Interview

阪神でも愛用される黒くてしなるロープが進化 青い2.5キロのロープが練習に革命を起こす

2023.11.01


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実用性と強度のある「しなるけど、伸びない」トレーニング器具が進化


さらなる飛躍に向けて、地道な基礎練習、トレーニングに日々励んでいる球児たちに向けて、スポーツメーカー・ミズノから新しいトレーニング器具・モーションロープライトが発売されている。以前より販売していた4キロのモーションロープの軽量版にあたる、青くてしなる2.5キロのトレーニング器具。開発に携わったミズノの中田真之さんによると、「長さやしなりは変えずに細く軽くしているので、握りやすく小・中学生や女性、あとは投手にはおすすめだと思います」と説明する。

2018年から発売している黒い4キロのモーションロープは、NPBでは阪神タイガース、高校野球の世界でも甲子園出場実績のある強豪校でも使うなど、知る人ぞ知るトレーニングアイテムとなりつつある。
それまで親しみあるトレーニング器具というと、代表的なのはチューブだ。大型スポーツ量販店をはじめ、あらゆるところで販売され、場所を問わず、誰でも気軽にトレーニングができるアイテムだ。

しかし、「インナーマッスルを鍛えるチューブは、良く行われていますが、チューブは伸びすぎて体幹を使ったりすることは難しい」と中田さんが考えるように物足りなさがあることも事実だ。かといってウエートトレーニングで使うような器具は、個人で手軽に揃えられるものではない。仮に持っていたとしても、使い方に制限がある。実用性と強度のどちらも兼ね備えたトレーニング器具が少ない中、ミズノのモーションロープは、その2つを限りなく実現としたといっていい。

「しなるけど、伸びない」ように設計しながらも、「約1キロの重さがある、1メートルほどの金属バットを使っているので、スペックは決まっていた」と開発の段階から設定していた1メートルで4キロの重さを、砂鉄を詰めることで実現。これによって、ロープがしなる際に強い遠心力が働く。そうすると末端だけではなく身体の中心部分・体幹も使って、身体を操作する。4キロの重さのおかげで、可動域が広がりながらも、トレーニングも同時にできることが期待されるのだ。

しかも1メートルで4キロのロープ形状で作った分、場所を問わずに手軽に使えることも魅力だ。普段の打撃練習でのちょっとした待ち時間や、試合中でのベンチ内、さらにグラウンドの外ならば、遠征先のホテルといった部屋のなかでも十分トレーニングやストレッチができるわけだ。

場所を選ばずに柔軟性とトレーニングができるモーションロープは、この夏から2.5キロの軽量バージョンを発売する。「投手から『シーズン中は重くて太い器具は、できれば使いたくない』というコメントから実現しました」と、トップ選手ならではの一言から商品化された。制作時に重さを変えるなどいくつか種類を作ったものの、「金属バットがおよそ1キロなので、おそらく2.5キロが一番良いでしょう」ということもあり、2.5キロが採用された。これから次第にオフシーズンが本格化する。中田さんは人気が出てくれることを期待しているが、そこには1人の元高校球児としての思いもある。

練習を改革するために


写真提供=ミズノ株式会社
高校時代は伝統校で進学校でもある都立国立。全国有数の激戦区・西東京に所属し、当時から日大三はもちろん、早稲田実業などの強豪校がひしめいていた。強豪私学がひしめくなか、公立の都立国立が勝ち上がるには、「考えてどうやって練習量を確保するか」ということだったという。当時は1時間弱の朝練、3時間の放課後練習に加えて、昼練習の1時間弱を合わせて1日5時間近くの練習量を確保。その時間でどんな練習をするか、上手くなることを常に考えて練習を積み重ねてきた。

その後、進学した大阪大でも考えて野球に取り組む姿勢は変わらない。理系の学部を選択したため、授業では実験が多い。データの集計・分析と、現在の仕事内容に近いことを行いながら、文武両道が求められた。時間の使い方は自由になったとはいえ、どのように使って練習するのか。考えることを求められ続けた。こうしたなかで生まれた「後悔や反省もあるので、少し偏りがあるかもしれないですが、思い入れはあります」と、練習を改革するために展開している、あらゆる計測器やトレーニング器具に携わっている。

2024年からは新基準バットが適用される。飛ばなくなることで私立、公立で打力に差が生まれてくることも考えられる。その差を埋めるのは、中田さんが携わったモーションロープになれば、まさに改革の象徴となる。いつの日かモーションロープが広く野球界に伝わり、選手たちの下支えになることを心待ちにしたい。
詳細な使い方や効果はこちら

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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