髙橋 宏斗(中京大中京ー中日)、コロナに泣いた右腕が最も輝いていたあの秋<思い出の明治神宮大会>
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髙橋 宏斗
中日の若き右腕、髙橋 宏斗投手(中京大中京出身)が来季の飛躍に向け、秋季キャンプで汗を流している。今季は25試合すべて先発で登板し、7勝11敗。打線の援護に恵まれず勝ち星こそあまりつかなかったが、規定投球回に達し、奪三振145、防御率2.53の好成績を収めた。最速158キロの速球を武器に未来のエースになるべく、レベルアップに務めている。
髙橋は中京大中京(愛知)時代、新型コロナの影響で甲子園大会が春夏ともに中止となった2020年に3年生を迎えた。不運な世代ではあるが、髙橋が高校時代にもっとも輝いていた大会が、2年秋の明治神宮大会だった。
2019年秋、エースとして愛知大会、東海大会で優勝を果たし、明治神宮大会でもチーム初の優勝に導いた。髙橋は初戦の明徳義塾(四国)戦で先発し、7回4安打無失点でコールド勝ちを呼び込んだ。奪三振は10を数え、敵将・馬淵史郎監督も脱帽する圧巻の投球だった。
準決勝の天理(近畿)戦では4対6の6回からリリーフ。3失点は許したが、チームのサヨナラ勝ちに貢献した。決勝の健大高崎(関東)戦では、1点リードで迎えた6回からリリーフすると、4回を無安打1四球無失点に封じ込んで逃げ切りに成功。チームに優勝をもたらした。
翌年、もしコロナが流行せず、普通に春夏の甲子園が開催されていたとすれば、髙橋は聖地のマウンドでもっと輝きを放ったはずだ。新たな伝説が生まれていたかもしれない。まさに「失われた甲子園」に泣いた右腕だった。
2020年秋、ドラフトで中日から1位で指名された。甲子園での交流戦で智辯学園(奈良)に勝利したこともあるが、やはり前年秋の明治神宮大会での実績が高く評価された。この神宮での活躍がなければ、今の髙橋はなかった。そう言っても過言ではないだろう。プロ初勝利は神宮でのヤクルト戦でマークした。それも偶然ではなかったような気がする。
23年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の侍メンバーにも入った。世界一も経験した右腕は、中日のエースのみならず、これから日本のプロ野球を背負う「エース」に向かって突き進んでいくだろう。