「春夏連続」で全国優勝を経験。
【寸評】
独特なフォームでスリークォーター気味の左腕。明治神宮大会でマークした143キロが最速で、カーブ、スライダー、チェンジアップ、ツーシームを操る。
【実績】
1年春 春季石川大会準々決勝で公式戦デビューし、5回を無安打無失点
1年夏 石川大会1試合1回無失点、甲子園で1回を無失点
1年秋 石川大会3試合先発で防御率1.29。北信越大会では初戦先発も4.0回1失点
2年春 北信越大会で救援、3.1回3失点
2年夏 石川大会4試合登板(先発1)防御率1.80、甲子園1試合4.2回無失点
2年秋 石川大会4試合登板(先発1)防御率1.86。19.1回を投げて21奪三振。
北信越大会では準決勝に先発し7者連続を含む10奪三振をマークして1失点完投勝利。計2試合の防御率は0.77。
明治神宮大会では3試合に登板(先発2)し防御率2.84。決勝では1失点完投勝利