Interview

八戸学院光星高等学校 田城 飛翔選手「武器は160キロ超えのスイングスピード!強打で支配下登録選手を勝ち取る」

2016.11.08

 今年10月20日のドラフト会議にて、福岡ソフトバンクホークスから育成枠3位指名を受けた田城飛翔(つばさ)。八戸学院光星の中心打者として、3年春から二季連続で甲子園出場を果たした田城は、この夏の市立尼崎戦で豪快な本塁打を放ち自慢の打撃をアピールした。いかにして田城はプロ入りできる選手までに成長していったのか。その軌跡を振り返っていく。

プロ入りするために八戸学院光星を選んだ

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田城 飛翔選手(八戸学院光星高等学校)

 田城は神奈川県平塚市出身。二宮大磯リトルシニア時代は捕手だった。その田城が八戸学院光星に進学するきっかけは2012年の田村龍弘(現・千葉ロッテ)の活躍を見たことだという。
「田村さんの活躍を見て、光星に行きたいと思うようになりましたし、プロへいくために光星に決めました」

 入学後は素質の良さをアピールし、早くも主力チームの練習に参加した田城。1年夏はベンチ入りできなかったが、仲井 宗基監督は将来のレギュラー候補である田城に、夏の大会の雰囲気、レギュラー選手の立ち居振る舞いを学ばせるために、バッティングキャッチャーとして帯同させていた。そして田城もレギュラー選手と同じ練習をこなした。そんな中、ある夜の素振りのときだった。

「そのときの素振りが、惚れ惚れするスイングをしていました。大袈裟ですけどまるでプロ野球選手のようなスイングですよ。この代、甲子園ベスト8までいったチームなんですけど、そのレギュラーの選手たちよりも素晴らしいスイングをしていました」

 仲井監督を惚れさせた豪快なスイング。このとき、仲井監督は新チーム以降、田城を主力選手として育てることを決めた。新チームがスタートして、田城は外野手へコンバート。そして県大会前の地区大会でスタメン起用。いきなり本塁打を放つ。

「この本塁打を見て、さすが田城と思ったのですが、ここから下降してしまったんですよね…」
順調なスタートを切ったように見えたが、その後、田城は無安打が続き、県大会のメンバーから外れた。本塁打を打ったことで無意識に本塁打を狙うようになったのが、フォームを崩す一因になった。県大会後の練習試合でも打てず、20試合連続無安打ということもあった。田城にとって苦しい日々であった。この不調を脱したいと思いで、多くの先輩からアドバイスをもらった田城だったが、それでも打つことができなかった。

 そんな田城がようやく不調を脱したのは春先の練習試合から。八戸学院光星はこの時期から選抜に出場する主力チームと新チームに向けて、下級生中心で動くメンバーで分かれて行動する。田城は後者のチームに入り、レギュラーを目指していたが、ここで田城は活躍し始める。選抜後、県大会のベンチ入りメンバー候補に挙がったが、ベンチ入りをかけた試合で無安打となり、県大会ではベンチ入りができなかった。しかし、東北大会前にけが人が続出。そこで再びベンチ入りのチャンスが巡ってきた田城は、快打を披露。滑り込みで東北大会でのベンチ入りを果たしたのであった。

[page_break:飛躍のきっかけとなった2年春の東北大会の本塁打]

飛躍のきっかけとなった2年春の東北大会の本塁打

八戸学院光星高等学校 田城 飛翔選手「武器は160キロ超えのスイングスピード!強打で支配下登録選手を勝ち取る」 | 高校野球ドットコム

田城 飛翔選手(八戸学院光星高等学校)

 そして迎えた東北大会では弘前学院聖愛戦で代打として登場し、特大本塁打を放つ。「地区予選で打った試合と違ってああいう舞台で打てた本塁打だったのでうれしかったですね」と振り返った田城。仲井監督も「あれは大きかったですね。夏も期待できるだろうと思わせる一発でした」と指揮官を喜ばせる一発となった。この本塁打は田城にとって大きな弾みとなった。

 その後の夏前の練習試合で安打を量産し、ベンチ入りを勝ち取った田城。ライバル校は右サイドの好投手が多く、八戸学院光星はそれに備えて左打者が多くベンチ入り。その1人として田城もベンチ入りを果たしたのであった。

 しかしベンチ入りして初めて臨んだ夏の大会で悔しい経験を味わう。青森大会決勝戦の三沢商戦では、相手の右サイドハンドに苦しみ、なかなか点が取れず、試合は延長戦に。出番が巡ってきたのは、延長10回表だった。二死一、二塁の場面で打席に立った田城は1ストライクからの2球目を打って、痛烈な二ゴロに終わった。そしてその裏、サヨナラ負けを喫した。この試合を、監督と田城はどちらも悔しがった。

