試合レポート

【埼玉】2回戦 市立川越 vs 川越東

2023.09.19


SCORE
市立川越
川越東
1234567891011121314
0 2 0 0 0 0
1 1 1 5 2 2x
TOTAL
2
12

川越ダービーは川越東が市立川越を6回コールドで下し県大会へ!

飯能市民球場の第2試合は今夏ベスト4の川越東vs今夏ベスト16の市立川越という川越ダービーが地区大会で実現。この日の試合は西部地区のみだったこともあり、他地区の偵察部隊がズラリと並んだ。

先発は今春主戦で投げていた川越東・宮城勇輔(2年)、一方の市立川越・奥平竜晟(2年)も今春上尾戦で好投したり、今夏も先発経験がある。共に実績十分な2人のエース左腕が登板し試合が始まる。ただし、奥平は全国的に蔓延しているインフルエンザにより直前の復帰。川越東もインフルエンザにより複数名のメンバーの変更を余儀なくされた。

先制したのは川越東であった。

川越東は初回、市立川越・奥平の立ち上がりを攻め、先頭の河井大悟(2年)がレフト前ヒットで出塁すると、続く山根大典(2年)との所で川越東ベンチはエンドランを仕掛ける。山根はショートゴロに倒れるも一死二塁とする。二死後、4番・上野航平(2年)がライト前ヒットを放つとライトのポジショニングが悪くタイムリー三塁打となる。川越東が幸先良く1点を先制する。

だが、市立川越もすぐに反撃を開始する。

この回先頭の井手大馳(2年)が一塁線を破る二塁打を放ち出塁すると、続く玉井桜太(1年)の送りバントに対しサードが一塁へ悪送球を放りまず1点、さらに無死二塁から続く大澤楓(2年)がレフト前タイムリーを放ち逆転に成功する。

逆転を許した川越東はその裏、一死から笹尾拓海(2年)が左中間へ三塁打を放ち出塁すると、続く西澤陸(2年)がレフト前タイムリーを放ちすぐに2対2の同点とする。

川越東は3回裏にも先頭の河井が四球を選び出塁すると、続く山根も四球を選び無死一、二塁とする。さらに続く篠原隆寛(2年)の所で相手のワイルドピッチにより無死二、三塁とチャンスが広がると、篠原の内野ゴロの間に1点を勝ち越す。

そして迎えた4回裏、一つの四球とエラーがその後の展開に大きく響くこととなる。

川越東は一死から7番・笹尾が四球で出塁すると、二死後、9番・宮城も四球を選び二死一、二塁とする。だが、続く河井の打球はセンター後方への大きなフライとなる。センターは目を切り懸命に追うが、センターは目測を誤り打球は皮肉にもセンターの前に落ち2点タイムリー二塁打となる。

これで流れを掴んだ川越東は、2番・山根がショートへの内野安打を放つとファーストがオーバーランをする三走・河井を刺そうと三塁へ送球する間に山根が一気に二塁を奪うと、続く篠原のサードゴロが相手のエラーを誘い6対2、さらに4番・上野がセンター越えの2点タイムリー二塁打を放つなど、川越東はこの回一挙5点を奪うビックイニングで8対2とし試合の大勢は決した。

川越東は5回裏、この回からマウンドに上がった市立川越の2番手・右サイド大久根竜矢(1年)の代わり端を攻め、この回先頭の笹尾が四球で出塁すると、続く西澤がきっちりと送り一死二塁とする。ここで9番・宮城が右中間を破るタイムリー三塁打を放つとさらに中継がミスをする間に宮城が一気に本塁へ生還し10対2でコールドペースへと持ち込む。

川越東は6回裏にもこの回先頭の篠原がショートゴロエラーを足がかりとし、5番・森田一輝(2年)のライト前タイムリーと6番・齋藤優太(1年)がレフト線へタイムリー二塁打を放ち勝負あり。
結局、川越東vs市立川越の川越ダービーは川越東が6回コールド12対2で市立川越を下し県大会へ駒を進めた。

まずは市立川越だが、エース奥平が誤算であった。また、野手も1年生が多く外野も全てコンバート組ということもあり、懸念材料であった守備が4失策と乱れ、4回裏のセンターの目測を誤ったプレーなど他にも見えないミスが出てしまった。
「コンディションやメンタリティーが出た。バッテリーがぶっつけ本番だったので。ただそれを踏まえてももう少しできないといけない学校なので粘りは見せたかった。まだ打線も強さがないので。もちろんセンターのエラーもあるがそれよりも宮城への四球が全て。あそこを抑えてくれたら次の回打席も回ってくるので継投も考えていたんですが。4回裏2失点後も続投させたのは奥平への成長を促すことも踏まえてです。奥平は代えの効かない選手なので新人戦も怪我で投げてないし、もうちょっとエースとして責任や自覚を持ってもらえたら」(室井監督)
と、エース奥平もインフルエンザで出遅れぶっつけ本番だった割にはよく投げていたが、4回裏の宮城への不用意な四球で傷口を広げてしまった。室井監督の期待も大きいだけにエースの来春以降の奮起に期待したい。また、野手陣は元々若いチームだけにむしろこれからといった所であろうか。

一方の川越東は、エース宮城が好投。新人戦の聖望学園戦も悪くはなかったが、その後足の上げ方を修正。河井、山根の今夏の経験者を軸に打線も11安打と好調を維持している。
「今日は体調不良で控え投手も含め25人いない中、皆よく頑張った。宮城は春負けて夏もメンバーに入れず辛い思いをして。足の上げ方から変えた。投手はフォーム作りが大事。チーム力がない代だと思っていますが、夏の大会が続いているというイメージで今も戦っている。浦学戦で経験できなかった8回,9回を求めて。これまではミスをすると早めに交代していたが、今夏の河井の経験から今日の笹尾のようなことがあっても、今後は選手はミスをしても簡単に変えない方針に変えた。今日は四球を取れる方が勝つよと言っていたんですが、いずれにせよ今年は埼玉で左の好投手が多いがうちは元々左に強いので」(野中監督)
と、苦しい舞台裏もあり謙虚に語りつつ、自信も覗かせた。
「今日は聖望戦と比べてスライダーが良かったですが、まだ5割くらいの出来。県大会へ制球力を磨いていきたい」(宮城)
夏の経験を活かし、県大会どこまで勝ち上がれるか今後も注視していきたい。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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