試合レポート

智辯和歌山vs啓新

2019.03.30

中断後のスムーズな試合の入りはリラックスした空気から生まれた

 智辯和歌山の見事な速攻で幕を開けた試合は、2回を終えたところで雨天のため中断に入った。
 グランドスタッフたちの、賢明な整備の甲斐もあり、約2時間の中断を経て再開に漕ぎつけた。

 再開直後にまず目についたのは、啓新の先発・安積航大が見事な立ち上がりを見せたことだ。3番・黒川史陽、5番・根来塁と高校トップレベルの打者にヒットは許すものの、安定した投球で後続を打ち取り、気持ちを切らすことなく試合再開に臨めていることを伺わせた。

 だが、全国屈指の打撃力を誇る智辯和歌山打線を抑え込むのは簡単ではない。中盤の5回に入ると、徐々に全国屈指の打線が力を見せ始める。
 5回表、二死満塁のチャンスから9番・綾原創太のレフト前タイムリーで2点を追加すると、7回表にも二死一、三から1番・細川凌平が左中間を破るタイムリースリーベースを放ち、さらに2点を追加する。

 実は智辯和歌山は雨天で中断していた際、一旦気を抜いてリラックスする雰囲気を作っていた。
 「中断になったとき、黒川が気を抜くなよと言っていましたが、一旦リラックスしようと言いました」
 試合後に、中谷監督がそう明かしたように、選手たちも中断中は和やかな雰囲気の中で過ごしていたと話す。

 「中谷先生もリラックスしていいよと言ってくださったので、普通にみんな話してました」(黒川)
 「普段話すような、しょうもないことや、たわいもないことを話してました」(東妻)
 「中谷先生からも『雨やナイターの甲子園も経験できてええなあ』と言われたりしました。みんな控え室でゼリーやおにぎりを食べたりして、過ごしていました」(西川)

 智辯和歌山は最終回に2点を返されるものの、そのまま5対2で逃げ切り、ベスト8進出を決めた。
 試合後、中谷監督は平成通算勝利数が、1位の大阪桐蔭に並んだことに言及するとともに、昨秋の近畿地区大会で大敗を喫した明石商を強く意識したコメントを残した。

 「理事長先生からも3回勝つことを命令されています。
 (これまでの勝利は)高嶋先生が積み上げてきたものですが、明日に明石商さんと対戦する機会も頂いたので、何としても勝ちたいと思います」

 智辯和歌山にとってリベンジマッチとなる準々決勝は、明日31日の第4試合に行われる。昨秋のリベンジ、そして平成通算最多勝利を更新するか注目だ。

(文=栗崎祐太朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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