「右サイドが来るとわかっていたのに、田城をスタメン起用できなくて、自分自身に対して悔やんだ試合でした」(仲井監督)
「あの場面で打てなかった自分の勝負弱さ。先輩たちに申し訳ない気持ちでいっぱいでした」(田城)

 だがこの悔しさが田城の力となった。秋の公式戦では打率.543、15打点と大当たり。この秋の活躍により田城は本気で高卒プロを考えるようになった。
「入学からプロ入りするために八戸学院光星にきたのですが、全く打てなくて…。指導者の方から無理やといわれていたのですが、秋に5割打って、仲井先生からじゃあ目指していこうと決めました」

 田城にとって初の全国舞台となった3年春。開星戦(試合レポート)では3打数0安打に終わったが、2回戦龍谷大平安戦では左の技巧派・市岡 奏馬から3打数2安打。甲子園ベスト4に導いた左腕から放ったことは大きな自信になった。

 そして、更なる活躍を誓って臨んだ青森大会だったが、打率は.318。本人は納得していなかった。
「3割打っていますけど、僕の中では実質1割ぐらいですよ。しっかりととらえたと思った安打が2本ぐらいだったと思います」

 二季連続の甲子園出場を決めた八戸学院光星。二度目の甲子園ということもあって、田城は選抜と比べると落ち着いた雰囲気で試合に臨むことができていた。指導者からは「田村も北條も、青森大会ではあまり当たりがなかったけど、夏の甲子園で当たったからな。その前触れとなればいいな」と励まされて臨んだ市立尼崎戦(試合レポート)。

[page_break:自信になった市立尼崎戦のバックスクリーン弾]

自信になった市立尼崎戦のバックスクリーン弾

 市立尼崎の好投手・平林弘人の140キロ前後の速球、キレのあるスライダー、そして手元でぐっと曲がるシュートに苦しむ八戸学院光星打線。しかし1人当たっていたのが、田城だった。第1打席は左前安打、第2打席は右前安打と2打席連続で安打を放ち、迎えた第3打席。高めのストレートを振りぬいた打球はバックスクリーンに飛び込むソロ本塁打となった。この本塁打に「バックスクリーンへの当たりは初めてだったので、本当に嬉しかったです」と振り返った田城。

 そして試合は延長戦となり、延長10回表、この試合6打席目に立った田城は痛烈な二塁内野安打。これが勝ち越しを呼び込む適時打となり、計5打数4安打の活躍で、勝利に貢献した。しかし、続く2回戦東邦戦では厳しいマークを受け、2打数0安打2四死球で終わった。チームも逆転サヨナラ負けを喫し、田城としても「もう1試合やりたかった」と悔やんだが、それでも1年生のときに全く打てなかった時期と比べると、成長した姿を甲子園で見せることができた。

驚愕のスイングスピード!その数値は??

八戸学院光星高等学校 田城 飛翔選手「武器は160キロ超えのスイングスピード!強打で支配下登録選手を勝ち取る」 | 高校野球ドットコム

田城 飛翔選手(八戸学院光星高等学校)

 夏の甲子園後も、現役選手と混じって汗を流す田城。そんな田城が一番武器にしているのは「振る力」だという。そして仲井監督も「田城のスイングは本当に素晴らしいですよ」とコメント。田城のスイングをスイングトレーサー(※ミズノ社製のスイング測定器)で測ってみると、驚きの数字を連発した。
田城 飛翔選手のスイング軌道はこちら

「プロでトップレベルの数字を出している選手に負けない数字を出しますよ!」と計測前に宣言した田城。いきなり152.4キロを計測する。この数字を見て、さらに張り切った田城は、ついに164.7キロを計測したのだ。この数字に思わず、「よっしゃ!」と雄たけびを上げた田城。木製バットでたたき出したのだから、田城の振る力がいかに素晴らしいかがわかる。

 これでプロでウリにできるものが明確になった。仲井監督にこの数字を伝えると、「やっぱりね」という反応だった。プロ入りを決めた教え子に、仲井監督は
「田城はベンチプレスを見てもそんなにすごい数値(90キロ)を出すわけではないのですが、スイングスピードを見ればわかるように、野球センスはすごい。足、肩もある選手なので、これで野球IQを鍛えて、さらにフィジカル面ももっと鍛えこんでいけば、さらにすごい選手になると思います」と教え子にメッセージを送った。

 育成枠からのスタートになるが、1年生のときに味わった絶不調を乗り越え、プロ入りにたどりつくまでの努力ができる田城ならば、勝負ができるはず。自慢のスイングスピードを生かした強打で支配下登録選手を目指していく。

(文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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