静岡県の中心街にある、県立高校の駿河総合。総合学科の学校なのでさまざまな生徒たちが集まってきている。比較的部活動は盛んだが、一般的な公立校であることに変わりはない。そんな駿河総合野球部の選手がU-18日本代表候補の内野手として選出されて話題になっている。プロ野球のスカウトたちもその将来性には期待をしているという逸材である。「紅林弘太郎」という、まるでアクション劇画の主人公みたいな名前だが、そんなところにも彼のスター性が潜んでいるといっていいのかもしれない。
そんな、紅林選手に、いろいろ今の気持ちや将来への思いを聞いてみた。
一番いい打球は左中間をライナーで破っていく打球
キャッチボールをする紅林弘太郎(駿河総合)
この日は、プロのスカウトも練習を見に訪れていたので、いつもよりも気負いもあったようだ。シート打撃を終えた後、ネット裏に訪れてくれた。
―― シート打撃はどうでしたか、ちょっと引っ掛け気味だった?
紅林弘太郎(以下、紅林) 全然ダメでした。
―― いっぱい(スカウトの)人が来ていて、ちょっと意識してしまったところもあったのかな。
紅林 あ、はい、力んで引っ掛けてしまっていました。自分にとって、一番いい打球というのは、左中間をライナーで破っていく打球だと思っています。それが、今日は出せませんでした。
―― タイプとしてはどんなタイプの打者だと思っていますか。
紅林 ホームランバッターというよりは、中距離ヒッターだと思っています。
―― 野球はいつぐらいから、本格的に始めたのですか。
紅林 小学校の2年生からです。少年(学童)野球チームの軟式です。「青島ホークス」というところで、ポジションとしては投手と捕手をやっていました。
―― それは、自分で希望して?
紅林 いえ、チームの監督さんからそう言われて…です。本当は、自分はショートをやりたかったんですが…。
―― 中学では、どこをやっていた?
紅林 ショートをやりたくて希望しました。最初は、中学生になったら硬式のクラブチームに入ろうと思ったんですよ。それで練習会に行ってみたら、捕手をやらされそうだったので、(入るのを)辞めました。それで、青島中学の野球部に入ってショートを希望しました。
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1年から試合に出るつもりで行っていた
バッティング練習をする紅林弘太郎(駿河総合)
こうして、現在の遊撃手としての紅林君が誕生したということだ。当時は、1番打者となることが最も多かったという。50m走は6秒2という俊足である。ただ、「高校に来てみたら自分よりも足の速いヤツが結構いました」ということで、1番というよりもクリーンアップを打つようになっていったという。中学時代のチームの最高成績は県大会ベスト8だった。
中学校の大会を終えると、その後には軟式野球部だった選手で高校野球をやりたいと希望する選手へ向けての硬式球を体験して練習できるところがあるので、そこにも参加していたという。そうこうするうちに、「青島中で遊撃手をやっていたいい選手がいる」ということが知られて、いくつか私学の有力校からも声がかかったようだ。それでも、「私学は(お金もかかるし、練習も)大変だなと思った」ということで、最初から公立校で野球を続けようという意志でもあった。そんな折に、駿河総合の望月監督から声がかかって、駿河総合に進むことを決めたという。
―― 実際に駿河総合に進学してみてどうでしたか。1年生の時から試合には出ていたようなんですが。
紅林 はい、最初から出るつもりで行っていましたから、戸惑いはありませんでした。それに、高校野球は先輩が怖いのかなと思っていたのですけれども、皆がとても親切でやさしくて、よくしてくれたので、やりやすかったです。
―― 先輩は優しく迎えてくれたんだ。怖いのは、監督だけだった?
紅林 いえ、監督も、見た目は怖そうなんですけれども(笑)、実はとてもやさしくて、いろいろ教えてくれます。それに、自由にやらせてもらえるので、とてもいいです。駿河総合でよかったと思っています。
―― つまり、駿河総合という環境は、紅林君にとっては、とてもいい環境で伸び伸びと野球がやれているということですね。
紅林 はい、そうです。(力強い返事)
―― 高校野球で、最初の頃は、やはり中学とは違うなというところは感じましたか。
紅林 それは、力の差とか、打球の強さとか、そういうのは感じました。東海大甲府とやった時なんかは、それをモロに感じました。だから、まだまだ自分はもっと(練習を積んで)やっていかないといけないなとも思いました。
―― それが、今の練習姿勢にもつながっているということ?
紅林 そうですね。身体づくりもそうですし、技術的なことも、もっと高めていかないといけないと思っています。それに、夏に戦えるだけの集中力も高めていかないといけないという気持ちでやっています。
【後編を読む】高校代表合宿に参加して感じたトップ選手との差。高卒プロへ向けての課題 紅林弘太郎(駿河総合)【後編】
文=馬場 遼
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