試合レポート

桐朋vs筑波大附

2023.03.20

公式戦初先発の桐朋・森井 7回で奪三振13の圧巻の投球で都大会進出

桐朋vs筑波大附 | 高校野球ドットコム
桐朋・森井翔太郎

<春季都大会1次予選:桐朋9ー2筑波大附(7回コールド)>◇19日◇代表決定戦◇桐朋高校グラウンド

 進学校同士の対決。注目は公式戦初先発となる桐朋森井 翔太郎投手(2年)だ。昨年1年生ながら夏の大会に出場し、初戦でいきなり本塁打を放ったが、投手としても評価されてきた。この試合は公式戦で初先発となるが、初回から飛ばす。1回表は奪三振1を含む三者凡退で終えると、2回表はアウトがすべて三振で終える。本人が「腕が振りやすい」というサイドに近いスリークォーターから、140キロを超える速球に、カーブ、スライダーなどで緩急をつけて筑波大附打線を翻弄する。

 筑波大附の先発、左腕の有倉も、変化球を駆使しながら力投していた。しかし序盤、失策や四球で失点を重ねる。1回裏桐朋の1番・石原 和が左前安打で出塁すると、2番・菅原 嵩史のバントは犠打エラーとなり一、三塁。打っては3番の森井の左犠飛で桐朋が1点を先制する。さらに5番・久保 朝陽の二塁打で1点を追加する。2回裏は森井の右前安打で1点を追加する。

 森井に抑えられていた筑波大附だが、3回表の先頭打者8番・溝原 良太が死球で出塁すると1番・田崎 脩がチーム初安打となる二塁打を放ち、2番・有倉がバント。三塁走者はすぐにスタートを切らず、送球間にスタートをして溝原がホームイン。1点を返した。「足を使った、うちらしい攻撃です」と筑波大附の西幸祐監督は語る。

 その裏、桐朋は2つの四球と8番・鬼塚 心優の左前安打で、1点を追加する。しかしその後も続いた満塁のチャンスで追加点を挙げられない。序盤の3回だけで残塁が7。桐朋にあと1本が出ず、楽な展開にはならない。それだけ、筑波大附の有倉が踏ん張っていた。

 桐朋の森井は、「フォームがばらつきました」と語る中盤、制球がやや乱れたこともあったが、筑波大附打線は森井の球威に押されていただけに、危なげのない投球。

 それでも筑波大附は、7回表の先頭打者である6番・村上 喬哉が中前安打で出塁すると二盗、三盗と続けて決め、8番・溝原の三ゴロの間に村上が生還し2点差に迫る。

 しかし粘り強い投球をしていた有倉は、6回までに130球を投げており、疲れが出ていた。その裏、桐朋は9番・東久世 秀太が左前安打で出塁すると、筑波大附の守備の乱れもあり得点を重ねる。最後は8番・鬼塚の内野安打で三塁走者の久保が生還して9対2。7回コールドが成立した。

 敗れた筑波大附は、7回裏に一気に乱れたが、それまでは辛抱強い試合をした。特にエース・有倉の粘りの投球には光るものがあり、西監督は「100点をあげたい」と語る。ただ桐朋の森井には完全に力負けした。「経験したことのない生きた球でした」と西監督。こうした好投手と、この段階で対戦できたことは、貴重な体験であったに違いない。

 一方、桐朋の田中隆文監督は、森井の投球について、「球数が多かったけれども、7回を投げ切ったのは大きかったです。でもこれからが大事です」と語る。この試合、森井は7回を投げて2安打4四死球13奪三振2失点の内容だった。桐朋も進学校だが、森井はプロへの意識を持っている。それでもまだ新2年生。今後、都大会などで強豪と対戦しながらどう成長していくか、楽しみだ。

(取材=大島 裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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