Interview

明秀学園日立高等学校 細川 成也選手「目指すは次世代を担うスラッガー」

2016.11.10

 10月20日のドラフト会議にて、横浜DeNAベイスターズから5位指名を受けた細川成也選手。高校通算63本塁打は茨城県では歴代最多。球団も、スラッガーとして高く評価している。その細川は入学当初は全くバットに当たらない選手だったという。指揮官もナインも「化けた」と思わせる成長を見せた、細川の3年間を振り返っていく。

金沢監督の指導で素質が開花 夏までに高校通算61本塁打

明秀学園日立高等学校 細川 成也選手「目指すは次世代を担うスラッガー」 | 高校野球ドットコム

細川 成也選手(明秀学園日立高等学校)

 普段は物静かで優しい青年だが、181センチ85キロという恵まれた体格、二の腕の太さや太ももの太さを見ると、やはり威圧感がある。ベンチプレス130キロ、スクワット220キロと強靭な筋肉を持つ細川。細川はこの3年間、パワー強化と強靭なパワーを生かすための技術習得に時間をかけてきた。

 いわきシニアから明秀学園日立に進んだ細川。入学当時から長打力には自信を持っていたが、バットに当たる確率が低く、空振り三振も多かったという。だが、光星学院時代、坂本勇人(現・巨人関連記事)、北條史也(現・阪神)など数多くの強打者を育て上げてきた金沢 成奉監督の指導で、少しずつミートする確率が高まり、自慢の長打力も見せ始める。

「中学の時は本当に上半身だけで打っている選手でした。しかし金沢監督から下半身の使い方や股関節をうまく使うことを教わり、打撃フォームが固まってきました」

 またタイミングの取り方も学んだ。細川のスイングを見ると、振り幅が大きいスイングをしている。これは細川に限らず、明秀学園日立の選手にみられるスイング軌道だが、このスイングでボールをしっかりとコンタクトするには、振り遅れないことが大前提となる。そのために始動を早くすること。投手が投げたボールを長く見られるように自分なりのタイミングを掴んできた。

 そしてようやく本塁打を量産するようになったのは2年春から。レギュラーを獲得した細川は2年春の関東大会で本塁打を放つ。
「自分にとって公式戦初本塁打で真っすぐを打ったと思いますが、自分でも驚きの一発でした」

 本人にとって嬉しい一発。これで弾みがつくと思われたが…。チーム内で不祥事が起こり、2年秋まで対外試合禁止により秋の公式戦まで出場ができなかった。それでも地道な練習を積み重ねていく細川。

[page_break:最後の夏は自分の打撃ができなかった]
明秀学園日立高等学校 細川 成也選手「目指すは次世代を担うスラッガー」 | 高校野球ドットコム

細川 成也選手(明秀学園日立高等学校)

 本塁打量産ペースが一気に加速するのは3年春になってからだ。今年の3月、岐阜県で行われた「高校野球フェア」では6試合で本塁打を5本打つ。相手は中京大垣日大県立岐阜商といった岐阜県上位のチーム。そのチームのエース格から打ったのだから、価値が高い活躍であった。
「あの時、ボールも見やすい状態で、さらにうまく力が抜けていて、素直にバットを出したら本塁打になっていました。それぐらい調子が良かったです」と振り返った細川。指揮官もナインも、「化けたぞ!」と驚きの大爆発だった。

 そこから練習試合で本塁打を量産する細川。3年春から投手を始めて、投打の柱として臨んだ地区予選では2試合連続本塁打を放ち、県大会出場。しかし、県大会2回戦で石岡一に0対7で敗れ関東大会出場を逃し、さらに夏はノーシードで迎えることとなった。

 早期敗退の結果に、選手たちはもう一度自分たちの弱点を見つめなおした。細川は「自分が打たれて負けてしまったので、投手としての実力も磨くことを決めました」と、日々の投球練習では下半身を使うことを意識して投げ込み。大会前には、座らせて200球も投げこんだ。
そして夏までの練習試合で本塁打をさらに量産して、夏の大会を迎えるまでに高校通算本塁打は61本に達した。

最後の夏は自分の打撃ができなかった

 最後の夏に突入。1回戦古河三と対戦したが、この試合は大苦戦。細川は4回裏、無死満塁の場面で登板。1点は取られたが、夏までに磨いてきた140キロを超える速球でピンチをしのぐと、その後は安定したピッチングで点を与えない。7回に追いついた明秀学園日立は、延長10回表、糸野雄星の本塁打で勝ち越しに成功した。1回戦に辛勝すると、2回戦では春に敗れた石岡一と対戦。先発した細川は、自慢の速球で、4安打完封。見事にリベンジを果たしたのであった。

