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日南学園と13年夏準優勝の延岡学園が競い、聖心ウルスラなども

2018.07.06

高鍋がリードした時代から、日南学園と延岡学園が双璧をなす時代へ

日南学園と13年夏準優勝の延岡学園が競い、聖心ウルスラなども | 高校野球ドットコム
宮崎県で最も安定した力を示しているのは日南学園だ

 長らく宮崎県の高校野球は高鍋がリードしていく形だった。しかし、現在では他県に洩れず、宮崎県も日南学園延岡学園などの私学勢力が強くなっている。
 そもそも宮崎県は九州でも野球後進県的な存在となっていた。県内から初めて甲子園に登場したのは高鍋だったが、1954(昭和29)年になってやっと実現する。甲子園出場県の記録としては、日本に復帰していなかった沖縄を除くと一番遅い記録となる。しかも、圧倒的に遅かった。
 その後、宮崎県は南九州大会として沖縄と組むようになっていたこともあり、記念大会の後の59年からは毎年のように甲子園に駒を進めている。その中心となったのが初の甲子園を記録している高鍋と、県内で一番の歴史を誇る旧制中学型の名門校で旧宮崎中の宮崎大宮だった。これに、宮崎商あたりが絡むというのが主な図式となっていた。

 宮崎県勢の甲子園初勝利は57年の宮崎大宮だが、当時としては、辛うじて甲子園に出てきて、組み合わせがよければ、まあ1つくらいは勝てるかなというのが正直なところだった。
 宮崎で公立勢に刺激を与えたのは都城が最初だった。ラグビーも強くやはり高鍋と競り合っていた。私立のスポーツ強化校という立場でもある。70年夏に始めて甲子園に登場して、77年、78年夏と連続して甲子園に駒を進めた。84年春にはベスト4に進出している。

 その都城と競うように登場してきた私立勢力が日向学院延岡学園という形でつながっていく。その後、県内で実力派として台頭していくのが日南学園で、現在ももっとも安定した力を示している。一躍有名になったのは、甲子園の最速記録154キロを表示した寺原隼人投手(ダイエー・ソフトバンク→横浜など)のいた01年夏のことである。

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2000年代に入ると新興勢力が一気に台頭

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延岡学園は2013年の夏の甲子園で準優勝に輝いた

 02年夏に甲子園初出場を果たした日章学園はブラジルからの留学生の活躍が話題となって、宮崎県高校球界に新たな風を吹き込んだ。敗れはしたものの、興誠と演じた大打撃戦は強烈な印象を与えた。
 2004年夏には新興の公立校の佐土原も甲子園に出場した。88年に創立した比較的新しい学校である。それまではとくに目立った活躍があったわけでもないが、一気に甲子園に届くと、初戦で塚原青雲を下して初勝利もものにしている。

 さらには新しいところとして聖心ウルスラ宮崎日大といった私学勢。また、かつては宮崎大淀として甲子園出場実績のあった宮崎工が、新校名となって初めて10年春に出場すると、12年夏にも出場。かつて読売ジャイアンツがキャンプ地としていた[stadium]宮崎県総合運動公園球場[/stadium]を学校が買い上げて、専用球場となり、環境が整ったことも大きかった。
 都城商も2009年夏にベスト8に進出している。優勝した中京大中京に敗れはするが、三重三重や智弁和歌山といった甲子園でも実績のある学校を倒しての進出は見事だった。

 甲子園の実績としては、13年に延岡学園が、初戦で自由ケ丘との九州対決を制すと弘前聖愛、富山一、花巻東を下して決勝進出の快進撃。前橋育英に競り負けたものの、県勢初の決勝進出は大健闘だった。その後も、17年秋にも県大会優勝でセンバツ出場。この年は、新勢力として富島も台頭してきて、ともにセンバツ出場を果たしている。
 また、他には、延岡工宮崎南なども時に実績を挙げている。甲子園には届いていないが過疎化が進行している高千穂も16年秋には健闘して地域を活気づけた。
 いずれにしても、現在は日南学園の存在が新たなリーダー格となりそうだ。南九州だけに限らず広く全九州から関西地方までの野球少年を集め、質の高い野球をしているといっていいだろう。
 宮崎県は人口の割には私立校が多いのも特徴ともいえるが宮崎学園鵬翔などもそんな一つだ。鵬翔は16年秋季県大会にも優勝している。

(文:手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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