堀越vs都立東大和
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堀越の本格派右腕の好リリーフで延長11回サヨナラ勝ち
堀越・加藤宇
東東京の実力校・堀越と西東京の都立の雄・都立東大和の一戦。両校は8月に練習試合を組んでおり、力試しを行っている。
試合は試合時間3時間27分に及ぶ熱戦となった。
まず先制したのが堀越だ。2つのエラーで1点を先制。
しかし都立東大和は堀越の先発・佐藤虎ノ介を捉える。2回先頭の5番・廣嶋 陽樹の安打をきっかけにチャンスを作り、8番・高木 康太郎の適時打で1点を先制し、一死満塁から1番・谷 航希が走者一掃の適時三塁打を放ち、4対1。
さらに2番・山本 悠太の適時打で5対1とてリードを広げた。都立東大和の福島監督によると、今年は打力に自信がある選手が多く、ボールの軌道に合わせる選手が多いと語る。体格自体はそれほど大きいわけではないのだが、スイングが実にコンパクトで、最速で120キロ後半の速球を投げ込む左腕・佐藤に対しても、しっかりと対応ができていた。
堀越は4回裏に相手のミスがからみ、ノーヒットで3点を返し、5対4と1点差に迫り、 6回木村 元輝の適時打で試合を振り出しに戻す。
堀越は5回途中から登板した加藤宇(そら)が力投。182センチ74キロと上背があり、小田川監督によると、春から夏にかけて急成長した本格派右腕だという。
勢いのある投球フォームから投げ込む直球は常時130キロ〜136キロのストレートは威力があり、角度のある球質なので、見応えがある。120キロ中盤のカットボール、少しスピードを落としたスライダーもキレがあり、前評判通りの好投手だった。
ただ、加藤は「変化球の制球力が甘くなってしまいました」と反省していたが、ここぞという場面で投げる切れ味抜群のスライダーで三振を奪う投球は見応えがあった。
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都立東大和・朝岡涼太投手
一方、都立東大和の先発・朝岡涼太も粘り強い投球を見せた。ストレートのスピードは120キロ中盤ぐらいなのだが、横滑りするスライダーの曲がりが尋常ではなく、堀越の打者から要所で三振を奪うなど、気合が入ったマウンド捌きを見せた。朝岡は「ストレートよりも今日は変化球の制球力が良かったので、変化球で勝負しました」と語る。小田川監督は気持ちが入った朝岡のマウンド捌きを称えた。
「本当に素晴らしい投球でした。延長に入っても気持ちが入った投球が出来ていて、我が校の投手陣も見習ってほしい。そんな投球でしたね」
勝負の決着がついたのは延長11回裏。一死満塁のチャンスを作り、9番草場陸の適時打でサヨナラ勝ちを決めた。今大会、正捕手・富田直輝(ベンチ入り)が怪我のため出場には間に合わず、代わりにマスクをかぶった1年生捕手が決めた。
序盤、「リードが単調でしたね」と小田川監督から指摘をされたが、そこから切り替えて無得点に抑えた。もちろん、全体的に課題は多いが、こういう苦しい試合を戦い抜いたことは草場にとっても、6.1回を投げて9奪三振を記録した加藤にとっても大きい勝利だ。
加藤は「まだストレートの四球を出したり反省点が多い投球内容でしたので、次の試合へ向けて修正していきたいです」と次戦へ向けての意気込みを語った。小田川監督は加藤について語る時、厳しいながらも、かなり期待しているのが、よくわかった。
182センチの長身。ネット裏からみても角度のある直球は、ほれぼれするものがあり、横から写真を取ると、滑らかな体重移動から真っ向から振り下ろすフォームも非凡なものがある。憧れは同校OB・岩隈久志(元巨人)だ。ぜひ覚醒して、多くのスカウトがチェックしたくなるような逸材になってほしい。その素質は十分にある。
敗れた都立東大和の福島監督は「本当に惜しい試合でしたし、勝てば、チームがより変わるきっかけとなった試合だけに悔しい敗戦です」と振り返った。課題は4失策した守備と体力だ。緊急事態宣言の影響で平日は2時間。休日は土日のどちらかで3時間以内という中、どうしても練習量が限られてしまう。これから緊急事態宣言が明けて、しばらく時間も取れるようになる。じっくりと鍛えていけば、さらに良くなる可能性を持ったチームだろう。来春以降、シード校を食うチームになることを期待したい。
(記事=河嶋 宗一)
サヨナラ打を打つ草場陸(堀越)
9回表のクロスプレー
サヨナラに盛り上がる堀越