昭和一学園vs都立紅葉川
紅葉川、暴投で昭和一学園にサヨナラ負け
![昭和一学園vs都立紅葉川 | 高校野球ドットコム](/hb/images/report/tokyo/20160918005/photo01.jpg)
須貝(昭和一学園)
どんよりとした曇り空の下で行われた都立紅葉川と昭和一学園の一戦は、1点を争う好ゲームになったが、幕切れはあっけなかった。
序盤は都立紅葉川の先発・吉本 優太と、1球1球「入った~」など叫びながら投げる昭和一学園の先発・須貝 豪大による、テンポの良い投球で試合が進んだ。しかし、3回途中から雨が強くなりはじめ、試合は一時中断。再開後の4回裏、昭和一学園は、安打2本と四球で無死満塁のチャンスを迎えたが、4番田中 僚は三ゴロの併殺。続く、鶴田 大和の投手強襲の当たりを、都立紅葉川の吉本が処理して、得点を阻む。
すると5回表の都立紅葉川は、この回先頭の6番栗原 翼がライト線への二塁打。7番大島 優斗が送り、8番結城 大輔がバスターから中前安打を放ち、1点を先取。9番鷲見 直紀の右前安打で結城は三塁に進む。ここで鷲見が二盗すると昭和一学園の遊撃手の捕球ミスがあり、さらに1点を追加。都立紅葉川のペースで試合が進んだかにみえた。
ところが6回裏、この回先頭の昭和一学園の1番本橋 陽南太が四球で出ると、都立紅葉川の吉本のボークで二塁に進み、3番樋口哲哉の中前安打で1点を返す。
昭和一学園が6回表から投手を山下武将に交代。山下はストライク先行でペースを作ったが、7回表は、2本の安打と死球で、たった4球で無死満塁のピンチを迎える。しかし、9番鷲見への2球目を、三ゴロの併殺に打ち取り、ピンチを脱する。都立紅葉川の田河 清司監督が、「7回がすべて」と言うように、都立紅葉川にとっては痛い逸機であった。
その裏昭和一学園は、7番森下 晴輝の右中間への二塁打と、途中登板している8番山下のライト線への三塁打で同点に追いつく。こうなると、追い付いた方が精神的に優位に立つ。
9回裏は、この試合2安打の森下から。森下は死球で出ると、9番木内健二の右前安打で一死一、三塁。「カウントが整えば、スクイズも考えてはいました」と昭和一学園の田中 義則監督が言う場面で、1番本橋の2球目がワンバウンドになり、捕手がはじく間に、森下が本塁にヘッドスライディングして、サヨナラ。昭和一学園は本大会出場を決めた。
試合の決着は都立紅葉川のエース・吉本の暴投であったが、5回都立紅葉川が2点先取して、相手のペースになりかけた流れを食い止めた、途中登板の山下の好投が大きかった。「山下は先発でもいいだけの力があります。コントロールが安定しています」と昭和一学園の田中監督は語る。田中監督は、本大会では、「しっかり準備して、まず初戦の壁を破りたい」と抱負を語った。
一方逆転負けをした都立紅葉川の田河監督は、「勝負に対する集中力が足りない」と、不満を語った。今後に向けては、「監督に言われたからではなく、選手自身が自覚して、目的意識を持つこと」と言う田河監督は、「負け方としてはみじめな負け方。この負けをどうプラスにするかです」と、語った。今後のチームの成長を注目したい。
(文=大島裕史)
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