【甲子園】準々決勝 土浦日大 vs 八戸学院光星

土浦日大、創意工夫で八戸学院光星投手陣を攻略　左腕エースもこの夏場で成長

＜第105回全国高校野球選手権記念大会：土浦日大9ー2八戸学院光星＞◇19日◇準々決勝◇甲子園

　勝ち上がりを見ると勢いが感じられる土浦日大（茨城）だが、試合運びを見ると、手堅いの一言である。

　思考力、能力も高い選手たちが最善の判断を行って、高いパフォーマンスを実践している。

　今大会の好投で評価を上げている八戸学院光星（青森）の洗平 比呂投手（2年）に対しても攻略に成功した。3回、3番・後藤 陽人内野手（3年）が変化球を食らいつきながらも中前適時打。5番・松田 陽斗内野手（3年）が内角直球を引っ張り、2点適時打を放って3対0とする。ベースを覆いかぶさりインコースを投げさせにくい工夫をして、結果的に外角で勝負する形になり、選手たちはそれを狙い撃つ。

　6回にはスクイズで1点を追加。今年のチームでは最もコンタクト力が高い2番・太刀川 幸輝外野手（3年）は満塁から走者一掃の適時三塁打を放った。9回には松田のソロ本塁打もあり、レベルの高い八戸学院光星投手陣から9得点を記録した。

　リリーフの藤本 士生投手（3年）も安定感抜群の投球を演じた。春先では140キロ前半の速球で押す投球が目立ち、それまでの藤本は力投派というイメージが強かったが、良い意味で力が抜けていた。本来、指先に力が伝わったスムーズなフォームのため、130キロ中盤でも切れが良かった。藤本は「この暑さなので、引くところは引いて、押すところは押すという投球を心がけています」と力の入れ加減ができるようになった。

　チームとしての目標はベスト8だった。目標を達成し、準々決勝を前にして、小菅監督は選手たちに今後はどうするかを問いたという。

　「私としてはベスト8までいけたことで満足はしています。今後、どうしたいのかは選手たちに考えさせました。今日の試合を見ると声掛け、試合へ向けて取り組みなど選手たちに意識の変化が見られました」

　目標を超えてもなお、勝ち進むために、選手たちに意識の変化があった。これも普段から自主性を問い、判断力を高めるための取り組みをしてきたことが大きいだろう。これまで、土浦日大は実力は高くても、県や、関東大会ではあと1歩で敗れることが多かった。殻を破るために、冬場の合宿では野球漬けの毎日を送り、精神面の成長に励んだ成果をこの夏に見せた。

　準決勝の相手は慶應義塾（神奈川）。普段から練習試合を行い、森林監督とは、チームについてのことや、今後の高校野球について語り合う仲だという。

　令和の高校野球を象徴するチーム同士の対決。熱戦が期待できそうだ。