試合レポート

【甲子園】1回戦 広陵 vs 立正大淞南

2023.08.11


優勝候補・広陵が苦戦しても最終的に突き放す、指揮官も「今年の選手たちは大人」と称える

<第105回全国高校野球選手権記念大会:広陵8-3立正大淞南>◇11日◇2回戦◇甲子園

今大会優勝候補に挙がる広陵(広島)は、ここまで公式戦の敗戦は、神宮大会決勝とセンバツ準決勝の2敗のみ。今年の代表校では公式戦の成績が最も優れている。

投打ともに人材が揃うが、大舞台になると大差をつけて勝つことは少ない。ただ、接戦を勝ち切る精神力の強さは感じられる。初戦の立正大湘南戦も随所にそれを発揮した。高校通算62本塁打のスラッガー・真鍋 慧内野手(3年)がチームの主役ならば、脇役の選手たちも活躍を見せた。

先発・髙尾 響投手(2年)が不調で、先行を許す試合展開になったが、4回に松下 水音内野手(3年)の適時三塁打で逆転に成功する。

「しっかりと振り切ることができました。思ったより打球が伸びてくれて、抜けろ!と声に出てしまいました」。二塁手として好守備を見せる職人肌の選手が打撃で結果を残した。

1点リードされて迎えた6回には、満塁のチャンスで松下に打席がまわり、「次に繋ぐつもりだった」と粘りに粘って四球を選び、同点とした。その松下の気持ちに応えるように、続く1番・田上 夏衣外野手(3年)が勝ち越しの内野安打を放つ。さらにその後の満塁のチャンスから、大会注目のスラッガー・真鍋の走者一掃の適時二塁打で7対3と突き放した。広陵の選手たちは、苦しい試合展開になった時こそ、それぞれが役割を理解して打席に立っているのが分かる。

田上は「1番打者なので、出塁して、次につなぐためにどうすればいいかを考えています」と語る。中学時代はスラッガーとして活躍したが、今では広陵のチャンスメーカーとして欠かせない存在となっている。

4番・小林 隼翔内野手(3年)は「自分は真鍋が凡退したあとにしっかりと打てる選手であるか。打てない時こそ、各自で役割を思い出し、それを徹底することが大事だと思っています」と、ひとりのレギュラーとして、できることを忠実にやり遂げるのが、今年の広陵の強みとなっている。

5回まではリードを許した展開。5回終了後のクーリングタイムで、中井監督からの「焦らずに自分たちのペースで試合をしよう」という声かけに、しっかり応えた広陵ナイン。中井監督も「今年の選手たちは大人です。控えの選手たち、女子マネージャーを大事にします。偉ぶるところがありません」と目を細める。

最終的には突き放して、8対3で快勝。苦しんだように見えても、仕事ができるところに今年の広陵ナインの強さを感じる。次の相手は全国トップレベルの強力打線を誇る慶應義塾(神奈川)。苦戦が予想されるが、今年の広陵ナインの真価が問われる試合になることは間違いない。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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