Column

チーム内での競争激化が、来る春そして夏への二連覇をもらたす 沖縄尚学(沖縄)

2020.03.19

比嘉監督「少しずつだけど、チームの「和」が出来つつある。」


5者を連続三振斬りをみせた左腕・松田大輝

 監督談話の中でも、開口一番に口にしたのが「和」。昨年に訪れた沖縄尚学野球部訪問(冬が僕らを強くする)でも、「選手間のコミュニケーションが欲しい。」と語った比嘉監督。

 正直、試合の中でしか見たことのない僕らにとっては、沖縄尚学のゲーム中のベンチほど元気で声が飛び交うチームは中々お目にかからない。逆に、これだけ口酸っぱくナインにハッパをかける指揮官だからこそ、試合での「和」が生まれるのだろう。

 4時過ぎ、紅白戦が行われた。主将の與谷友希は参加しなかったが、當銘椋太島袋皓平崔哲瑋久高塁砂川連ら主力は軒並み出場した。

 紅組の1番に一年生の後間翔瑚、以下砂川連久高塁崔哲瑋と続く。

 白組は1番に當銘椋太が連ねたが、2番比嘉丈人、3番知念大河、4番大城稜雅と一年生が3人続いた。

 先攻の白組に対し、紅組の先発はエース格の永山蒼。2回、一死二塁から白組6番の佐和田大貴に二塁打を浴び先制を許す。その後、味方のタイムリーエラーもあり4回2失点だった。

 対する白組の先発は左腕松田大輝。秋の県大会は1試合も登板が無かったサウスポーだが、一年生中央大会では一回戦の興南、準々決勝の糸満、準決勝の美里工の3試合で登板。興南戦こそ乱れたものの、糸満戦、美里工戦では計7イニングを投げ無四球無失点と修正した逸材が、圧巻のピッチング。

 初回を三者凡退に斬ると2回、4番の崔哲瑋から8番までなんと5者を連続三振斬り!この紅白戦で1番の輝きを見せた。


紅組の4番・崔

 2点を追う紅組は4回、2番砂川連が二塁打で出塁すると久高塁がライト前へ運ぶ。外野の枠を争う二人の出来を見た4番崔哲瑋が燃えないわけがない。レフト前へ運ぶタイムリーと三連打が飛び出した。その後、ダブルスチールで同点とした。

 その後は両軍投手陣が踏ん張り、2-2のまま当初規程の6回を終了。引き分けで終わるかと思いきや、指揮官の粋な一言がナインを喜ばせる。「延長いくぞー!」タイブレークを想定した無死一・二塁からのスタート。そして、ここでも粋な計らいが見られた。

 一度マウンドを降りた永山蒼松田大輝の両名が再登板。犠打で送られ、あえて与えた四球で一死満塁とされた永山蒼だが、ここから素晴らしいピッチング。スクイズを見破ると、最後は三振斬りで得点を許さなかった。

 対する松田大輝も負けない。最初の犠打を三ゴロで斬る。その後二死一・二塁としたが、ライト前へ運ばれる。二塁走者が本塁を狙ったが間一髪。中継プレーで刺しこれまた無得点。打撃陣よりも、永山蒼松田大輝の鬼気迫るピッチングが味方とはいえ、県内屈指の打線を上回ったシーンが印象に残った。

 激化するチーム内の競争が、秋の王者となったナインに昂りを起こさせない。試合中、ナインに的確なアドバイスと意気軒昂にする前向きな言葉を常に発していた比嘉監督も、手応えを掴んだ様子だった。

 春の沖縄尚学。キーマンは松田大輝になると読む。その松田大輝の奮闘を見て火がつく永山蒼大湾朝日らがスパートする夏、6年振り2度目の連覇が待っている。

(取材=當山 雅通

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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