試合レポート

安城vs岡崎工科

2023.04.23

西三河地区の曲者と暴れん坊対決、少ない好機を生かした安城が辛勝

安城vs岡崎工科 | 高校野球ドットコム
最後まで安定していた安城・本田

<春季高校野球愛知県大会:安城2-1岡崎工科>◇23日◇2回戦◇岡崎レッドダイヤモンド

 今春の西三河地区予選では、並み居る強豪を退けて1位校として県大会進出を果たしてシード校となっている安城。いろいろと仕掛けてくる加藤友嗣監督の采配も見もので、西三河地区の曲者ともいわれている。一方、岡崎工科は、今春の西三河地区予選は苦しみながら、やっと2次トーナメントの敗者復活から登ってきた。それでも、県大会の初戦では丹羽を10対0とコールドで退けての2回戦進出となって、かつては2度センバツ出場を果たしたこともある、西三河の暴れん坊健在ぶりを示している。

 そんな西三河地区の公立校同士の、注目の一戦となった。

 初回から試合は動いていく。岡崎工科は1死から3連打で満塁の好機を作る。しかし、ここから安城の先発左腕・本田 累投手(3年)は踏ん張る。そしてその裏、今度は安城が、外野の飛球落球で無死二塁とすると、すぐにバントで送り1死三塁から、吉橋 礼貴内野手(3年)のボテボテの内野ゴロの間に三塁走者がかえる。いかにも安城らしい形の先制点だった。

 しかし、岡崎工科も2回1死二塁から大木 颯二内野手(3年)のバントが安打となり一、三塁という場面で、1番・長谷川 陽也内野手(3年)が中前へポトリと落として三塁走者をかえして同点。そして、さらに一、二塁となっていたが、盗塁失敗などで好機を逸する。その後、試合は落ち着いていくことになる。岡崎工科加藤 健太投手(3年)、安城の本田と両左腕のテンポのいい投げ合いとなっていった。

 序盤の展開から、4、5点の争いになっていくのかと思われたが、3回以降は膠着していった。こうなると、次のアクションがどちらにどう出るのがポイントになってきた。

 7回安城は1死一塁からエンドランを仕掛けたのだが、丁度動いた遊撃手の正面に打球が行ってしまうという不運もあった。これで、安城は、一旦は自分たちに傾きかかった流れを逃したかに思われた。しかし、8回の攻防が勝負の明暗を分けた。

 8回、岡崎工科は2四球とバントなどで2死二、三塁とする。ここで8番・加藤を迎えて、安城ベンチは申告敬遠して満塁策で9番打者勝負を伝えるつもりで伝令を送った。しかし。本田は「ここで勝負したい」と、申告敬遠を拒否。加藤監督も、それを了承したが、結果的に本田が打ち取ったので、勝負していく気持ちが勝ったということになった。

 そしてその裏、安城は先頭の5番・内山 漣捕手(2年)が左前打して捕逸もあって二塁へ進む。右飛で三塁へ進んで1死三塁。安城としては願ってもない、仕掛けやすい状態になった。1回同様、「内野ゴロGOの形でもいいから1点欲しかった。それで9回の守りを凌いで逃げていくぞということを伝えていた」と言うが、その指示通りに7番・池田 遼都内野手(2年)の当たりは一塁手横への内野ゴロだった。ただ、当たりも強くて右前へ抜けていき、適時打となった。安城にとっては、貴重な勝ち越し点が入った。

 このリードを9回も本田が淡々と投げ切って、安城が西三河対決の接戦を制した。

 「地区1位で県大会に来とって、初戦で負けたら、予選は組み合わせがよかっただけだろうと言われかねないので、それは悔しいし、どうしても勝ちたかった。初回の1死満塁を凌げたのも大きかったし、ウチらしい得点の仕方で何とか勝てた。執念の勝利と言ってもいいでしょう。こうなったら、何とかもう一つ勝って、夏のシード権を取りたいです」と、前を見つめて気持ちを高めていた。

 岡崎工科としては、平松忠親監督は、「初回に何とか得点したかった。あそこでもう1本が出なかったことが敗因の1つだった」と悔いた。それでも、「打撃力としては、ウチの方が上だと思っていたし、安城がいろいろ仕掛けてくることも、当然予測しとって、その対策も練ってはいたんだけれども、結果的にあと1本が出なかった。今年は全三河大会も出場を逃しとるし、夏へ向けてもう1度じっくり作っていかないといかん。加藤は前日まで熱があったようなんだけれども、回復させてよく投げたと思います」と、先を見据えながら、粘りの投球した加藤のことはねぎらっていた。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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