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4度甲子園に出場した白鴎大足利(栃木)打ち勝つべく取り組む5つのバッティング練習【前編】

2020.12.18

 旧校名の足利学園時代に2度、白鴎大足利になってからも2度と計4度の甲子園出場の実績を持つ白鴎大足利北浦 竜次投手(日本ハム)や大下 誠一郎選手(オリックス)といったプロ野球選手も輩出しており、栃木県内では常に上位進出を狙える位置につけてる。

 だが夏はここまで作新学院に9年連続での甲子園出場を許しており、この秋も準々決勝で青藍 泰斗に1対3で敗れるなどあと一歩のところで壁を破ることが出来ていない。新チームの戦力と現在地、そして夏への思いを伺った。

選手にとって意外だった中沢 匠磨の主将就任

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ランニングをする白鴎大足利の選手たち

 栃木県足利市・渡良瀬川沿いの河川敷グラウンドで練習を行っている白鴎大足利。同校のOBであり、社会人野球の七十七銀行でもプレーした藤田 慎二監督の下、2学年で合わせて30名の選手たちが練習に取り組んでいる。

 藤田監督は就任直後の2008年夏、2014年の春と2度の甲子園出場に導いた。2014年の第86回選抜大会以来の甲子園出場を目指すが、夏からスタートした新チームは試合経験の少ない選手が多かった。チーム作りもこれまでとは違うアプローチを試みたという。

 「例年、キャプテンは選手たちで話し合って決めていましたが、今年に関しては私が中沢 匠磨でいくと決めました。突然のことで選手たちは驚いていましたね。私が決めたこともそうですが、彼らがイメージしていた選手では無かったと思うので」

 中沢は本来であれば、4番・投手としてチームの大黒柱になるべき選手。この秋は怪我で代打での出場のみだったが、最速142キロの力のある直球と長打力が魅力だ。

 だが、藤田監督曰く「周りは気にせずに、自分のことに集中するタイプ」で、最後まで残って練習に打ち込むようなタイプでも無かった。実際、中澤自身も「まさか自分が指名されるとは思っていなかった」と話しており、選手たちにとっても意外な指名だった。

 藤田監督は自身のキャプテン経験を踏まえながら、中澤を主将に指名した経緯を説明する。

 「中澤は投打で力がある一方で、グランドを離れると抜けているところがあり、彼のためにももう一皮剥けて欲しい思いがありました。
また私も小中高大社会人と、ずっとキャプテンをやらせていただきましたが、キャプテン一人では何もできません。いかに周りにブレーンがついて、キャプテンのことを理解して他の部員に伝えてくれるかが大事と思っています。中には強烈なリーダーシップを発揮するタイプもいますが、私は前者のタイプで中澤にもそうやってチームを引っ張って欲しい思いがありました」

 かくして中澤を中心とし、新チームはスタートした。

 だが想定していた通り、実戦では試合経験の無さが如実に表れて秋季大会では苦戦を強いられることになる。

[page_break:「ボールを飛ばす力」と「ボールを捉える力」を鍛える]

「ボールを飛ばす力」と「ボールを捉える力」を鍛える

4度甲子園に出場した白鴎大足利(栃木)打ち勝つべく取り組む5つのバッティング練習【前編】 | 高校野球ドットコム
白鴎大足利のアップの様子

 秋季栃木県大会では投打の大黒柱である中澤が代打のみの出場だったが、それ以上に主力選手たちの不振が響いた。初戦となった2回戦の栃木戦、3回戦の宇都宮北戦と何とか接戦をものにして勝ち上がったが、準々決勝の青藍泰斗戦では僅か1得点に止まり1対3で敗戦。元々打撃力に不安はあったが、想像していた以上にミスショットが多く、藤田監督は「ボールを飛ばす力」と「ボールを捉える力」の両方を鍛えていく必要性を感じた。

 「苦戦をしながらも何とかベスト8までは行きましたが、最後は肝心なところで打ち切れずに負けてしまいました。みんな体は大きいのですが、実は入学当初は小柄な選手ばかりでした。入学後に10センチ以上伸びた選手が5人くらいいる変わった代で、ただ身長が伸びた分打つ感覚も違ってきているのではないかと思っています。ちょうど身長が止まり始めた頃なので、振る力や捉える力もつけていきたいと思っています」

 「ボールを飛ばす力」と「ボールを捉える力」をつけるため、フリーバッティングでは明確な意図が見えた。

 バッティングゲージは5カ所あり、まず両端のゲージでは緩いボールを思い切り引っ張って飛ばす練習、そして逆方向に思い切り飛ばす練習を行っている。飛ばす感覚を身に付けることが目的だが、ロングティーだと斜めからのボールを打つことになるため手投げの緩いボールを打っており、またただ引っ張るだけでは開く癖がついてしまうため、逆方向にも飛ばす練習を行い「体を残す意識」も植え付けている。

 さらに真ん中の3つのゲージでは、2ストライクからの打撃、2ボールからの打撃、そして選手が自分でケースを想定しての打撃と、状況に応じた打撃練習を行い、ただ打つだけの打撃練習にならないように工夫されている。

 「フリーバッティングって、本来であれば大会から一番遠い練習ではないかなと思っています。自分で自由に気持ちよく打てるので、それではあまり意味がないかなと思っています」

 打撃力アップに関しては、選手たちも強い思いを持っている。中澤主将は、オフシーズンで打撃力を向上させて春に悔しさをぶつけたいと意気込みを口にする。

 「秋は全く打てなかったので、今はバッティングをメインに練習をやっています。特に準々決勝は1点しか取れなかったので、その悔しさを胸に春は必ず毎試合二桁得点を取れるように一球でも多く全員でバットを振っていこうと思っています」

 前編はここまで。後編では藤田監督が打撃力中心のチームを目指す理由や、春の飛躍へのキーマンを紹介していきます。後編もお楽しみに。

4度甲子園に出場した白鴎大足利(栃木)打ち勝つべく取り組む5つのバッティング練習【前編】 | 高校野球ドットコム後編はこちらから!
なぜ白鴎大足利は打力向上にこだわるのか?【後編】

(取材=栗崎 祐太朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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