試合レポート

【近畿】京都国際がサヨナラ勝ちでセンバツ有力!中崎の好投に1 年生の清水が応える(秋季地区大会)

2023.10.30


<秋季近畿地区高校野球大会:京都国際1-0近江>♢29日♢準々決勝♢大阪シティ信用金庫スタジアム

京都2位の京都国際が滋賀1位の近江を下して4強に進出。3年ぶり2回目のセンバツ出場へ大きく前進した。
この2校には縁がある。22年のセンバツ出場が決まっていた京都国際が大会直前に新型コロナウイルスの感染者が多数出たことにより出場を辞退。代わりに補欠校1位の近江が出場して準優勝という快挙を成し遂げ
た。
その年の6月には近江の多賀章仁監督の呼びかけもあり、両校の練習試合が実現。「近江高校さんと練習試合をさせて頂いたことでチームをまた1つ成長させて頂いた」と京都国際の小牧憲継監督は多賀監督の配慮に感謝していた。
甲子園を懸けた一戦はハイレベルな投手戦となる。初戦の興國(大阪)戦で76球完封勝利を収めた近江先発の西山 恒誠投手(2年)は「ストレートとスライダーを低めに制球できていました」と安定感抜群の投球を披露。8回まで4安打1四球で無失点に抑え、球数も94球と前回ほどではないものの、少ない球数でスコアボードに0を並べ続けた。

対する京都国際先発の中崎 琉生投手(2年)も「丁寧に低めを突くことを意識して、球速より球の質にこだわって回転などを意識して投げていました」と要所で制球力の高さを見せつける。7安打を浴びながらも粘り強い投球で近江に本塁を踏ませず、7奪三振無四球無失点で9回を投げ抜いた。
試合は0対0のまま9回裏に突入。京都国際は先頭の3 番・髙岸 栄太郎外野手(2年)が中前安打で出塁すると、4 番・服部 颯舞内野手(2年)が犠打を決めて、1死二塁と、一打サヨナラのチャンスを作る。
ここで打席に立つのは5 番・清水 詩太内野手(1年)。小牧監督はタイムをとって、「初球から振れ」と伝令を送ろうとしたが、タイムを取ろうとする京都国際ベンチに選手も審判も気づかず、プレーは続行される。だが、言われなくても清水はそれを分かっていた。「ストライクは全部振っていこうと思っていました」と初球のスライダーを捉えると、打球は遊撃手の頭上を越える左前安打となり、髙岸が生還。劇的なサヨナラ勝ちで京都国際が勝利をつかんだ。
「本当に苦しかったですけど、中崎が粘って投げてくれました。打てないのは覚悟していましたけど、最後に清水が腹をくくって初球から振ってくれたと思います」と小牧監督は投打のヒーローを称えた。
ここ数年で甲子園常連校になりつつあったが、今年は春夏ともに出場ならず。「京都国際として3季連続で甲子園を逃すわけにはいかない」と小牧監督は選手に発破をかけ、新チーム結成当初はそれが空回りしていたそうだが、試合を重ねるごとに成長して指揮官の期待に応えてみせた。
準決勝では秋の近畿大会3連覇を目指す大阪桐蔭と対戦する。「次の一戦に向けて全員で調整していけたらと思います」と主将の中崎は意気込んでいた。

この記事の執筆者: 鎌田 光津希

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