 その後もエースとして快投を見せる細川だが、打撃の方はなかなか当たりがでず、無安打の試合が続いた。不調の要因として細川は
「打撃フォームを崩していて、ボールの見え方も良くなく、力んでいたと思います。試合の中で修正をしていきました」

 細川らしい豪快な当たりを見せたのは準々決勝水城戦だった。夏1号となるレフト方向への特大本塁打を放つ。そして準決勝霞ヶ浦戦でも右中間へ一発。だんだん調子を上げていったが、決勝常総学院戦では鈴木昭汰の前に抑え込まれ、無安打。あと一歩で甲子園を逃し、細川の夏が終わった。

[page_break:坂本は技術で飛ばす選手。細川は純粋に遠くに飛ばす選手]

坂本は技術で飛ばす選手。細川は純粋に遠くに飛ばす選手

明秀学園日立高等学校 細川 成也選手「目指すは次世代を担うスラッガー」 | 高校野球ドットコム

細川 成也選手(明秀学園日立高等学校)

 夏が終わり、すぐにプロ志望を決断した細川。ドラフトまで、自分の打撃フォームを見つめなおし、そして打撃練習はすべて木製バットで行う。また走り込みやウエイトトレーニング、スクワットといったトレーニングを連日行ってきた。

 夏以降、だんだん調子を上げて、木製バットでも本塁打を打てるレベルに達している。取材日ではロングティーの様子を見せてもらったが、細川はレフト線から打って、バックスクリーン近くまで当たり前のように飛ばし、何球かは、バックスクリーンを超える打球を打った。細川の隣では、大学で野球を続ける同学年の選手が打っていたが、なかなか飛ばせない。当たってもライナー性の打球が中心。細川は放物線を描いて、遠くまで飛ばすのだから、ロングティーを見るだけで天性のスラッガーであることが分かる。181センチ85キロという体格や、太い二の腕、太ももを見てしまうとさらに期待が膨らむ。

 そんな細川に、最後にプロ入りへ向けての目標像を語ってもらった。
「まずはプロで通用する打者になること。そしていずれは日本を代表する4番打者になりたいと思います」

 細川の成長を見守ってきた金沢監督は細川についてこう評した。
「入学当時の彼はまだプロへ行ける選手ではなかったですね。ただ、飛ばす力はあったので化ければすごい選手になるという期待はありました。なかなか化けずに終わってしまう選手が多い中で、彼は見事に化けてくれた。彼の強みは飛距離があり、逆方向にも本塁打が打てることですね」

 細川の長打力については、教え子である坂本勇人選手を凌ぐものがあるという。
「坂本の場合、技術力が優れた選手でヒットの延長が本塁打になる選手でした。細川は、技術は坂本より劣りますが、単純にパワーが凄くて、どこまで飛ばすんだと思わせるぐらいです。パワーに関しては今までの教え子の中でも一番じゃないですか」

 これまで多くの強打者を見てきた金沢監督が評するのだから、細川の将来性に期待したくなるだろう。
「粗削りですけど、本当に飛ばす選手なので、見ている方からすれば楽しい選手であることは間違いありません」

 スラッガータイプは時間はかかるけれども、はまったときの爆発力は脅威だ。細川もこの3年間、指揮官とチームメイトを驚かせる一発を見せてきた。今度は横浜DeNAファンを興奮させるスラッガーになるべく、まずは二軍本拠地・横須賀で腕を磨いていく。

(文=河嶋 宗一

明秀学園日立高等学校 細川 成也選手「目指すは次世代を担うスラッガー」 | 高校野球ドットコム
注目記事
・2016年ドラフト特設ページ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.19

【島根】石見智翠館、三刀屋がコールド発進<春季県大会>

2024.04.20

【香川】高松商が延長10回激戦制しサヨナラ勝ちで19年ぶり優勝<春季大会>

2024.04.20

「夏の甲子園2部制」に強豪校監督から歓迎の声!昨夏、大会初日に8時間現場待機した浦和学院「調整がしやすい」

2024.04.20

【千葉】拓大紅陵、市立船橋がコールド発進<春季県大会>

2024.04.20

【春季神奈川大会】東海大相模の198センチ左腕・藤田 琉生が公式戦初完封!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.15

四国IL・愛媛の羽野紀希が157キロを記録! 昨年は指名漏れを味わった右腕が急成長!

2024.04.17

仙台育英に”強気の”完投勝利したサウスポーに強力ライバル現る! 「心の緩みがあった」秋の悔しさでチーム内競争激化!【野球部訪問・東陵編②】

2024.04.15

【春季和歌山大会】日高が桐蔭に7回コールド勝ち!敗れた桐蔭にも期待の2年生右腕が現る

2024.04.16

【春季埼玉県大会】2回に一挙8得点!川口が浦和麗明をコールドで退けて県大会へ!

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.03.23

【春季東京大会】予選突破48校が出そろう! 都大会初戦で國學院久我山と共栄学園など好カード