【九州】明豊8強入り! 「甲子園の惜敗から学んだ積極策」で9回逆転〈秋季地区大会〉
的場航輝(明豊)※写真は過去の取材より
<秋季九州地区高校野球大会:明豊8-7海星>◇29日◇1回戦◇小郡
中盤から終盤にかけて互いに点の取り合いとなったゲームは、最後に「賭け」に出た川崎絢平監督の采配が奏功して、明豊(大分)が海星(長崎)に逆転勝ちした。
序盤は静かな立ち上がりだったが、3回に明豊が1点を先制すると、互いに点数を取り合う展開になった。6対6で迎えた8回。海星の9番・陣内 優翔投手(1年)が左翼芝生席へ勝ち越しとなるソロを放った。6回途中から2番手としてマウンドに上がった陣内は、8回まで明豊打線に追加点を与えない好投を見せていた。細身の体のどこにそんなパワーがあるのかと思わせる打球で勝利を手繰り寄せたと思われた。しかし、明豊の勝利への執念がその流れをひっくり返した。
1点ビハインドで迎えた9回、明豊がその陣内に襲い掛かる。先頭打者が四球で出塁すると、川崎監督は1番・木村 留偉外野手(2年)に犠打のサインを出さなかった。1点ビハインドの9回ならバントで送るのがセオリー。川崎監督はこう説明した。
「今年夏の甲子園でタイブレークの末に悔しいサヨナラ負けをしていた。あの(9回の)場面、バントで送って1点を取りに行って同点で終わったらタイブレークになる。タイブレークはいやなので、2点を取りに行くことを考えた」
木村がベンチの期待に応えて左前安打で続くと、無死一、二塁から、2番の髙木 真心外野手(2年)には、セーフティーバントのサインを出した。「うまく転がればあいつの足ならセーフになる」(川崎監督)。ここでもベンチの期待通りに髙木が三塁線に絶妙なバントを転がしセーフに。無死満塁の最高のチャンスを作り、その後、押し出しと犠飛で2点を奪った。一気に畳みかけるベンチの思惑通りに逆転に成功し勝利した。
同点に追いつく押し出しの四球を選んで、ガッツポーズした4番の的場 航輝内野手(2年)は「自分で決めたいという気持ちより、後ろを信じて打席に入った結果だと思います」と胸を張った。夏の悔しさを生かした戦いで九州大会1勝して8強入りした明豊。準優勝した21年以来となるセンバツの舞台に大きく前進するまで、あと1勝とした。