試合レポート

高岡商vs石見智翠館

2019.08.06

今大会初の延長戦は高岡商も、石見智翠館も逸材が揃う!

高岡商vs石見智翠館 | 高校野球ドットコム
この試合のヒーロー・森田 朝陽(高岡商)

 

 3年連続出場の高岡商が延長10回の末、勝ち越しに成功見事に初戦突破を果たした。今回はどちらも好選手が多く、見ごたえのある試合だった。

 まず決勝打を放ち、ヒーローとなった高岡商の1番森田朝陽。第1打席に俊足を生かし、内野安打を成功させた、さらに第2打席はレフトポール際へ2ランホームラン。レベルスイングで無駄のないスイングができていた。そして延長10回表には低めに入ったボールを振りぬき、適時三塁打。下半身主導のスイングができる選手。走塁、守備のレベルも高く、楽しみなアスリート型外野手だ。

 そして2番井林泰雅(3年)も3打数2安打3四球の活躍。昨年の甲子園でも本塁打を放ち、高い打撃技術を誇る井林はスイングの鋭さ、パワーともに別格。高校通算18本塁打を放っており、2番打者でもやるべきことは変わらない。

 また、4番・堀裕貴(3年)は投打ともに楽しみな選手だ。チーム一のスラッガーで、高校通算23本塁打を放っている。しかしこの試合は勝負を避けられ、5打席立って、4四球と勝負を避けられた。その分、投手として貢献。2年秋から投手を始めた。投手としては140キロを超える速球を投げ込むことができる。

  9回裏、一死一、二塁の場面で登板し、130キロ後半の速球、切れのあるスライダーを投げ分け、その後、ピンチを切り抜けた。

 ただどちらかというと打撃のほうが好きだという堀。チーム一の飛距離を2回戦の神村学園戦でも発揮したい。

 また1年生ながらショートのスタメンを獲得した石黒和弥はスピーディな動きが光る守備に加え、リストの強さが光る鋭いスイングから強烈な打球を飛ばす。富山・高陵中では軟式出身だった。大きな実績もあるわけではないが、高校に入学して急速に伸びた選手だ。

 安定感ある守備は大会前の強化合宿で行われた162球ノーエラーノックが生きている。162球の意味合いを説明すると、高岡商は夏、ノーシードからのスタートが決まっていたので、6試合を行うことを想定すると、162個のアウトを取らなければ優勝はない。それまでミスなくやることで守備力も、精神力も強くなる狙いだった。石黒自身、100球を超えてのミスもあり、非常に悔しい思いをしたようだが、その結果、「自信もつきましたし、甲子園でも普段通りにできました」と笑う。先輩とのやり取りを見ても、非常に堂々としている。そのメンタルの強さは生まれつきかもしれない。

 敗れた石見智翠館も、135キロ前後の速球を投げ込む左腕・迫広 佳祐、135キロ前後の速球、120キロ前後のスライダーを投げこむ佐藤 辰憲、投げては130キロ前後の速球を投げ、打っては広角に長打が打てる名田 泰基と楽しみな投打の逸材が多かった。1,2年生のレギュラーが多いので、ぜひ鍛え上げて、センバツ、夏に戻ってきてほしいチームだ。

[page_break:決勝打の吉田 ただ次につなぐだけことを考えた 個人成績表]

決勝打の吉田 ただ次につなぐだけことを考えた 個人成績表

 第101回全国高等学校野球選手権大会1日目、第3試合は3年連続20回目出場の高岡商vs4年ぶり10回目出場の石見智翠館の試合は大熱戦の末、高岡商が初戦突破を果たした。

 まず先行したのは高岡商。1回表、押し出し四球で1点を先制。2回表、二死二塁のチャンスから1番森田 朝陽が外角球を振りぬき、レフトポール際に入れ込む大会第2号となる2ランで3対0とリードを広げた。高岡商の先発・荒井大地は体を沈み込んだ右横手から打たせて取る投球。

 6回裏、6番関山 和の適時打で1点を失ったが、7回表、高岡商は二死二塁から5番・藤井 康平の左前適時打で1点を追加し、4対1と点差を広げ、高岡商のペースで試合を進んでいった。

 しかし8回裏、石見智翠館は4番名田 泰基の適時二塁打で1点を返すと、9回裏にはここまで好投の荒井をとらえ、一死満塁のチャンスで打席に立ったのは主将で1番・関山 愛瑠斗。関山愛はしぶとく左前適時打を放ち、二者生還。同点に追いつく。頼みのキャプテンの一打で勢いに乗った石見智翠館だが、あと1本が出ず、今大会初の延長戦に突入した。

 延長10回表、二死一、二塁から1番森田がライトの頭を超える適時三塁打を放ち、勝ち越しに成功。森田は4打点の大活躍。

 10回裏、石見智翠館も無死二塁のチャンスを作ったが、反撃はここまで。高岡商の3番手・松代が守りきり、高岡商が2年連続の初戦突破を決めた。

決勝打を打った森田 朝陽主将
自分の結果は出ましたが、僕の役割は出塁すること。第1打席、セーフティバントから出塁して、得点につなげられたのは一番良かったと思います。第2打席のホームランも、最終打席の三塁打も決めるつもりは全くなく、ただ次につなぐことだけを考えた結果があのような打撃結果につながりました。

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(記事=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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