Column

漢字表記の四文字横書き校は関東地区で全国優勝校が案外多い

2021.11.02

漢字表記の四文字横書き校は関東地区で全国優勝校が案外多い | 高校野球ドットコム

 前回は、漢字二文字の横書き表記に関して考察したが、ユニフォームの漢字表記としては何も漢字二文字に限ったものではない。二文字の場合は、かなり強烈に、大きな文字で表記していくということになっていくのだが、三文字~四文字の表記の場合は、スタンダードに校名をアピールしていきたいという意図が強いようにも感じる。

 漢字四文字の横書きということでいえば、いずれも全国制覇の実績のある北関東の有力校が思い浮かぶ。作新学院前橋育英常総学院だ。これに埼玉県の花咲徳栄もある。このように、関東地区で比較的近年に全国優勝を果たしている学校に多く見られる。

 そんな中でも最も歴史的にも印象深いのは作新学院であろうか。史上初の春夏連覇を果たした1962年(昭37)、江川 卓投手で沸いた1973年(昭48)。さらには今井投手で2度目の全国制覇を果たした2016年(平28)夏も含めて、一貫して漢字四文字の横書きゴシック体「作新学院」である。

 また、隣県の群馬の前橋育英も漢字四文字横書きのユニフォームで2013年(平25)夏に登場するや、全国制覇を果たした。前橋育英の場合は、草書体で「前橋育英」の黄色を基調とした四文字に縁取りがあるのも特徴。この色合いについては、荒井 直樹監督が13年間在籍した社会人野球のいすゞ自動車のそれを基としている。因みに帽子の「ℐm」の「ℐ」の角度がいすゞ自動車の「ℐ」の角度と合わせているという拘り様だ。県内のライバル高崎健康福祉大高崎は、前橋育英の優勝をテレビで見ていた理事長が鶴の一声で、かつてのローマ字での「KENDAi」表記から「健大高崎」とした。ただし、その後2019年秋からは再び甲子園初出場時の「KENDAi」に戻している。

 今ではすっかり、甲子園の常連校となっている常総学院も、白地にやや流した感じで臙脂色の漢字四文字横書きで1987年(昭62)夏に初登場すると、いきなり準優勝でその存在を示した。そして、1994年(平6)春の準優勝、2001年(平13)春と2年後の夏の全国優勝ですっかり全国でも有数の有力校となった。もちろん、関東地区だけではなく「常総学院」のユニフォームは、すっかり全国区の強豪校の顔となっている。

 花咲徳栄も、2017年(平29)夏の全国制覇で、鮮やかな空色と赤色の縁取りの草書体の「花咲徳栄」のユニフォームはすっかり全国に定着した。これに憧れて入学を希望する野球少年もいるという。

 他にも、甲子園の活躍で一気に漢字四文字を印象づけたチームとしては、敦賀気比日本文理佐久長聖といった北信越勢の強豪に、東北地区では盛岡大附がある。その盛岡大附のライバルの花巻東は、特徴のある漢字三文字横書きで「花巻東」と表記されている。


 東京勢に目をやると、漢字四文字の横書きということではまず関東一が挙がる。白地に紫の文字で「関東一高」と表記されている。また、佼成学園もかつては「KOSEI」という表記を用いていた時代も長かったが2012年から漢字四文字の横書きを使用している。「全国を見渡すと、コウセイという強豪校が多いので、わかりやすいようにした」ということだが、それだけ甲子園出場へ向けても本気度が高まっているということも言えよう。

 山梨県の山梨学院日本航空も、ともに漢字横書きの草書体で四文字表記だ。

 近畿勢では、近年躍進著しい明石商がタテジマに「明石商業」というユニフォームが定着してきた。

 九州勢では九州学院沖縄尚学が漢字四文字のヨコ書きだ。同じ四文字でも、デザイン重視なのが鹿児島工で頭に「工」の文字で、下の横棒を長く引っ張って、その上に「鹿児島」の文字を乗せている。

 漢字横書きのデザイン文字表記ということで言えば、特徴的なのは漢字三文字だが長野の上田西もある。これは、上田市在住の商業デザイナーに依頼したロゴだというが「上」の文字の下の横棒を長く引っ張って、それが「田」の真ん中の棒と「西」の上の横棒に連なっていく。従って文字列は右上がりとなっていく。初めて甲子園に登場した時には、かなりのインパクトがあった。

 こうして見ていくと、作新学院九州学院といったところは別格として、漢字四文字や漢字三文字の横書き仕様というのはある程度、新鋭校とも言える私立校のケースが多いようにも感じられる。一つに、それはやはり学校名が伝えられやすい、わかりやすいということも言えるのではないだろうか。

 その限りでないのは、スタンダードな漢字四文字横書き表記としては埼玉県の上尾がある。本来ならば「上尾」の二文字でいいのかもしれないが「上尾高校」と表記されている。その後、埼玉県では、この上尾スタイルが県立普通科校の一つのスタンダードみたいにもなっていった。鷲宮なども「鷲宮高校」と教科書体の漢字横書きで表記していた。

 同じような表記では三重県の公立校で強豪の菰野も「菰野高校」という表記である。

 この夏に出場を果たした山口県の高川学園も漢字四文字の横書きでゴシック体での校名表記だった。

(記事:手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.22

【九州地区ベスト8以上進出校 7・22】福岡と佐賀で決勝のカードが決定、宮崎、鹿児島では4強が出揃う【2024夏の甲子園】

2024.07.23

「松坂さんを超える投手になる」偉大な先輩を夢に見る横浜のスーパー1年生が最速147キロを計測!4回5奪三振完全投球で決勝進出に貢献!

2024.07.23

全国トップレベルの投手陣が打ち込まれる…仙台育英、被安打19、8失点で15年ぶりの決勝戦敗退

2024.07.23

変則投手にも動じない今年No.1スラッガー・石塚裕惺(花咲徳栄)、知られざるルーティンとは?【24年夏・埼玉大会】

2024.07.23

横浜がサヨナラ勝ちで決勝進出! 1年生右腕が147キロ計測で4回0封!春王者・武相との激闘制す!

2024.07.20

伊集院の好左腕・新藤、終盤力尽き、鹿児島実に惜敗【24年夏・鹿児島大会】

2024.07.20

枕崎が1時間半遅れの試合でも集中力を発揮!堅守を発揮し、2年連続の8強!【24年夏・鹿児島大会】

2024.07.21

【中国地区ベスト8以上進出校 7・20】米子松蔭が4強、岡山、島根、山口では続々と8強に名乗り、岡山の創志学園は敗退【2024夏の甲子園】

2024.07.20

【夏の逸材123人成績速報】198センチ左腕、世代屈指のスラッガー、大分の県立に現れた150キロ右腕などドラフト候補が大活躍!北海道NO.1左腕がプロ志望を表明

2024.07.21

愛工大名電が今夏3度目のコールド勝ちでV4に前進!長野では甲子園出場37回の名門が敗退【東海・北信越実力校20日の試合結果】

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」