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感謝と喜びを力に換え、和歌山大4年ぶりの大学選手権出場!

2021.05.21

感謝と喜びを力に換え、和歌山大4年ぶりの大学選手権出場! | 高校野球ドットコム
4年ぶり2回目の全日本大学選手権出場を決めた和歌山大

 大学野球の近畿学生野球連盟は中断していた春季リーグ戦の代替として、全日本大学野球選手権の代表決定戦を代表の可能性があった5校(大阪市立大は棄権)によるトーナメントで19日と20日に実施し、和歌山大学がトーナメントを勝ち抜き、4年ぶり2回目の全日本大学選手権出場を決めた。なお、各チーム2カードずつを残しているリーグ戦としては政府の緊急事態宣言解除後の再開を目指し、あらためてリーグ優勝校を決める形で模索している。

近畿学生野球代表決定トーナメントの結果

19日(準決勝)
阪南大学7-3奈良学園大学
和歌山大学5-3神戸大学

20日(決勝)
和歌山大学7-4阪南大学

 雨が徐々に強くなる決勝。和歌山大学は準決勝でリリーフしたエース左腕・瀬古創真投手(4年・水口東)を先発に立て、8安打4失点で完投。大原弘監督は、「最後は瀬古と決めていたが、5回で降雨コールドになる可能性もあったので」と今季はリリーフ登板が多かったエースを先手勝負のために先発に持っていった理由を明かした。攻撃では12個の四死球を得た。3回に逆転した際は3者連続押し出し四死球。前日の準決勝も15四死球を得ていた。「10個とる」という代表決定トーナメントでの目標を果たした。

 リーグ戦では2019年春から3季連続(2020年春の中止を挟む)で2位が続いた。リーグ戦前半に勝ち点を落とし、後半の追い上げが届かないパターンばかり。「2位じゃだめなんです」とチームが一丸となった。今季は7勝1敗、21ポイントと2カードを残して首位。しかし4月23日の大阪市立大戦を最後に政府の緊急事態宣言発出のためリーグ戦は中断した。和歌山県は緊急事態宣言の対象外だったが、大学はリモート授業にして、学内への立ち入りを制限。全ての部活動を禁止した。

 5月中のリーグ戦消化が困難になり、全日本大学選手権の代表を決めるトーナメントの開催が決まったが、大学側からの出場承認がなかなか出なかった。大原監督ら首脳陣、関係者が必死に大学を説得し、「野球部だけを特別扱いにするわけにはいかないが、全国大会につながる大会。今後、他の部のインカレ出場にもつながる」ということで準決勝2日前の17日にギリギリで理解を得た。自主練習続けていた選手たちが揃ったのは19日の準決勝。ベンチやロッカーの扉に「感謝と喜びを力に換えて いま全力!」とスローガンを貼った。「(参加できるか)不安な気持ちもあった」という瀬古は連投の疲れを気力でカバーした。

 和歌山県で唯一硬式野球部のある大学で、小学生、中学生、高校生との交流も積極的に実施する。ちょうど1年前の5月20日に高校野球の夏の選手権大会が中止になり、全国で多くの高校球児が涙を流した。その後、和歌山でも独自大会の開催を決めたが、場内放送や球場内の案内などの補助員の人員確保が課題になった。「ウチがぜひ手伝わせてください」と手を挙げたのが和歌山大学だった。マネージャーが場内放送、ボールボーイ、場内のファウルボール拾いなど補助員のシフトを決め、リーグ戦に出場する主力選手も手伝った。「和歌山大の皆さんの存在がなければ、大会はできなかった」と県高野連関係者も感謝した。選手権大会が再開する今夏も補助員としてのサポートを継続する予定。県内の高校球児からも「第1志望は和歌山大学」という声が多くなってきた。

 主将の安田圭吾捕手(4年・駒大苫小牧)は「県で唯一の硬式野球部。縁やつながりがあり、多くの方々に支えられている。そういうのを大切にしていきたい」と話した。

 4年ぶりの全日本大学選手権で福岡六大学野球連盟代表の九州産業大学と対戦。4年前も話題になったノーサイン野球で暴れまわる。代表決定後に嬉し涙を流した安田主将は「4年前はベスト8だった。目標は日本一」と歴史を塗り替えるつもりだ。

(記事=松倉 雄太

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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