試合レポート

星城vs豊橋南

2019.07.06

2回の攻防で決着つけた星城、コールド発進で王者東邦に挑む

 参加188校で、全国で一番多い愛知大会は、7月を待たず6月の最終土日に開幕していた。しかし、先週末は生憎の天候ということもあって、予定していたすべての1回戦を消化しきれず、一部が今週にずれ込んだ。このカードもその一つだが、選手たちは「よし!行くぞ」とモチベーションを上げてから、1週間待つことになってしまった。そんなコンディション調整の難しさもあったかもしれない。

 それでも、エースの石黒佑弥君が注目されている星城は、やや苦しんだところもあったが、何とか無失点のコールドゲームで勝ち上がった。これで、2回戦で春の甲子園王者の東邦に挑むことになった。

 星城は初回、一死後宮川君と坂井田君というスタメンで起用されている2年生が連打してチャンスを作ったが、期待の4番河田君が引っ掛けてしまい一邪飛、木村君も倒れて無得点。豊橋南の石川君が何とか踏ん張ったかたちになった。

 星城の平林宏監督は、「やっぱり、初戦ですよねぇ、力んだんでしょう。本当はここで叩かないかんのだけれども、相手は、昨秋の全三河大会では(県大会ベスト4の)西尾東に勝ったりもしたことがあるだけに、これでちょっと嫌な気がしていました」と振り返っていたが、2回はそんな嫌な感じを払拭する攻撃だった。

 2回の星城は二死走者なしから、8番南君が死球で出ると、続く石黒君は初球を叩いて右前打して一二塁。1番近藤君も右前打でまず1点を先制。さらに宮川君も中前打してその打球がこぼれる間に2者が生還。宮川君も三塁へ進む。その後も、死球と盗塁などで二死二三塁として、河田君が今度は三塁線へ引っ張って二塁打してこの回5点が入った。

 これで星城がかなり優位になったが、その裏豊橋南も反撃で先頭の4番白井達也君が左中間二塁打すると、尾林君も左前打で一三塁。ただ、ここから石黒君はギアが入ったのか、3者連続三振でピンチを切り抜ける。


 そして星城は4回にも、石黒君自らの左翼ソロホーマーと、またしても宮川君と坂井田君の連打で一死一三塁として、河田君が今度は中越三塁打してさらに2点を追加してこの回3点。

 5回から星城は、石黒君を左翼に回して、宮﨑君が登板。宮﨑君も、安打こそ一本許したものの、2イニングをしっかりと投げて、その間に6回、星城は宮川君のタイムリー打と、途中から3番に入っていた神谷雄大君がセーフティー気味にスクイズを巧みに決めて10点目。その裏を宮﨑君は3人で抑えて星城はコールドゲームで進出を決めた。

 平林監督は、この日の石黒君に関しては、「最初の試合でもありますし、少し力が入りすぎていたでしょうけれども、何はともあれ点を与えなかったということはよく投げたということです。走者を出しても、その後をきちんと投げられるということをやれたのも収穫です。総体的には70点くらいです」という評価だったが、継投で無失点だったことはやはり大きい。それに、この日は石黒君も無理をしないということで、最後まで投げないでいた球種もあったようだ。

 結果的には、5安打無得点で10失点、6回で試合を終えてしまった豊橋南。成瀬拓哉監督は、「やっぱり2回でしょうね。二死としながら、そこからこらえきれないで失点が続いてしまったことと、逆に攻撃では無死一三塁のチャンスで、そこから何も出来なかったところですね。あそこで1点でも取っていれば、また少しは違った展開にも持って行けたんでしょうけれども」と悔いていた。それでも、組み合わせが決まってからは、石黒君の速球を想定して140キロ前後の速い球の練習は徹底してきたということで、藤原君、田中大誠君などはその成果を示すことはできたのではないだろうか。

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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