試合レポート

【東海】豊川、コールド発進で10年ぶりのセンバツへ好スタート!〈秋季東海大会〉

2023.10.22


豊川・モイセエフ君

<秋季東海地区高校野球大会:豊川7ー0神村学園伊賀(7回コールド)>◇21日◇1回戦◇長良川
この秋の豊川(愛知)は、東海地区大会で準優勝を果たしてセンバツ出場を手中にした2013年秋以来の充実ぶりを示しているとも言われている。今秋の県大会も、その時以来となる準優勝を果たして、東海地区大会へ進出した。県大会決勝では愛工大名電に敗れはしたものの、攻守にバランスの取れたチームとして仕上がっていると定評がある。

対する神村学園伊賀(三重)は創部4年目。立命館大出身で28歳と若い谷口哲監督が率いるが、「やらされる野球ではなく、自ら取り組んでいく野球」という姿勢を前面に打ち出している。鹿児島県の神村学園では女子野球部の創成期からの存在でもあり、男子も創部早々の2005年春にセンバツ甲子園で準優勝を果たすなどの実績もある。女子駅伝やサッカーなどの他の部も実績を上げているスポーツ校の系列校でもあることでも興味深い。三重県大会では津田学園海星近大高専といった力のあるところに競り勝ってきて、自信を深めてきている。登録メンバー14人という中で、三重県大会を勝ち上がって東海大会への進出を果たしている。

豊川は、走者は出すものの何となく抑えていくということが持ち味だという背番号10の鈴木 爽太投手(2年)が先発。神村学園伊賀は田中 琉心投手(2年)が先発だった。神村学園伊賀としては、いい流れで戦っていくためには継投のタイミングも1つのポイントになるのではないかと思われた。

先制したのは豊川で2回、右前打の北田 真心内野手(1年)を置いて6番・鈴木 貫太内野手(2年)が二塁打を放ってかえす。さらに、2つの四球などで満塁になって、内野ゴロの間に三塁走者がかえって2点目。そのまま試合は、いくらか淡々と進み、鈴木投手は走者は出すものの後続はしっかりと抑えていくという、彼本来の投球でもある。こうして、3回以降は3者凡退はないもののしっかり0に抑えてリードをキープしていく。ただ、豊川も追加点機を迎えつつも、あと1本が出ないで、いくらか歯がゆい展開になっていきそうなところでもあった。

そんな中で5回に、神村学園伊賀の谷口哲監督は予定通りに投手と中堅手を入れ替え、水谷 颯投手(2年)がマウンドに上がる。
豊川は6回、1死から下位の2本の内野安打とバントで2死二、三塁として、1番・林 優翔外野手(1年)が中越え二塁打を放って2人をかえして貴重な追加点を挙げる。さらに、死球で一、二塁となったところで神村学園伊賀のマウンドは3人目として、今度は右翼手の伊藤 大晟投手(2年)が登板。

何とか凌ぎたいところだったが、3番・モイセエフ ニキータ外野手(2年)はファウルで粘った後に、内角高めの直球をしっかりと捉えて右翼席に3ランを放り込んだ。モイセエフ本人も、「ここで本塁打が出たら7点差になるし、コールドになるので、自分が決めてやるという思いで打席に立っていた」ということだったが、その思い通りに打った瞬間に「入ったかな」と思える会心の一打だった。

そして、7回の豊川の守りは、鈴木投手が3者三振という力投を見せてしっかりと0に抑えてそのままコールドゲームとした。

豊川の長谷川裕記監督は、「投手が最少失点に抑えて、打つべき選手が打つということでいえば、いい形の試合だったといえると思います」と、会心の勝利だったという思いはあったようだ。それでも、「9イニングの中で、どうやって勝ちのパターンを作っていくのかということでいえば、中盤で三塁盗塁などを仕掛けたところで決められなかったり、無死で走者が出ても併殺打になってしまったりというところでは反省点もあります」と、貪欲にさらなる上を目指していく姿勢を示していた。
取材・文=手束 仁

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この記事の執筆者: 田中 裕毅

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