Column

【外野手上達ドリル】日本生命・佐々木 正詞コーチに聞いた!「なぜ外野手もキャッチボールを大事にするのか?」

2017.02.07

 全国最多となる通算58度の都市対抗出場歴を誇る社会人の名門・日本生命。一昨年は都市対抗・日本選手権を制し、史上3チーム目となる夏秋連覇を達成した。その大きな原動力となったのが社会人球界随一と称される高い守備力。外野守備に特化してもそのレベルの高さは圧巻だった。その鉄壁の外野陣が築かれた背景を探るべく、向かったのは大阪府吹田市に所在していた旧・日本生命グラウンド(※現在は貝塚市に移転)。到着するとチームの外野守備指導を担う佐々木 正詞コーチが出迎えてくれた。

守備練習はキャッチボールから始まっている

「外野専任になったのは高校時代ですね。そこからは外野手一筋です」
徳島県出身の佐々木コーチは1980年生まれの36歳。徳島商、亜細亜大学を経て、社会人の名門・日本生命に入社。1年目からレギュラーを獲得し、2005、2006年は2年連続で社会人ベストナインを受賞。プロも注目する俊足・巧打の外野手として名を馳せた。現在は指導者として日本生命の勝利と選手育成に尽力する日々だ。

「多くの高校球児を見ていてもったいないなと感じるのは、キャッチボールと守備練習を切り離して考えている選手が多いことですかねぇ…」
インタビューは佐々木コーチの高校生外野手に対する印象コメントからスタートした。

「キャッチボールはウォーミングアップの延長であって、あくまでも肩慣らしの時間と考えている選手が多い。いざ、ノックが始まってからが守備練習の時間。うちに入ってくる新人にも言えることですが、そこを分けてしまっている選手が非常に多いなと感じます。そんな選手はキャッチボールの時にヒザが突っ立ったまま、手だけ伸ばして捕ったりする(写真1↓)。でも実際のプレーの中でそんな姿勢で捕球するシーンなんてないじゃないですか?ということはその時点で守備練習とは切り離されたキャッチボールになってしまっている。せっかくの上達機会を放棄しているようなものだと思うんです」

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【写真1】キャッチボールを守備練習から切り離した選手にありがちな捕球体勢

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【写真2】キャッチボールの時も本番同様の構えで

 佐々木コーチは現役時代、キャッチボールを行う際は、守備位置についた時と同様の体勢で構えることを徹底していたという(写真2↑)。

「捕球もフライやライナーを捕る意識で行っていました。ハンドリング練習の意味合いで、時にはあえて手だけ伸ばして捕ることもありましたが、基本的には相手の送球が逸れたときもボールに対して体と目をしっかり入れていく(写真3↓)。そして捕球後はすぐにボールを投げる側の手に持ちかえる。すぐに投げる必要はないけども、持ち替えるところまでは必ず行うことを心がけていました」

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【写真3】目をしっかり入れていく

 遠投を行う際も、相手の投じたボールをフライに見立て、ボールが指を離れた瞬間に落下地点を予測し、素早く先回りして捕球する。時にはあえてスタートを遅らせ、ギリギリの打球に対する捕球シーンを想定した練習も遠投メニュー内で既に済ませていた。
「犠牲フライを想定し、後ろから勢いをつけながら捕球し、すぐに返球することで犠牲フライを想定した練習も可能です。実際のプレーをイメージしながらどこまでキャッチボールができるか。毎日行う事なのでこれだけで外野守備の上達スピードは大きく変わってくるものです」

[page_break:前に一歩踏み込みながら構える重要性]

前に一歩踏み込みながら構える重要性

「体を動かした状態でインパクトの瞬間を迎えることですね」

 テーマは「外野手としての構え方のコツ」に移った。「例えるなら『静から動』ではなく、『動から動』。人間は0の状態からいきなり100にすることは難しいのですが、1があると100までぐっと体を動かせることができるものです」

【外野手上達ドリル】日本生命・佐々木 正詞コーチに聞いた!「なぜ外野手もキャッチボールを大事にするのか?」 | 高校野球ドットコム

右足を踏み込み、インパクトに合わせる(日本生命・佐々木正詞コーチ)

――0の状態でインパクトを迎えないことがポイント。

「じっとした0の状態でインパクトを迎えると、打者が強振したときについ後ろに一歩踏み出してしまいがちです。そしてこの後ろへの1歩が命取りになって、詰まった前方の打球がヒットになってしまうことが少なくない。ピッチャーにとっては非常にダメージが残るヒットになってしまうんです。やはり投手が打ち取ったと思うような打球は極力アウトにしてあげたい。そのためには外野手はいかなる時も、一歩前に踏み出した状態でインパクトの瞬間を迎えた方がいいというのがぼくの考えです」

――踏み出す足は左右のどちらでもいいのですか?

「ぼくは右足を踏み出していましたが、どちらでも構いません。とにかく一歩目を前に踏み出す。これだけで前の打球へのスタートが断然よくなり、ポテンヒットになりそうな打球を処理できる確率がぐっと高まる。それに野球というスポーツはボールを持っているピッチャーを除けば、自分からはアクションをおこすことができない受け身のスポーツです。だからこそ守備の時でも打者を攻めていく気持ちを忘れたくない。しっかりと動いた状態から前に踏み出す動作が攻める気持ちを呼びおこしてくれる効果も見逃せません」

ボール回しは内野手だけのものじゃない

「自分はあまり肩が強い方ではなかったので、足をしっかりと使ったバランスのいい体勢から投げたいという気持ちが常にありました」

 テーマは「スローイング」へ。佐々木コーチは「万全の体勢で投げるためにはどのような姿勢で捕球シーンに入っていけばいいのか。そんなことを毎日考えながら練習をしていた」と語った。
「大学時代の練習の中心メニューが走者を付けた実戦形式のノックだったことや常にランナーをイメージしたバッティング中の守備が自分の成長を後押ししてくれました。おかげで『この打球に対してはこう入って、こう投げたら、ここにいく』という感覚を体で覚えていくことができました」

――バックホーム送球など、スローイング面で大事なポイントはどういったことでしょうか?

「リリースポイントから目標地点を結んだラインを外さないことを最優先で考えることだと思います。いくらレーザービームをノーバウンドで届かせることができても、送球がラインをはずれてしまえばアウトにするのは困難です。でもラインにさえ乗っていれば、ツーバウンド、スリーバウンドになったとしてもアウトにできる確率が上がるものです」

 日本生命では内野のボール回しを行う際、外野手も加わり野手全員で行うのが基本。佐々木コーチは「ボール回しは内野手だけのメニューと思われがちですが、外野もやるべきだと思う」と続けた。
「内野手のように素早く持ち替え、塁間を正確に強く投げられるようになることは外野手としてもメリットしかありません。全員で行うことで、チームの一体感も生まれる。ボール回しが内野手だけのものになっているチームにはぜひおすすめしたいです」

 上手い外野手になるには、実は内野手が意識しているようなことがたくさんあることが分かります。後編ではレフト・センター・ライトの外野手3ポジションで留意しなければならないことについて語っていただきました。

(取材・文/服部 健太郎

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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