Interview

センスと知性は五つ星のエリート球児 星子天真(熊本泗水ボーイズ)の歩みに迫る

2020.03.04

 U-12日本代表、カルリプケン世界大会日本代表、世界少年野球大会代表(ボーイズ日本代表)と、これまで3度の日本代表を経験した逸材が、この春から高校野球への舞台へ踏み出していく。

 熊本泗水ボーイズの星子天真だ。
 走攻守の3拍子が揃ったプレースタイルもさることながら、日本代表で主将を務めるほどのリーダーシップも持ち合わせており、選手としても主将としても存在感を発揮してきた。
 今回はそんな星子に、これまでの中学野球を振り返っていただき、また高校野球での目標についても伺った。

 中学野球屈指のエリートプレーヤーの素顔に迫っていく。

技術よりも目を引く人間力の高さ

センスと知性は五つ星のエリート球児 星子天真(熊本泗水ボーイズ)の歩みに迫る | 高校野球ドットコム
星子天真(熊本泗水ボーイズ)

 中学通算13本塁打の打撃力に、軽快な守備と俊足が武器である星子。小学生時代から計3度の日本代表に選出されるなど、中学生としては非常に高いスペックを持つが、熊本泗水ボーイズを率いる松崎秀昭監督は、その最大の長所に高い人間力を挙げる。

 「場慣れしてるので、全体が見渡せますし返答もしっかりできます。
 気が抜けた選手や悩んでいる選手にもしっかり声を掛けますし、もちろん自分がちゃんとしてないと人には言えないので、自分で高い意識を持ってできる選手です」

 引退した現在も高校野球に向けて練習に参加しているが、ノックでは誰よりも声を出して練習の士気を高め、下級生にも積極的にアドバイスを行う。その存在感は依然として大きく、チームメイトからも大きな信頼が寄せられている。

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挟殺プレーを行う星子天真(熊本泗水ボーイズ)

 小学校2年生の時に弓削キングで野球を始めた星子は、早くから注目を集める存在であった。
 野球を始めるきっかけとなった兄は、福岡大大濠の主砲として高校通算40本以上の本塁打を放った星子海勢選手。福岡ソフトバンクホークスジュニアに選出された兄の背中を追って、同じ舞台に立つことを目標に必死に練習に打ち込んだ。

 「兄がソフトバンクホークスジュニアに選ばれていて、やっぱり大きな目標でした。
 自分もホークスジュニアに選ばれたときは、やっと兄に追いつけたというか、スタートラインに立てたのかなという気持ちになりました」

 熊本泗水ボーイズに入団後も下級生時から存在感を見せ、最上級生になってからは1番・セカンドとして活躍。昨年の夏には、ボーイズリーグの夏の全国大会である第50回記念日本少年野球選手権大会への初出場に大きく貢献し(大会には日本代表選出で不出場)、中学野球で確固たる実績を残した。

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日本代表で得た2つの経験

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ティー打撃を行う星子天真(熊本泗水ボーイズ)

 そんな星子には、日本代表で得た2つの経験がある。

 一つ目は、U-12日本代表で仁志敏久監督から掛けられた言葉だ。
 仁志監督からは、技術面よりも野球に向き合う姿勢の部分で多く指導してもらったと振り返るが、中でも大会を終えてチームが解散する際に、仁志監督が最後のメッセージが特に印象に残っていると星子は話す。

 「解散の時に、仁志監督は選手を集めて『これから褒められることや、批判の声もあると思う。そのことを半分ずつ受け取って頑張りなさい』と言われました。その言葉を今でも大事にしています」

 そして2つ目は、ボーイズ日本代表で感じた自らの未熟さだ。
 昨年の7月31日から11日間、イタリア・ローマで開催された第38回世界少年野球大会に、日本代表として参加した星子は、異国での体調管理の難しさや他の代表選手たちの意識の高さに驚きを感じた。
 心身ともに更なるレベルアップの必要性を痛感し、現在はより高い意識を持って練習に取り組んでいると話す。

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チームメイトと共にノックに入る星子天真(熊本泗水ボーイズ)

 「みんな意識が高くて、夜の自主練など自分で考えてしっかりやっていました。
 特に大津瀬田ボーイズの山田陽翔は、普段は面白いのですが野球になるとスイッチが入るので、そのメリハリが凄かったです。
 上には上がいるなと感じましたし、高校に上がるにつれてどんどんレベルも高くなっていくので、もっともっと頑張らないといけないなと感じました」

 日本代表での経験を糧にして、向上心を持って練習を続ける星子。
 中学を卒業後は関西地区の強豪校に進学予定で、目標は全国制覇を掲げる。

 「高校でもキャプテンになりたいと思っています。チームを引っ張っていく存在になって、負けてる時でも自分一人でチームを鼓舞できるように、そんな選手になりたいです」

 5つ星のセンスと知性を持つエリート球児が、高校野球でさらに光輝くことに期待だ。

(取材=栗崎 祐太朗

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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