Interview

田浦 文丸(秀岳館)「投手があるから打撃も生きる!」

2017.07.11

 秀岳館には全国クラスの実力を持つ左腕が2人いる。センバツでは背番号10だった川端 健斗(3年)が「ちぎっては投げる力投派」なら、エース番号を背負った田浦文丸(3年)は「ゲームをしっかり作れる投手」というのが鍛治舎巧監督の評価だ。中でも田浦は投手としてはもちろん、打者としても非凡の才がある。夏は投打二刀流の活躍が期待される田浦に夏への意気込みなどを聞いた。

秀岳館に進んだ理由は枚方ボーイズの選手たちの雰囲気に圧倒されたこと

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田浦 文丸(秀岳館)

――出身は福岡。熊本の学校を選んだ理由は?

田浦 文丸選手(以下、田浦):中学2年の時、ジャイアンツカップの決勝で枚方ボーイズと対戦したのがきっかけでした。対戦した他のどのチームにもないオーラがありました。身体つきに力強さがあって、ホテルも同じだったのですが、ホテルにいるときから同じ中学生とは思えない独特の雰囲気がありました。実際に対戦し、打席に立ってみて1つ上の堀江(航平)さんが投げたスライダーなのか、チェンジアップなのか、変化球のキレがすごかったのを覚えています。そのチームを率いていた鍛治舎監督が秀岳館の監督になり、堀江さんや九鬼(隆平)さんたちが枚方から行くという話を聞いていたのが興味を持ったのがきっかけでした。

 福岡だと確実に甲子園に出られる学校がなかったので、地元の学校に行くことは最初から考えていませんでした。秀岳館か、もう一つ別の遠いところにある強豪校に行こうか、迷っていましたが、小学校の時の監督さんと食事をしていて「遠いところに行って甲子園に出るのもいいけど、親が応援に来られるところで甲子園を目指すのも親孝行だぞ」と言われて秀岳館を選びました。

――実際に入ってみて、中学時代「すごい」と思った人たちと野球をしてみてどうでしたか?

田浦 文丸選手(以下、田浦):先輩たちは厳しいのかなと思っていましたがそんなこともなくて、思っていたような上下関係はなかったです。お互いに気づいたところは注意し合うような雰囲気が先輩や、同級生にもあって、自分たちで自主性を持ってやっていました。厳しい上下関係のある中でやるよりも、ある程度自由にやりつつ、締めるべきところは締めるチームの方が自分には合っていました。

――秀岳館でのこの2年あまりで、投手として成長したのはどういう部分ですか?

田浦:もともとは直球とスライダーだけの投手でしたが、今はチェンジアップ、横のスライダー、カットボールと球種も増えました。球速は133〜135キロぐらいだったのが、今では最速144キロまで投げられるようになりました。

 毎日の練習で球速を計っているうちに、速いボールを投げるためにはどうすればいいか、意識しながらやっていたのが良かったです。力を入れて投げるよりも力を抜いて、そのかわりリリースの所だけをしっかり意識して投げると球速が伸びることが分かりました。

 身体の土台を作るために、上半身、下半身の筋力をつけることもトレーニングしました。フィジカルチェックでは特に太ももの裏の筋力がついたことがはっきり分かります。リリースに関しては重りを握って、落として、つかむのを繰り返すトレーニングを取り入れています。これは昨年の国体で履正社の寺島(成輝・東京ヤクルト)さんから教わった方法です。

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甲子園で掴んだ自信

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田浦 文丸(秀岳館)

――1年秋から公式戦を経験し、昨年はセンバツ、選手権とも甲子園に出ています。初めての甲子園の印象や思い出は何かありますか?

田浦:センバツは花咲徳栄(埼玉)、南陽工(山口)戦、選手権は常葉菊川(静岡)、いなべ総合(千葉)、北海(北海道)戦でマウンドを経験しました。最初の頃は無我夢中だったのでよく覚えていないです。甲子園のマウンドは硬かった印象があります。僕は硬い方が投げやすいので投げやすかったことは覚えています。

 夏準決勝の北海戦では2イニングの登板でしたが、良い投球ができて自信になりました。1イニング抑えた後、九鬼さんがランニングホームランを打って1点差になり、もう1イニング抑えてやるぞと気持ちが入ると同時に緊張もしてかなりやばかったのですが、0でしっかり抑えることができたので自信になりました。

――昨秋の九州大会では長崎東戦で17奪三振を記録しました。

田浦:中学の頃までは三振を狙うタイプの投手でしたが、高校では打たせて取るタイプに変わりつつあります。このときはまだ球種は直球とスライダーだけで、チェンジアップを覚えて試していたぐらいでした。試合中は何個三振をとっているか、全く気付かなかったです。直球の伸びが良いことだけを感じて投げていました。

 大会前に国体があり、履正社の寺島(成輝・東京ヤクルト)さんに直球の投げ方を聞いて、押し出す感じと教わり、それが僕の感覚にもあっていたので調子が良かったのだと思います。

――打者として活躍するきっかけは何かあったのですか?

田浦:入学したころは投手に専念しろと監督さんからは言われていましたが、投手でも打席は1、2回まわってきます。その時にしっかり打っていたので、2年の秋からは打者もやるようになりました。中学時代も4番を打っていたので、元々打つことも好きでした。

[page_break:全国制覇するために細かい部分が大事になってくる]

全国制覇するために細かい部分が大事になってくる

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田浦 文丸(秀岳館)

――2年冬は投手に加えて打者ということでトレーニングに変化はありましたか?

田浦:特にやることは変わらなかったです。投手としてのトレーニングをずっとメーンでやっていました。野手陣がやっているようなティーや振り込みはやっていません。打てなくてもいいかと気楽な気持ちで打席に立てるのが、逆に良いと思っています。打者としては小中時代にできたかたちをそのままやっています。

 打者だと思って打席に立つと「打てなかったらどうしよう」と考え込んでしまうので、かえってよくない。投手がメーンで、打つのも好きと気楽に打席に立っている方が僕には合っています。

――投手でない時はライトを守っています。守備で心掛けているのはどんなことですか?

田浦:打撃と同じで、守備に関しても本職の人のような練習はほとんどしていません。後ろにそらさないことだけは特に意識しています。僕が守っているときは川端が投げているときで、あまり難しい打球が飛んでこないので助かっています。

――3季連続甲子園ベスト4。3年生最後の夏は日本一への最後の挑戦になります。意気込みを教えてください。

田浦:投手としての理想は、金子千尋投手(オリックス)や菊地雄星投手(埼玉西武)のように、力で抑え込むのではなく、気づいたら三振を取り、打ち取っているような投手になることを目指しています。秀岳館は先発、中継ぎ、抑えといろんな場面で起用されますが、思い付きではなくあらかじめ言われているので、いつでもいける準備はできています。

 3季連続で甲子園は経験しましたが、目標の日本一にはまだ届いていないのでもの足りないです。そのためには準決勝からあと2試合を勝ち抜くために、体力だったり、食事のとり方だったり、細かい部分も大事になってきます。

 3季連続で甲子園には出ていますが、熊本大会で取りこぼしそうになった試合もありました。これから始まる熊本大会でも苦しい展開になる試合はあると思います。そういうときこそ、チーム一丸となって辛抱強く戦うことが大事だと考えています。

(インタビュー/文・政 純一郎

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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