Column

プロ顔負け?細かい分析で選手を支える!鶴岡南(山形)マネージャー

2017.11.17

 山形県鶴岡市にある鶴岡南高校。文部科学省が指定するSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されている進学校だ。今回はそんな鶴岡南野球部を支える女子マネージャーにお話を伺った。

プロ顔負け?細かい分析で選手を支える!

左上から1年生の山口 明倫さん、佐藤未空さん、三浦 璃奈さん、左下から2年生の奥泉 ひよりさん、3年生の本間 綾さん、岸 華代さん、上林 夢佳さん(鶴岡南マネージャー)

 現在部員を支えているマネージャーは2年生の奥泉 ひよりさん、1年生の三浦 璃奈さん、佐藤未空さん、山口 明倫さんの計4名。飲み物の準備からボールを縫う作業、洗い物やアップの手伝いなど広い範囲でチームを支えている。

 その中でも特徴的な作業がデータ分析だ。パソコンやiPadを使いデータを収集し、分析する。毎日の練習からもデータを取り、その項目は「シートノックのエラー率」や「フリーバッティングの個人記録」、「スイングスピードの平均」、「ピッチャーの配球」、「打球方向」にまで及ぶ。日々明らかになったデータをパソコンに入力し、全体に共有する。数字で選手たちの実力を明確にして、共有することで、選手たちの現状把握に多大な貢献をしている。

 そんなマネージャー4人が楽しいと感じるのは、選手と一緒にいるときや、野球をしているところを見ているときだと教えてくれた。「精一杯頑張って、泥だらけになるまでやり続ける選手を『がんばれ!』と応援したくなるからです」。選手をサポートするために心がけていることは、練習のリズムを崩さないように、そして視野を広く持ち、選手の変化に気づくこと、選手の邪魔をしないようにすること。

 マネージャー4名に、マネージャーの仕事を通して嬉しかったことややりがいを語ってもらった。
三浦さん:選手の成長しているところが見れたときです!
山口さん:やはり仕事を頼まれたときです!
佐藤さん:選手が楽しく野球できるために、自分の仕事が役に立てたときです。
奥泉さん:私の仕事上では、パソコンを触っているときです。そしてシートノックの時、選手同士で励ましたりダメなところを言ったりしているときもに良いと感じます。
4名のマネージャーは選手たちの成長を誰よりも願っていることが分かる。そして最後の選手たちへメッセージ!

 「平日の練習は私立や普通の公立より少ないけど、鶴岡南は考えられるチームだし、少ない時間も有効に使っています。個々の能力は私立よりも劣っているかもしれないけど、人数が少ないことは悪いことじゃなくいいことだと思います。だから目標に向かって頑張り続けているみんなをマネージャー一同、1番近くで応援しています。また1番近く寄り添える、支えられるように精一杯頑張ります」

[page_break:きっかけはがむしゃらな選手の姿]

きっかけはがむしゃらな選手の姿

左から3年生の本間 綾さん、2年生の奥泉 ひよりさん、3年生の岸 華代さん、1年生の三浦 璃奈さん、山口 明倫さん、佐藤未空さん(鶴岡南マネージャー)

 中学時代はバレーボール部で活動していた2年生の奥泉 ひよりさん。きっかけは「がむしゃらに頑張る選手の姿」が素敵だったことだ。それに加えて「高校野球には毎年ストーリーがあると思います。その裏側で頑張ているマネージャーに憧れたから、またがむしゃらに頑張る選手さんの役に立ち、支えたかったからマネージャーになりました」と教えてくれた。

 マネージャーになり、他の人を気にかけたり、周りのことを考えたりすることができるようになった。さらにマネージャーの仕事、そして勉強の効率も上がった。ただ、ここまで順風満帆でたどり着いたわけではない。「他のマネージャーはソフトボール部の人が多く、自分は野球のルールなどを全然知りませんでした。なので置いていかれそうになった時や、選手にマネージャーの仕事を認めてもらえなかったりしたときもありました」。なぜマネージャーをやっているのかわからなくなった時もあった。

 一時は辞めそうにもなったが、同じ学年の選手たちに「辞めるな。俺たち頑張るから。必要だ」と励まされ、頑張ることを決意した。「マネージャーをやっていなかったら笑顔がなく、何にも頑張ろう、と思えない自分だと思います」と奥泉さん。マネージャーをやることで仲間の大切さも学んだ。

 どんなマネージャーになりたいか伺うと、こう話してくれた。「鶴岡南は他のチームと違って、人数がとても少ないです。なので学年を問わず、誰にでも寄り添っていられるマネージャーになりたいです」。

 主将の鈴木 陽介選手は「自分たちがプレーだけに集中することができるのは、マネージャーの皆さんがいてくれるからだと思っています。支えてくれた分を自分たちの全力プレーで返していけたらなと思います」と感謝の想いを伝える。

 限られた時間の中で日々、工夫を重ねる鶴岡南の選手とマネージャーたち。1つでも多く勝つために、1つでも高いステージでできるために。どこにも負けないシンキングベースボールを最後まで貫き通す。

 鶴岡南野球部、そしてマネージャーの皆様、ありがとうございました!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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