Interview

松坂を育てた指揮官も絶賛!関東きっての韋駄天 今井海斗(東京城南ボーイズ)

2019.06.15

 今年3月に行われた第49回春季全国大会で、守備範囲の広さで周囲の度肝を抜いた選手がいる。その選手が、東京城南ボーイズの今井海斗選手だ。的確な判断力と中学野球界トップクラスの俊足を武器に、第49回春季全国大会では大飛球を幾度となく好捕してチームの窮地を救い、また攻撃でも相手の守備をかき回してチャンスメイクに貢献した。

 今回はそんな今井選手に、これまでの歩みや現在の課題、そして高校野球に向け手の取り組みを伺った。関東きっての韋駄天の、その素顔に迫っていく。

広い球場こそ際立つ今井の快足ぶり

松坂を育てた指揮官も絶賛!関東きっての韋駄天 今井海斗(東京城南ボーイズ) | 高校野球ドットコム
今井海斗(東京城南ボーイズ)

 「身体能力が高く、中でもとにかく脚力が強い選手で判断力も秀でています。1歩目のスタートが他の選手とは明らかに違います。今井は、狭いグランドだと目立ちませんが、全国大会の会場だった[stadium]県営大宮公園野球場[/stadium]のような広いグランドになると、とても守備範囲の広さが際立ちます」

 そう語るのは、東京城南ボーイズを率いる大枝茂明監督だ。3番でセンターを任されている今井選手について大枝監督は、東京城南ボーイズの歴代のセンターの中でもNo.1であると話し、その能力の高さに驚きを口にする。

 「全国大会の1回戦では大阪の枚方ボーイズと対戦しましたが、やはり強打のチームでした。右中間や左中間に打球が多く飛びましたが、その打球を今井がどんどん捕るんです。今井は、ツーベースヒットの打球をシングルヒットに抑えることが多いですし、詰まった打球もダイビングで捕ったりもします。本当に頼りになりますね」

 そんな本人も、最大の持ち味は「足」であることを強調する。同じ関東地区には、俊足強打で注目される京葉ボーイズの海老根優大選手(インタビュー)がいるが、今井選手は決して海老根選手にも力は劣っていおらず、むしろ勝っている点も多いと強く語る。

松坂を育てた指揮官も絶賛!関東きっての韋駄天 今井海斗(東京城南ボーイズ) | 高校野球ドットコム
キャッチボールをする今井海斗(東京城南ボーイズ)

 「海老根にも負けていない自信があります。海老根のプレーを間近で見る機会があったのですが、守備力はもちろんのこと、足やバッティングでも負けていないと思います」

 「脚力」と「守備力」ばかりに目が行きがちな今井選手であるが、打撃においても非常にシュアで鋭い打球を放つ。左足を程度に遊ばせながらタイミングを取る打撃フォームだが、トップの位置は決して動かない。下半身主導からバットは一気に振り抜かれ、低い弾道の打球が右中間や左中間を突き破っていくところに非常に大きな魅力を感じる。

 今井は、自身の打撃のポイントについて次のように語る。
「バッティングでは、ポイントを前で捉えること意識してます。体に近いところで打っていて、打球がよく詰まっていた時期があったので、今はそれが無いように意識しています」

[page_break:「野球に対する姿勢」を最も学んだジャイアンツジュニアでの経験]

「野球に対する姿勢」を最も学んだジャイアンツジュニアでの経験

松坂を育てた指揮官も絶賛!関東きっての韋駄天 今井海斗(東京城南ボーイズ) | 高校野球ドットコム
今井海斗(東京城南ボーイズ)

 そんな今井選手の野球ルーツを辿っていくと、小学校時代に所属していたジャイアンツジュニアでの経験が、現在に強く影響を与えていることがわかる。
ジャイアンツジュニアは非常にレベルの高い場所であったと話す今井だが、技術面だけではなく、精神面においても非常に成長できた場所であったことを今井選手は笑顔で振り返る。

 「最初はレベルが高くてついていくだけで精一杯でした。ですが徐々に雰囲気に慣れていくうちに、落ち着いてプレーが出来るようになり、スタメンを取ることができました。指導者の皆さんから教わることも、技術よりも練習に対する姿勢の部分が多かったですね。特に謙虚な気持ちを持つことの重要性については、本城直貴コーチ(マネージャー)を中心に熱心に教えて頂きました」

 今井選手の野球に対する姿勢については、大枝監督も高く評価をしている。真面目に努力を重ねるだけでなく、試合では積極果敢なプレーでチームに勢いを持たすなど、野球をプレーする上でのマインドセットが非常に高次元であるのだ。
今井選手のこうした野球に対する姿勢は、ジャイアンツジュニア時代に築かれていったのであろう。

 高校野球に向けた質問をぶつけても、今井選手は冷静な姿勢を崩さない。甲子園出場や高いレベルでの活躍を目指していることを認める一方で、最も大事なことは今を懸命に戦い抜くことであると今井選手は強く語る。

 「強い高校に行きたいとか、日本代表に選ばれたいとかは、今はあまり考えていません。とにかく今は、ジャイアンツカップで優勝すること、そして春に敗れた枚方ボーイズにリベンジすることしか考えていません。今をとにかく大事にしたいと思います」

 走攻守の三拍子が揃ったプレースタイルに加えて、全国大会で身に付けた自信や高次元なマインドセット。今井選手が将来、飛躍していく要素はいくつもある。そんな今井選手に、最後にプレーヤーとしての最終的な目標を伺った。

 「プロ野球選手になりたいと思っています。柳田悠岐選手のように、走攻守すべて揃った選手になってホームラン王を取りたいと思っています。なので将来に向けて、今は長打力をもっと磨かないといけないですね」

 目標へ到達するために必要なことを、最後にきっちりと付け加えるあたりもさすがである。
 その圧倒的な人間力を土台に、これから今井選手がどこまで飛躍するか注目だ。

文=栗崎 祐太朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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