侍ジャパンU-18代表vs中国代表
終わってみれば8対0。投打に内容のある試合に!
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九鬼隆平(秀岳館)
今年の中国はMLBアカデミーや国内の上位リーグでプレーしている選手が多いという。監督も中国野球のレジェンド・王偉。ここまでの試合を見ていると、とても組織力のある野球をしているが、実は監督主導ではなく、試合中の動き、作戦は選手たちに任せているようだ。これは自己判断力、個を重視するMLBの下、やってきたのが大きいと考えられる。この日も日本に食らいつく試合運びを見せていた。
先発の桑洋は制球力が長けた好左腕。120キロ前半のストレートと、スライダー、カーブ、チェンジアップと、日本にはよくいる技巧派左腕。最初は桑洋の慎重な投球に打ちあぐみ、3回まで無得点。
突破口を切り開いたのは4番九鬼隆平(秀岳館)だった。初球を振り抜いた九鬼の打球はレフトスタンドへ消える豪快な本塁打となった。九鬼は「打ったのはインコースより真っ直ぐです。センターから右中間を狙っていたんですけどね。振り抜いたらホームランになっていました」と振り返った。この九鬼の一打は大きく。日本は一死満塁のチャンスを作り、9番佐藤勇基(中京大中京)がスクイズ。小枝守監督は「中国守備陣が無警戒だったこと。さらに佐藤は小技が使えるので、思い切って仕掛けました」とまさに小技の極意である「相手の逆を取る」考えをここで実践した。
この2点でさらに勢いに乗った。台湾に来て打撃の調子が上がっている林中勇輝(敦賀気比)が左中間を破る適時三塁打で5対0。その後も内野ゴロの1点、8回裏には静岡 鈴木将平(静岡)、九鬼の連続適時打で8対0と大きく点差を広げた。
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早川隆久(木更津総合)
投げては寺島成輝が7回まで13奪三振、無安打に抑える投球。決勝進出へ向けて負けられない一戦。寺島を大事な試合ほど意気を感じて投げるタイプだと感じた小枝守監督は、寺島と相談しながら先発を決めた。寺島も投げるつもりだったようだ。キレ味抜群の140キロ前後のストレートが両サイドに決まった。巧打者揃いの中国打線だが、寺島のストレートに対応ができていなかった。
期待通りの投球を見せた寺島の後に投げたのは早川隆久(木更津総合)。早川は甲子園後、肩の不安もあり、なかなか登板できない時期が続いたが、トレーナーと肩の状態を相談しながら、投げるまでの状態に持っていった。この日は下半身の動きを意識した早川は最速144キロのストレートを投げるなど、迫力あるピッチングで中国打線を封じて、左腕投手リレーで2試合連続無安打無得点を達成した。中国のしぶとい試合運びに序盤は苦しんだが、それでも投手陣は自分のピッチングを続け、無安打無得点。そして打線も主力として期待されている九鬼の一発を中心に活気づき、終わってみれば8対0と点差を大きく広げて、内容のある試合だった。
これで決勝進出へ大きく前進した日本代表。次の韓国代表に勝てば、文句なしの決勝進出。韓国も昨日、台湾に敗れたとはいえ力のあるチーム、緊張感のある一戦になることは間違いない。
(文=河嶋宗一)
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