Interview

戸郷 翔征(聖心ウルスラ)「県外の強豪校を破る投手になりたい」

2018.04.24

 毎年、高卒から好投手をプロ野球を送り出す「好投手輩出県」こと宮崎県。今年もプロ注目投手がいる。その名は戸郷 翔征聖心ウルスラ)。昨夏は2年生エースとして甲子園出場に貢献。185センチの長身から最速145キロの速球、縦横のスライダー、カットボール、スプリットと多彩な球種を投げ分ける宮崎県ナンバーワン右腕である。

 そんな戸郷は九州大会初戦明豊戦で登板。負け投手となったものの、7回までは1失点と実力の片りんは見せてくれた。戸郷はこの試合、どんな考えでピッチングを行ったのか?また夏へ向けての課題も語っていただいた。

(取材日 4月22日 明豊戦 試合後の取材より)

明豊戦の投球を振り返って

戸郷 翔征(聖心ウルスラ)「県外の強豪校を破る投手になりたい」 | 高校野球ドットコム
戸郷 翔征(聖心ウルスラ) 

―― 今日のピッチングで心掛けていたことは何でしょうか?

戸郷 今日はまっすぐは捉えられると思ったので、捕手と話し合って、初球は変化球から入ってストレートを生かす配球を心掛けようと思いました。

―― 戸郷投手が最も得意とするのはストレートの走り自体はいかがでしたか?

戸郷 悪くはなかったのですが、ベストなストレートではなかったです。理由としては踏み出し脚の膝が開いた状態となっていて、自分としてはしっくりとした投げ方になっていなかったからです。それがずっと続いてしまいました。

―― この試合、投球フォームでよくなかった点について教えてください。

戸郷 ブルペンでは良かったのですが、膝が倒れてしまい、(身体が)開いた状態で投げていました。そのため踏み出すところを掘って掘って対応していたのですが、それでもうまくいかず…。じゃあ左膝を内に入れようと思ったのですが、今度は内側にボールが抜けてしまう。思い通りのストレートを投げることができなかったです。

―― この試合で最もマークしていたのは3番・濱田太貴選手ですか?

戸郷 そうです。濱田君を抑えれば、自分にとっても自信になりますし、チームも勢いづくと思いました。

―― しかし第1打席目はライト前ヒットでした。

戸郷 スライダーを打たれて、これは投げる球をどうしようかなと思って。第2打席はまっすぐで押せてライトフライに打ち取ったんのですが、それでも恐怖感がありました。どうしようかなと捕手と相談して、これまで実戦では使っていなかったのですけど、スプリットを使おうと思いました。

―― 第3打席目はスライダー(125キロ前後)よりも速い変化球(130キロ前後)を使っていましたが、あれがスプリットでしょうか?

戸郷 第3打席はすべてスプリットです。それまで使っていなかったのですが、投げてみて使えるなと手応えを感じました。

―― 第4打席目はレフト前ヒットでした。

戸郷 スプリットを使っていて、見せ球のストレートを打たれましたね。本当にさすがでした。

―― 第5打席目は空振り三振に打ち取ります。

戸郷 変化球も打たれていてどうしよかなと思ったのですが、最後は自分の得意球であるストレートで空振り三振に打ち取って気持ちよかったです!

[page_break:夏へ向けての課題]

夏へ向けての課題

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戸郷 翔征(聖心ウルスラ) 

―― 濱田選手の対戦以外でも投球を振り返っていきたいと思いますが、ほかの選手にはどういう攻めをしていきましたか?

戸郷 縦のスライダーは空振りが奪えるので、それが軸となりました。でも明豊の打者がすごいのは、スライダーに対して体が開かずに待つことができること。だから最後は自分のスライダーを見切っていてさすがでした。これまで膝が開いたり、腰が開いた状態で振る選手が多かったのですが、そこはどうしようかなと思いましたが、自分のスライダーを信じていました。

―― 9回4失点という結果に対してはいかがですか?

戸郷 まだ自分は県外のチームに通用しないことが分かりました。これからの練習でコースに投げ分ける練習を行って、また変化球も習得して夏に向かいたいです。

―― 昨夏は甲子園を経験しましたが、その経験をどう活かしましたか?

戸郷 初めて全国大会を経験して、自分の実力不足を痛感する大会となりました。冬場は長距離走をメインに体力強化を行ってきました。秋から春にかけて体重も3キロ増やし75キロとなりました。でも球速アップ・スタミナアップのことを考え、今後は78キロまで増やしていきたいと思っています。そしてスプリットとカットボールも覚えて投球の幅を広げることができました。

―― 明豊のようなレベルが高いチームと対戦していかがでしたか。

戸郷 繰り返しになりますが、これまでで変化球を見切ってくるチームは初めてで、「投げる球がない」と思いました。でもああいうチームと対戦できて、打たれたのは悔しかったですけど、楽しかったですし、夏につなげたいです。

―― 夏の課題を教えてください。

戸郷 球速アップをしていきたいですし、また今日の試合は気温も高くて、暑さ対策ができていなかったのも反省点です。そして変化球の制球力を高めてスキがない投球をしたいです。最後に、どの球場のマウンドでもしっかりと合わせられる対応力を身につけ、甲子園に出場して明豊を破りたいと思います。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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