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東海大相模を全国制覇に導いた門馬監督が率いる創志学園 アグレッシブベースボールの真髄とは

2023.07.07


東海大相模を全国制覇に導いた門馬監督が率いる創志学園 アグレッシブベースボールの真髄とは | 高校野球ドットコム

神奈川の名門・東海大相模を22年間率いた門馬敬治監督。

春夏合わせ甲子園に12度出場し、4度の全国制覇を果たすなど甲子園通算30勝を達成している。プロ野球界にも巨人・菅野 智之投手など数多くの選手を輩出し、長年神奈川の高校野球を引っ張ってきた。

そんな名将が次の舞台として選んだのが、春夏合わせ6度の甲子園出場の実績を持つ創志学園(岡山)だった。2011年に初の甲子園出場を果たすと、その後も地道に力をつけ、県内では常に上位進出を狙える強豪校に。2019年に西 純矢投手が阪神から1位指名を受けるなど、プロ野球選手も5人輩出している。

就任して迎える最初の夏。門馬監督は、東海大相模時代のスローガンを新天地でも再び掲げ、自身13度目の聖地を目指し奮闘している。

声を出すのではなく、言葉を出せ

昨年8月にチームに合流した門馬監督。1ヵ月も経たないうちに始まった秋季大会は、岡山大会準優勝とまずまずの滑り出しだったが、中国地区大会では準々決勝で(山口)に5対6と逆転負け。手探りの状態のまま、センバツへの道を断たれた。

敗退後、様々な変革を行ったが、その1つが目指すべきスローガンの共有だ。年明けの練習では、ある言葉を選手たちに伝えた。

「アグレッシブ・ベースボール」。

東海大相模時代にも掲げたスローガンで、チームを象徴する言葉として高校野球ファンの間でもお馴染みとなっていた。選手により攻める姿勢を持って欲しい思いから、再びこのスローガンを掲げることを決めたのだ。

「恩師である原貢監督の、『攻撃は最大の防御なり』という言葉から作ったのがアグレッシブベースボールです。この言葉を気に入ったから野球が変わるわけではなく、スローガンとなるものが示せたら、選手たちはそこに向かっていけると思ったんです。東海大相模の言葉ではなく、僕の言葉として、僕が創志学園で新たに出せる言葉だと思ったので使わせてもらっています」

スローガンとして掲げることで、選手たちにも少しづつ変化が現れる。「走攻守」のプレーはもちろん、発する言葉の質や角度、チームメイトのプレーに対しても、「それは違うんじゃないか」「そこは二塁に投げるべきだろ」など、具体的な指摘をチーム全員が行えるようになってきた。

声を出すのではなく、言葉を出せ。

門馬監督が求める野球が、チームの色として醸成されつつある。

「この前のゲームでも言ったんですよ。『バッター7番』ってベンチの選手が言うから、だから何って。打順だけ言ってもさって、独り言を言うんです。さっきこっちに打球が飛んでいってるよとか、足もあるよとか、言葉を出さないと意味がない。
今の選手は、そういった言葉を持っている選手が少ないと感じています。インタビューでも、よくみんな同じようなこと言ってるでしょ。でもそういった教育がないんですよ。ボキャブラリーがないから、僕らが言葉を増やしてあげないと。少しずつ変わってはいますが、まだまだですよね」

野球ありきではなく、生活ありきの野球

勝負どころの6月。創志学園は、関西地区の名だたる強豪校と練習試合を組み、夏に向けてチームを仕上げてきた。甲子園の舞台で勝ち切る勝負強さ、チーム力など、見て学ぶことも多いが、門馬監督が最も重要視するのは「最後まで攻め続ける姿勢」だ。

「甲子園に出るようなチームとオープン戦をさせていただき、どんな展開になろうと攻める姿勢を続ける。同時に、毎日の練習の中においては基礎・基本です。走塁一つにおいても、小さなこだわりを持って練習したい。小さなことに気づき、小さなことに全力で、そして誰でもできることをやりきる。これを練習で徹底したいです」

小さなこだわりを求めるのは、グラウンドの中だけではない。食事、授業、寮生活など、生活の中のあらゆる場面で小さなこだわりを持つことが、試合での大きな差に繋がると考える。

「野球ありきの生活」ではなく、「生活ありきの野球」が門馬監督の信条だ。

「自分は練習ではなく、日常が一番大事だと思っています。ゲームの中で選手に求められているのは、結果もそうですが、やっぱり判断力だと思っています。野球の打つ、打たないの判断だったり、この場面でどう動くかなど、判断力を磨くためには練習ももちろん大事ですが、その判断をいかに日常の中から磨いていくか。

1日24時間ある中で、野球をやる時間って短いんですよね。学校にも行きますし、夜に寝ている時間もあります。野球のグラウンドで、ユニホームを着ている以外の時間の方が長いわけです。だったら、そこで(判断力を)磨こうよとなるわけですよね」

選手の普段見れない姿勢を見たいと、4月からは学校の教壇に立ち、社会科の授業も行うようにもなった。生活のすべてが野球に、勝利に結びついていくという強い信念から、学校に自らお願いしたのだ。

岡山県勢は、春は1965年に岡山東商で高校が優勝を果たしたが、夏の甲子園はいまだに優勝がない。目指すはもちろん、県勢初の夏の全国制覇、そして恩師である故・原貢氏も経験した2校目の全国制覇だ。

新天地での最初の夏が、もうすぐ始まろうとしている。

(記事:栗崎 祐太朗)

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この記事の執筆者: 田中 裕毅

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