試合レポート

慶應義塾vs中越

2018.08.05

宮尾将が劇的サヨナラ打!慶應義塾が1回戦突破!

慶應義塾vs中越 | 高校野球ドットコム

 選抜4強の東海大相模桐光学園など、並み居る強豪を退けて春夏連続出場を決めた慶應義塾。北神奈川大会では全試合で2ケタ安打を放っており、打線が大きくスケールアップして甲子園に戻ってきた。
 対する新潟代表の中越も、打線が持ち味のチームだ。予選で3本塁打を放った4番の小鷹葵を中心に、6試合で88安打56得点を挙げた打線には破壊力があり、この試合でも両チームの打線に注目が集まった。

 そんな中、まず先制点を挙げたのは慶應義塾だった。俊足好打の核弾頭・宮尾将のヒットを皮切りに二死一、二塁をチャンスを作ると、5番・根岸辰昇がセンター前へタイムリーヒットを放って、二塁ランナー宮尾がホームまで生還。まだ固さの見える中越のエース・山本雅樹を攻めて、慶應義塾が先制点を挙げた。

 だが先制を許した中越も、3回に反撃に出る。二死から4番・小鷹葵がレフト線へのツーベースヒットでチャンスメイクすると、5番・安達大和がライト前へヒットを放ち、二塁ランナーの小鷹は一気にホームまで生還。中越は序盤のうちに、同点に追いつくことに成功した。

 だがその直後の3回裏、慶應義塾も負けじと再び得点圏にランナーを進める。宮尾将大川裕也の1、2番コンビで無死一、三塁のチャンスを作ると、3番・下山悠介の内野ゴロの間に宮尾が快足を飛ばしてホームイン。2対1と慶應義塾が勝ち越しに成功し、

 慶應義塾の先発・生井惇己は、序盤は球にバラつきが見られたものの、得点を許した3回以降は安定した投球を見せた。直球は選抜よりも明らかに力強くなっており、球速は130キロ中盤から後半を常時記録。加えて北神奈川大会でも光っていたチェンジアップが、この試合でも効果的に決まり、中越打線に的を絞らせないピッチングを続けた。


 3回以降は両者無得点が続いたが、7回に再び試合が動く。
 7回表、中越は先頭の7番・広瀬航大がレフト前ヒットを放つが、これをレフトが後逸。広瀬はダイヤモンドは疾走し、一気にホームまで帰ってきた。これで中越は同点に追いつき、試合は再び振り出しに戻る展開となった。

 慶應義塾がリードしては、中越が追いつくという激しい接戦となった初日の第3試合。見応えたっぷりの試合展開となったが、決着は9回に訪れた。
 慶應義塾は、二死から下位打線の連続ヒットで一、二塁のチャンスを作ると、ここで打席に迎えるのは好打者の1番・宮尾将。3ボール、1ストライクからの5球目の直球を振り抜くと、打球はセンターに抜けていくサヨナラタイムリーヒットとなった。試合は3対2で慶應義塾中越を破り、2回戦進出を決めた。

 サヨナラ打を放った宮尾将は、下級生の頃から主力として慶應義塾を引っ張り、関東圏では常に注目を集める存在であったが、その卓越した打撃センスが遂に全国区の舞台で輝きを放った印象だ。加えて、チームのピンチを何度も救った固い守備や、「慶應ボーイ」という言葉を地で行くような甘いマスクはスター性抜群で、2回戦以降の試合も注目していきたいと感じさせるものだった。

 一方、敗れた中越は、背番号1の山本雅樹と背番号9の山田叶夢を交互にマウンドに送る継投策で、強打の慶應義塾打線に3回以降は失点を許さなかったが、最後の最後で力尽きた。複数の投手を揃えての継投策が近年のトレンドとなっているが、また新しい継投の形を甲子園の舞台で見せてくれた。来年以降の活躍も期待したい。

(記事=栗崎祐太朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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