Column

3年生座談会 県立船橋芝山高等学校(千葉)「夏まで公式戦0勝…とにかく苦しい日々だった」 ・前編

2016.10.07

 夏の怖さは、秋、春と実績がなかったチームが急浮上することである。今回登場する船橋芝山は秋、春と1勝もできず、練習試合もほとんど勝てず、最後の試合はAシードの千葉黎明にぼろ負けするなど最悪な形で大会に臨んだチームであった。しかしそのチームが西武台千葉松戸国際らを破ってベスト8に進出!その船橋芝山の中心選手5人に新チームからこの夏までの過程を語ってもらった。

前編は夏までのお話から。

登場メンバー
大塚 駿…個性的な選手たちをまとめた主将
真鍋 航輝…昨年から経験豊富のエース 投打の中心
渡部 遥大…冷静なリードで多くの勝利を導く
金城 貴也…打線の中心
諸節 凌平…打線の中心

秋は1点も取れずに負けた

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大塚 駿(県立船橋芝山高等学校)

――2015年夏4回戦専大松戸に惜敗。エース真鍋君、金城君、大塚君が残っていて、新チーム当初、期待度は大きかったと思うのですがどうでしょうか。

真鍋:監督の本多 二郎先生には期待されていたと思うんですけど、1回も勝てずに終わってしまったのは情けないと思いました。

――秋の大会を振り返っていくと、初戦はいきなり習志野でした。

真鍋:僕が序盤に5点を取られてしまいました。思い切り打たれたというわけではなく、四球から崩れて、四球でためた走者を還される嫌な点の取られ方でしたね。

――二次予選我孫子東戦でも0対1でした。この試合についてはどうですか?

真鍋:相手投手が結構良かったので、なかなか打てなかったんです。最終回まで0対0でいっていて、9回裏、僕が満塁のピンチを迎えて、それでサヨナラ打を打たれました。

――2試合とも0点となると打撃が課題なのかなと思いました。

大塚:とにかく課題でしたね。練習試合、公式戦を振り返ると打てていなかったですね。

――どういう課題を持って冬に入ったのでしょうか。

大塚:打撃では、多くヒットは打てないと分かっていたので、四球で少ないチャンスで取れる戦術を求めていきました。

渡部:本多先生から言われていたのは、守れないと勝てないぞ、ということでした。攻撃では、チャンスで1本出せればと思っていました。守りの面では前チームの1学年上の捕手がチームのトップとして引っ張っていて、とても素晴らしい方でした。でも自分となると、相手から見ても舐められる選手だと思いましたね。だから冬の練習で課題として決めたことは、見た目では舐められてしまうので、プレーでは舐められない選手になろうと。だからスローイングを磨いて、盗塁できない捕手だと思わせる雰囲気を出せればよいと思いました。

[page_break:春も負けて、試合後は延々と走った]

真鍋:自分が最終的に打たれて負けていたので、やはり自分が秋以上に上がっていくしかないと思っていました。秋の大会が終わってからケガをしてしまったので、より走り込んできました。

金城:真鍋は周りに失望したと思うし、冬は個人としては先生に言われてきたのは体を大きくなって迫力ある打者になってほしいといわれていたので、それでも夏まで数本しかヒットを打てなくて外される危機感はありました。

諸節:秋の大会は少ないチャンスでものにして凡退にしてしまったので、迫力ある打者になろうと 打撃1本1本を大事にしていきました。

春も負けて、試合後は延々と走った

3年生座談会 県立船橋芝山高等学校(千葉)「夏まで公式戦0勝...とにかく苦しい日々だった」 ・前編 | 高校野球ドットコム

真鍋 航輝(県立船橋芝山高等学校)

――津田沼と戦いましたが、初戦敗退に終わります。この試合について振り返っていただきたいのですが…。

真鍋:試合序盤に3点をとって、5回まで僕がノーヒットに抑えていて、3対0で勝っていました。そこから崩れていって4点を取られて最終的にひっくり返すことができず敗れました。

――6回が始まるまではリード。勝利が見えたと思ったところはあったのでしょうか?

真鍋:チームとして油断があったかなと思いました。

大塚:この試合、新チームがスタートして公式戦では初めて点を取った試合でした。5回まで3点をリードしていて、真鍋も全くヒットを打たれていなくて、勝てるかなという油断があったと思います。それまでヒットが出ていなかったことで内野手は硬くなっていたので、案の定、ミスが続いてしまいって、やばいかなと思っているうちに逆転されてしまった試合でした。

――ここまで、公式戦3試合初戦敗退。春の大会後は、長い時間をかけてミーティングをされたのですか?

大塚:とりあえず走りました(笑)

真鍋:春の大会は[stadium]習志野秋津球場[/stadium]でやっていたのですが、奥にサッカー場がありまして、負けた後延々と走った記憶があります。

[page_break:夏前の練習試合も負けばかり 不安しかなかった]

――そうなんですね…。あとは夏に向かうしかないですよね。チームとしてどうしようかと思いましたか?

大塚:勝ちたい気持ちは自分たちだけではなく、親たちも勝つ姿を見たいと言っていましたし、勝たないと、どれだけ良い試合をしても残るものがありません。だからチームメイトと話し合って決めたのは、とりあえず1勝しよう!1つ勝てば勢いがつくから、目の前の初戦を勝つことを目標にやっていこうと決めていきました。

夏前の練習試合も負けばかり 不安しかなかった

3年生座談会 県立船橋芝山高等学校(千葉)「夏まで公式戦0勝...とにかく苦しい日々だった」 ・前編 | 高校野球ドットコム

渡部 遥大(県立船橋芝山高等学校)

――チームとして足りないところについては、最後の夏に向けて何か始めたことはありましたか?

大塚: いつも僕たちは6時50分~7時くらいから朝練をやっているのですが、この時から夏まで各自で6時から練習するようにしました。

真鍋:1勝できないのは自分のせいだと思っていたので、何が足りないのかと考え、いろいろ取り組んできました。

金城: いや真鍋は打たれて負けたと言いますけど、実際は周りが打てないですし、守れていないのが事実だと思います。自分は上位打線で使ってもらっているのに、全く打てず、本当に申し訳ないと思いでした。

――話を聞くと、夏までかなり不安だったのですね…。

大塚:不安しかなかったです(笑)。そもそもベスト8にいくと思っていなかったです。

真鍋:僕もベスト8に行くとは思っていなかったです。練習試合もほとんど勝てていなかったですしね。勝っても、「打って勝つ」はなかったですね。

大塚:夏前の最後の練習試合の相手が千葉黎明で、ボロボロにやられました。

 ここまでの話を聞くと、本当に勝てるチームなのか?と不安になる方も多いはず。だが今夏、奇跡と思える試合運びが続いていく。後編では夏の大会の模様をお伝えしていきたい。

(取材・写真=河嶋 宗一

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【僕らの熱い夏2016 特設ページ】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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