Interview

北海道日本ハムファイターズ 中田 翔選手(大阪桐蔭出身)「僕は変化することを恐れない」【前編】

2016.12.14

 今季、不動の4番打者として打点王に輝くなど、北海道日本ハムファイターズの10年ぶりの日本一に貢献した中田翔。シーズン中であってもバッティングフォームを変えることを厭わないなど、常に進化を追い求める和製大砲にとってシーズンオフは、もっとも他の選手と差をつけられる期間だととらえている。さらに上を目指して取り組むオフのトレーニングについて話を聞いた。

目に見えないマイナーチェンジは繰り返している

北海道日本ハムファイターズ 中田 翔選手(大阪桐蔭出身)「僕は変化することを恐れない」【前編】 | 高校野球ドットコム

中田 翔選手(北海道日本ハムファイターズ)

――自己最多となる110打点をマークして2度目の打点王に輝き、例年以上の盛り上がりを見せた広島東洋カープとの日本シリーズも制した。今季はどんなシーズンだったと振り返りますか。

中田 翔(以下「中田」):チームとしては日本一という最高の形で終われたので本当に良かったなと思いますけど、個人的にはもっとできたというか、もっともっとやりたかった、やらなければいかなかったという思いが強いです。打率(.250)なんて論外ですし、打点もホームランも全然パッとしない。打点はタイトルこそ獲れましたけど、決して納得できる数字ではないです。ホームランもずっと4番を打たせてもらったのに本当に恥ずかしい本数(25本)。25本?26本?少なすぎてはっきり覚えていないです。

――今季、バッティングに関しては何かを変えて臨んだというようなところはあったんですか。

中田:足を上げて打つというフォームはまとまってきてはいると思いますし、何かを大きく変えたということはないです。ただ、その中でもいろいろと探しています。小さなところでは僕は結構、フォームを変えるタイプで、今シーズン中も構えたときにちょっとだけ手首を返してみたり、ほんの少し右肘を上げたり、下げたり。普通の人が見てもわからない、僕にしかわからないくらいの違いですけど、そういうレベルでは、シーズン中でもちょこちょこ変えています。本当に細かいですよ。軸足のつま先を1センチくらい外に開いてみたり、逆に内側に閉じてみたりとかやりますね。

 相手ピッチャーのタイプによって変えることもありますし、左ピッチャー、右ピッチャーで変えることもあります。自分の中で左ピッチャーのときはバットをちょっと寝かした方が感じがいいとか、こうした方がバットが抜けやすい、しっかり軸足に体重を残して打てるとか。そうやって引き出しを増やしていくことは良いことだとも思いますからね。結果は別として、自分の感覚を大事にしています。高校生なら、そういうのを楽しみながらやったらいいと思いますよ。

――それは試してみた感覚に従って取り込んでいるという感じですか。

中田:そうですね。ピッチャーでもよく言いますよね。キャッチボールの中でちょっと変化球を試しで投げてみたら感覚がよくて「これ、使えるかも」と思ってブルペンでも投げてみて、試合でも使いましたというケースが。それと一緒で、試合前のフリーバッティングでちょっと変えて打ってみて、「なんか感じがいいな」と思ったら、試合でもその形でやりますからね。その日にできたフォームで打ちます。それで、その試合でたとえばホームランを打つじゃないですか。でも、次の日の練習で、こっちの方がいいというふうに感じたら、すぐにそれにまた変えます。

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僕はよりいいものを求めて変えたいタイプ

北海道日本ハムファイターズ 中田 翔選手(大阪桐蔭出身)「僕は変化することを恐れない」【前編】 | 高校野球ドットコム

中田 翔選手(北海道日本ハムファイターズ)

――追い求めている感覚というのがあるんですか。

中田:気持ち良く振れる、スイングができる。そういうところを追い求めています。打てる、打てないは、その後のことなので。どれだけリラックスした状態で、どれだけ楽にバットをスイングできるか。そこですね。

――ただ、結果が出ているのに変えるというのは、悪い方向に進んでしまったらどうしようとか、怖さはないですか。

中田:全然ないですね。早くフォームを固めた方がいいという考えの人もいるでしょうけど、僕はよりいいものを求めて変えたいタイプです。シーズンを通して同じコンディションで戦えるわけではないですし、それは長いスパンで考えても一緒です。毎年、毎年、体重も、筋力も、それに伴って動きも変わってきますから、打ち方が変わるのはおかしいことではないと思います。体の細い選手が僕と同じ打ち方をして打てるのかといえばそうではないですし、逆にその選手の打ち方を僕が真似して打てるかといえば、また違うわけです。人それぞれで合ったフォームは異なるのと同じで、そのときの体に適したフォームというのがあると考えています。

――では、このオフも、よりいいものを目指せる体へと進化するためにトレーニングに励まれているわけですね。

中田:僕にとってはシーズン終了からキャンプインまでの期間はすごく大事だととらえています。他の選手と1番差をつけられるのがこの時期だと思うので。シーズン中のトレーニングはナイター終わりとかだとどうしても遅い時間になってしまう。次の日もすぐ試合があるので、有酸素運動だったり、エアロバイクを漕いだりという、少しでも疲れを抜くことを優先して考えてしまう。だからこそオフに自分を追い込まないで、いつ追い込むんだという感じです。今日は軽かったんですけど、いつもやっているメニューを行った後は腕とか上がらないですからね。

 この日はオフに入って初めてのトレーニングだったこともあり、通常の半分もない軽いメニューだったものの、目的意識が明確で、非常に機能的な内容だった。体を温めた後のストレッチもバッティングの実際の動きを意識して、正しい可動域を出すことが念頭に置かれていたし、「バーサプーリー」というマシンを使って速さとパワー向上のための2つ以上の筋肉を連動させたスピードトレーニングも、バッティング時の横のベクトルを考えて作られた独自のメニューもあった。メニューの合間であっても、バットを握ってスイングを行い、どこを鍛えていて、それがスイングにどう影響してくるかを何度も確認する姿も印象的だった。それはこの日に限らず、いつも見られる光景だという。

 今回の中田選手のインタビューを読んで、皆さんはどんな印象を受けたのでしょうか。とても考えて野球を取り組んでいる様子が垣間見えます。後編では中田選手が考えるトレーニングについての考え方に迫り、高校球児へメッセージをいただきました。

(インタビュー・文/鷲崎 文彦

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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