試合レポート

明石商vs育英

2017.10.01

明石商、盤石の戦いで7回コールド。3季連続のベスト4へ

明石商vs育英 | 高校野球ドットコム
加田 悠真(明石商)

 前回の試合で報徳学園を破っている明石商育英高校との一戦を迎えた。

 明石商の先発は加田悠真(2年)。 昨日の報徳学園戦で1失点完投勝利を挙げた左腕投手である。 どんなピッチャーなのかを説明すると 高校生にしては老獪なピッチングができる投手である。隅々まで見ると、投手としての技術は非常に高い。

 まず目につくのは投球フォームの実戦力の高さだ。ワインドアップから始動し、ゆったりと足を上げていきながら、右足を勢いよく上げていきながら、左足の膝を適度に伸ばしながら、バランス良く立つことができている。そこから重心を下げながら、下半身主導で動くヒップファーストで着地。着地したとき、テークバックを取った腕が体のラインから、見えにくい状態となっており、そこから一気にリリースに入る。打者からすれば打ちにくく、左腕から投げ込む速球は125キロから128キロぐらいとそれほど速くないのだが、打ちにくさを実感するのだ。

 ストレートの球速が突出していなくても抑えることができているのは、スクリューという武器がある。110キロぐらいのスピードで打者の手元で一気に落ちるので簡単に打てない このスクリューに育英打線は苦労した。

 簡単にストライクが取れて、ボール先行にならず、自分の間合いでピッチングができる。自分に有利なカウントを持ち込むことができているのが、ここまでの好投を生んでいるといえるだろう。

 明石商は1回の裏、2番山本 健太朗(2年)の左前安打からチャンスメイク。3番加田が四球。 4番右田がライトフライで山本が三塁へ 。二死一、三塁となって 5番勝本 樹(2年)は左前適時打で1点を先制する。さらに4回裏、満塁のチャンスから8番安藤が右中間を破る適時三塁打で貴重な3点を追加。さらに9番水上のスクイズが成功し、5対0と点差を広げると、二死から3番加田がライトの頭を超える適時三塁打で、7対0。さらに4番右田の左前適時打で8対0とワンサイドゲームとなった。

 加田は、7回表、二死一、二塁のピンチを招き、育英の2番久留島学(2年)が左前適時打を放ち、1点を返されるが、この回でしのぎ、明石商がコールド勝ちでベスト4進出を決めた。

 加田はさすがの安定感。常時120キロ後半でも、ストレートと同じ腕の振りで投げられるスクリューとのコンビネーションは新チームの段階で打ち崩すのは難しそう。打線は大物打ちはいないが、隙を逃さず打てる打線の力強さ、能力の高さは必見だ。加田を中心に落ち着いた試合運びができる選手が多く、しっかりと力を引き出すことができる。公立校として、なかなか完成度の高さを持ったチームといえるだろう。

 敗れた育英は、投手力の強化が急務。ほとんどの投手が平均球速120キロ~125キロでは、やはり高いレベルでは通用しない。左は130キロ、右投手の場合は135キロは求めていきたい。人が変わるぐらいトレーニングに励んでほしい。

 その中でも光ったのは3番手で投げた左腕・池田、4番手で投げた塩谷 魁斗(1年)は、来春以降、軸として投げてほしい投手。池田は120キロ前半のストレートだが、球質が良く、手元でピュッとキレるスライダーが良い。塩谷は勢いよく投げる右のオーバーハンドで、育英投手陣では最速となる128キロのストレート、120キロ前後のスライダーが光った。ここからどれくらい伸びるのか、楽しみと思わせる投手たちであった。

(文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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