鹿児島実vs樟南
チャンスの時こそ「低い打球」・鹿児島実
![鹿児島実vs樟南 | 高校野球ドットコム](/hb/images/report/kagoshima/20160826002/photo01.jpg)
鹿児島実、4点目に喜ぶナイン
鹿児島実と樟南が史上初となる決勝延長15回再試合を戦ったのはちょうど1カ月前のこと。この秋につながる新チーム最初の公式戦の決勝も鹿児島実、樟南、「宿命のライバル」同士の対戦となった。
両者ともメンバーは大幅に入れ替わったが、まるで1カ月前を彷彿させるような互いにがっぷり四つに組んで、点が入らない重い雰囲気の漂う展開となった。
1回裏、樟南は二死一塁から4番・松崎 仁龍(2年)のヒットエンドランが決まり、ライトからの返球が悪送球になる間に一走・折尾 昂靖主将(2年)が判断良くホームインして先制点を挙げた。
2回以降、両者チャンスは再三作るも、なかなか得点に結びつかなかった。「樟南とやるときはいつもこんな展開になるんですよ」と鹿児島実の宮下 正一監督。互いを宿命のライバルと認め合うがゆえに、つい力が入ってしまい、それが悪い方に出ると空回ってしまう。5回表は二死から3連打で満塁としながら、3番・井戸田 智也主将(2年)が内野フライを打ち上げて得点できなかった。
8回表一死二塁として、4番・西 竜我(1年)に代打・椎葉 崚(1年)を送るも、樟南のエース田中 李毅耶(2年)の気迫の力投に空振り三振。5番・枦山 幸平(2年)のところで樟南はリリーフに右サイドハンドの中原 輝竜(2年)を送った。枦山がピッチャーゴロに打ち取られ、いよいよ樟南がこのまま1点差で寄り切るかと思われた。
後がなくなった鹿児島実だが9回、連続四死球などで一死満塁と最後のチャンスを作ると、1番・古薗 康太(2年)がライト線に走者一掃三塁打を放って試合をひっくり返した。2安打していた古薗だったが、肝心の7回のチャンスに打ち上げて得点できなかっただけに「絶対このチャンスをものにする」と気持ちが入っていた。「チャンスの時こそ、低い打球を打つ」(宮下監督)がチームコンセプト。フルカウントからファールで2球粘り「外角直球に逆らわずにバットをコースに乗せることができた」(古薗)。これでようやく打線に火が付き、2番・仮屋 颯太(2年)、5番・枦山にもタイムリーが出て、一挙5点を挙げて試合をひっくり返した。
チャンスで打ち上げたり、9回のチャンスに2度送りバントが決まらないなど「まだまだ詰めなければならないところがある」(宮下監督)のは当然。ただ「あの場面で古薗がしっかり低い打球で得点できたことは良かった。夏に負けた借りは夏じゃないと返せないけど、新チーム最初の公式戦で良い流れを作ることができた」ことは大きな収穫だった。
(文=政 純一郎)
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