試合レポート

【国体】神村学園、地元開催で優勝ならず、北海が甲子園のリベンジ果たす

2023.10.10


<かごしま国体高校野球:北海4-1神村学園>◇9日◇1回戦◇平和リース

午前8時半開始予定だった試合が、雨のため4時間遅れてのプレーボールとなった。北海(北海道)と神村学園(鹿児島)は夏の甲子園3回戦でも対戦し、このときは神村学園が10対4で勝っており、北海にとっては雪辱戦だった。秋季北海道大会と重なっていたため、平川敦監督や2年生の主力が欠場。立島達直部長が指揮をして、3年生中心のメンバー15人で雪辱戦に挑んだ。

北海熊谷 陽輝投手(3年)、神村学園・松永 優斗投手(3年)、両先発右腕を中心に1点を争う緊迫した展開となった。

熊谷は130キロ台後半の球威で押す投球が冴えた。松永は時折、球が高めに抜けて四球を出す場面もあったが、外角低めを中心とした出し入れで北海打線に的を絞らせず、5回2死まで無安打。5回までは両者無得点だった。

均衡が破れたのは6回だった。

1死から神村学園の4番・正林 輝大外野手(2年)が右翼席へ弾丸ライナーで飛び込むソロ本塁打を放って先制した。

その裏、北海も粘って2つの四球を選び、1死一、二塁となったところで、神村学園は左腕エース・黒木 陽琉投手(3年)をマウンドへ。2死となったが7番・堀田 晄大外野手(3年)が初球を振り抜いて右中間に運ぶ三塁打となり、逆転に成功した。

8回2死から神村学園は3番手・松元 涼馬投手(3年)を送ったが、連続四死球で一、二塁のピンチを招く。再び左翼から黒木がリリーフでマウンドへ。北海は9番・谷 亮汰内野手(3年)が、6回の堀田と同じく右中間を深々と破り、貴重なダメ押しの2点適時三塁打となった。

8回途中からリリーフした3番手・岡田 彗斗投手(3年)が9回を無失点で切り抜け、北海が夏の甲子園の雪辱を果たした。

夏の甲子園で果たせなかった「日本一」を地元国体で目指した神村学園だったが、無念の初戦敗退。小田大介監督は「とるべき点がとれず、守るべきところを踏ん張れず、負けるべくして負けた」と振り返った。

攻撃ではチームの掲げる「つなぐ野球」ができなかった。5、6回はバント失敗で好機を広げられず、8回1死一、二塁の好機は併殺で潰えた。守備では6、8回と四死球で走者がたまったところで、エース黒木をリリーフで送ったがいずれも打たれた。夏の甲子園で4強入りした「必勝パターン」が要所で機能しなかった。

「積み上げていくのは時間がかかるけど、壊れるのは一瞬だった」と主将の今岡 歩夢内野手(3年)が悔しがる。昨秋は九州大会初戦で大分商(大分)に惨敗し「神村史上最弱の世代」と厳しい言葉を浴びせられ、今春は県大会準々決勝で樟南に延長戦でサヨナラ負け。そこから3年生を中心に意識が変わり、左腕・黒木の台頭もあり、夏の鹿児島を制して、神村史上初となる夏の甲子園4強入りを果たした。「1人の力じゃない。多くの人に支えられてここまで来ることができた。3年生には感謝しかない」と小田監督は3年生を称えた。

3年間の様々な思い出が詰まった平和リース球場で、高校野球の最後の公式戦を迎え、最後の打者が自分だったことに今岡歩主将は「意味がある」と言う。「まだまだ力が足りないということ。大学で力をつけてプロ野球選手になりたい」と、この敗戦を自分にとっての「新しいスタートにする」と言い切った。

取材=政純一郎

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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