試合レポート

昭和一学園vs都立紅葉川

2016.09.19

紅葉川、暴投で昭和一学園にサヨナラ負け

昭和一学園vs都立紅葉川 | 高校野球ドットコム

須貝(昭和一学園)

 どんよりとした曇り空の下で行われた都立紅葉川昭和一学園の一戦は、1点を争う好ゲームになったが、幕切れはあっけなかった。

 序盤は都立紅葉川の先発・吉本 優太と、1球1球「入った~」など叫びながら投げる昭和一学園の先発・須貝 豪大による、テンポの良い投球で試合が進んだ。しかし、3回途中から雨が強くなりはじめ、試合は一時中断。再開後の4回裏、昭和一学園は、安打2本と四球で無死満塁のチャンスを迎えたが、4番田中 僚は三ゴロの併殺。続く、鶴田 大和の投手強襲の当たりを、都立紅葉川の吉本が処理して、得点を阻む。

 すると5回表の都立紅葉川は、この回先頭の6番栗原 翼がライト線への二塁打。7番大島 優斗が送り、8番結城 大輔がバスターから中前安打を放ち、1点を先取。9番鷲見 直紀の右前安打で結城は三塁に進む。ここで鷲見が二盗すると昭和一学園の遊撃手の捕球ミスがあり、さらに1点を追加。都立紅葉川のペースで試合が進んだかにみえた。

 ところが6回裏、この回先頭の昭和一学園の1番本橋 陽南太が四球で出ると、都立紅葉川の吉本のボークで二塁に進み、3番樋口哲哉の中前安打で1点を返す。

 昭和一学園が6回表から投手を山下武将に交代。山下はストライク先行でペースを作ったが、7回表は、2本の安打と死球で、たった4球で無死満塁のピンチを迎える。しかし、9番鷲見への2球目を、三ゴロの併殺に打ち取り、ピンチを脱する。都立紅葉川の田河 清司監督が、「7回がすべて」と言うように、都立紅葉川にとっては痛い逸機であった。

 その裏昭和一学園は、7番森下 晴輝の右中間への二塁打と、途中登板している8番山下のライト線への三塁打で同点に追いつく。こうなると、追い付いた方が精神的に優位に立つ。

 9回裏は、この試合2安打の森下から。森下は死球で出ると、9番木内健二の右前安打で一死一、三塁。「カウントが整えば、スクイズも考えてはいました」と昭和一学園の田中 義則監督が言う場面で、1番本橋の2球目がワンバウンドになり、捕手がはじく間に、森下が本塁にヘッドスライディングして、サヨナラ。昭和一学園は本大会出場を決めた。

 試合の決着は都立紅葉川のエース・吉本の暴投であったが、5回都立紅葉川が2点先取して、相手のペースになりかけた流れを食い止めた、途中登板の山下の好投が大きかった。「山下は先発でもいいだけの力があります。コントロールが安定しています」と昭和一学園の田中監督は語る。田中監督は、本大会では、「しっかり準備して、まず初戦の壁を破りたい」と抱負を語った。
一方逆転負けをした都立紅葉川の田河監督は、「勝負に対する集中力が足りない」と、不満を語った。今後に向けては、「監督に言われたからではなく、選手自身が自覚して、目的意識を持つこと」と言う田河監督は、「負け方としてはみじめな負け方。この負けをどうプラスにするかです」と、語った。今後のチームの成長を注目したい。

(文=大島裕史

昭和一学園vs都立紅葉川 | 高校野球ドットコム
注目記事
・2016年秋季大会特設ページ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.23

「松坂さんを超える投手になる」偉大な先輩を夢に見る横浜のスーパー1年生が最速147キロを計測!4回5奪三振完全投球で決勝進出に貢献!

2024.07.23

全国トップレベルの投手陣が打ち込まれる…仙台育英、被安打19、8失点で15年ぶりの決勝戦敗退

2024.07.23

横浜がサヨナラ勝ちで決勝進出! 1年生右腕が147キロ計測で4回0封!春王者・武相との激闘制す!

2024.07.23

変則投手にも動じない今年No.1スラッガー・石塚裕惺(花咲徳栄)、知られざるルーティンとは?【24年夏・埼玉大会】

2024.07.23

センバツベスト4の中央学院が8回コールド負け…頼みの投手陣が打ち込まれる

2024.07.20

伊集院の好左腕・新藤、終盤力尽き、鹿児島実に惜敗【24年夏・鹿児島大会】

2024.07.20

枕崎が1時間半遅れの試合でも集中力を発揮!堅守を発揮し、2年連続の8強!【24年夏・鹿児島大会】

2024.07.21

【中国地区ベスト8以上進出校 7・20】米子松蔭が4強、岡山、島根、山口では続々と8強に名乗り、岡山の創志学園は敗退【2024夏の甲子園】

2024.07.20

【夏の逸材123人成績速報】198センチ左腕、世代屈指のスラッガー、大分の県立に現れた150キロ右腕などドラフト候補が大活躍!北海道NO.1左腕がプロ志望を表明

2024.07.21

愛工大名電が今夏3度目のコールド勝ちでV4に前進!長野では甲子園出場37回の名門が敗退【東海・北信越実力校20日の試合結果】

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!