【近畿】40年ぶり出場の耐久が3季連続甲子園出場中の社に逆転勝ち! <秋季地区大会>
<秋季近畿大会:耐久5-4社>◇28日◇1回戦◇大阪シティ信用金庫スタジアム
40年ぶり出場の和歌山1位・耐久が3季連続出場中の兵庫3位・社を接戦の末に破った。
耐久は躍進の立役者となった最速142キロ右腕の冷水孝輔投手(2年)を先発に立てるが、「序盤は会場に呑まれたというか、自分らしさはあまり出せなかった」と苦戦を強いられる。
2回裏に1死二、三塁から7番・竹田鈴之介内野手(2年)に中前適時打を浴びて1点を先制されると、3回裏には2死一、三塁から重盗を狙った一塁走者の挟殺プレーの間に送球を受けた一塁手が落球。記録は失策となり、その間に三塁走者が生還して追加点を奪われた。
序盤は流れを掴めなかった耐久だが、4回表に2死満塁から6番・川合晶翔捕手(2年)が三遊間を破る左前2点適時打を放ち、同点とする。すると、冷水も本来の調子を取り戻し、4回、5回と得点圏に走者を背負いながらも持ち前の粘り強い投球で社に得点を与えない。
しかし、相手は試合巧者の社。6回裏に先頭の竹田がライト線への二塁打で出塁すると、8番・竹岡政翔内野手(2年)の内野ゴロの間に三塁へ進む。ここで9番・黒田猛虎内野手(2年)が高いバウンドのゴロを放つと、遊撃への適時内野安打となり、社が再び勝ち越しに成功した。
それでも耐久は「ずっと最少失点で切り抜けられた」(伊原正善監督)と1イニングに複数失点を許さず、1点ビハインドで粘ったまま終盤に持ち込んだ。
8回表の耐久は1死から1番・堀端朔外野手(2年)、2番・赤山侑斗内野手(2年)の連打でチャンスを作ると、3番・澤剣太郎内野手(2年)も四球を選んで1死満塁とする。ここで打席に立つのは4番の岡川翔建外野手(2年)。「甘かったので、しっかり振り抜けたと思います」と3ボール1ストライクからのストレートを捉えると、打球は中堅手の頭上を越える。走者一掃の3点適時二塁打となり、耐久が逆転に成功した。
2点を追う展開となった社も4季連続の甲子園出場を目指して9回裏に意地を見せる。1死から連打で一、三塁のチャンスを作ると、竹田の中犠飛で1点差に迫った。さらにその後、2死一、三塁となり、社は代走で出場した一塁走者の村田篤哉内野手(2年)が1ボール2ストライクからスタートを切る。村田は一、二塁間で挟まれるが、その間に三塁走者の戸田陸翔外野手(2年)が本塁を狙った。しかし、戸田が生還するよりも村田がタッチアウトになる方がわずかに早く得点は認められず。間一髪の攻防を制した耐久が勝利を掴んだ。
「全員で踏ん張って一つ勝てたというのは大きな財産になると思います」と誇らしげに語った井原監督。1852年創立の伝統校はその名の通り耐え忍んで大きな1勝を掴んだ。
162球の熱投で完投勝利を収めた冷水は「甲子園にだいぶ近づけたと思ったので、その嬉しさで少し涙が出ました」と嬉し泣き。センバツを懸けた準々決勝は連戦となるが、「あと一つ全員で勝って、甲子園を決めたいと思います」と春夏通じて初の甲子園出場に意欲を見せた。
取材・文=馬場 遼