トレーニングを野球動作に結びつける
リフティング種目は、正しい動作で行うことができると野球動作のパワー向上につながるう
野球のシーズンに向けて体力トレーニングを行っているチームは多いと思いますが、トレーニングには基礎体力づくりから専門的な動作の改善までさまざまな役割があります。一番大切な試合に向けて身体のコンディションを整えるようにすることが大切ですが、身近にトレーニングやコンディショニングの専門家がいない場合でも、トレーニングが野球動作にリンクできるようにするちょっとしたコツがあります。それはどのエクササイズでも構わないのですが、1セット終わった段階でのインターバル中に野球の動作を行うことです。
例えばスクワットを1セット終わった段階で、ピッチャーであればシャドーピッチングをする、バッターであればスイング動作を行うといったことです。こうすることで今、鍛えた筋肉が野球動作の中でどのように使われているのかを確認することができますし、「神経から筋肉へと動きを学習させる」ことにつながります。もしスペースがあるのであれば、野手は実際のバットを振ってみることも良いでしょう。ただし素振りをする場合には周囲に十分気をつけること。限られたスペースの中や室内などで大勢の選手が一度にトレーニングを行う状況では、実際にバットを振ってしまうととても危険です。イメージのみでも構わないので、トレーニングのインターバル中に野球動作を取り入れてみましょう。
また専門的な動作を安定させたり、パワーやスピードを向上させたりするためには、その動作に近い動きをすることが良いと言われています。捕手や内野手であれば横の動きをイメージしたサイドランジを、外野手であれば前に出てボールを処理する縦の動きをイメージしたフロントランジをといった具合です。野球の動作から考えてエクササイズを選んでいくこともシーズン前には取り入れたいことの一つです。野球動作とは異なりますが、下肢の力を上肢に伝達するリフティング動作(パワークリーン、スナッチなど)は力強いプレーにつながります。ただしこれらは正しいフォームを習得するのがむずかしい種目でもありますので、なるべく専門家の指導の下に行うようにしましょう。
文:西村 典子
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