試合レポート

東海大市原望洋vs日大習志野

2016.07.19

制球重視の投球を取り戻した剛腕・島孝明

 今年の千葉大会の最注目投手・島孝明東海大市原望洋)。初登板の試合は、初先発となったが、5回9奪三振無失点の快投を上々のピッチング。島自身、これでほっとしたのではないだろうか。

 大会前、練習試合で島の投球を見た方の感想は「本当に凄かったの?」という声ばかりだった。ボールが速いけど、とにかくボールが荒れる。その荒れ模様に、ナインから「力まず、力まず!」という声が飛んでいたようだ。これはリリーフで、スピード重視になっていた投球が影響していたと思う。あの時は常に150キロ越え、スライダーもキレキレ。確かに凄かった。プロのリリーフピッチャーを見ているかのような凄味があった。だがそこには力業で凌ぐ粗さがあり、良い傾向ではなかった。それが春季大会以降の練習試合では思うようなピッチングができなかったのかもしれない。

 島は先発としてどれだけ安定感あるピッチングができるかが、夏勝ち上がる上でカギとなっていたが、大事な初登板でこれ以上ない結果を残すことができた。先頭打者に安打を打たれたが、捕手の峯尾京吾(3年)が盗塁を試みた走者を刺すと、これで楽になったのか、2番町田 航樹(3年)は126キロのスライダーで空振り三振。3番坂口凌耶には最速145キロのストレートを計測、最後は127キロのスライダーで空振り三振に打ち取る上々の立ち上がり。

 そして1回裏東海大市原望洋が押し出しなど4点を先制し、とどめは1番倉石匠己(3年)が満塁本塁打を放ち、8対0と大きく引き離した。

 これで楽になった島。2回以降は、常時140キロ~145キロ(最速146キロ)のストレート。ストレートを28球計測して、140キロを下回ったのが1球だけという驚異的なスピード能力で日大習志野打線を圧倒。かといって、力で押すわけではない。外角、内角、低めへコントロール良く決める投球。島の良さであるコントロール重視のピッチングができていたのである。

 特に唸らされたのは、4回表、2番町田に対し、アウトローへ145キロのストレートが決まり見逃し三振を奪ったシーン。これは手が出ないだろうと思ったコースへズバリと決まった素晴らしいストレートだった。このコースへのストレートを求めていたのである。春に比べて狙い通りに投げるコマンド能力は格段に良くなった。それができるのもフォームが安定したことが要因に挙げられる。制球力を重視して走者がいなくてもセットポジション。ゆったりと左足を上げて、踏み出した時に左肩をやや下げて、テークバックを高く上げていく動作は、安楽智大を思い出す。そして打者寄りでリリースをすることができていて、球持ちが実に良い。


 そして130キロを超える高速スライダーの切れは健在。この日は左打者の内角へどんどん投げ込み、日大習志野打線はこれに面を喰らって、どん詰まり。木製バットで打ったら、真っ二つになっているだろうと思わせるキレ味があった。あれは1つのウリになると思う。合間で115キロ前後のカーブを投げ込んで、よりストレートを速く見せる工夫ができていた。

 4回裏に3点の援護をもらった島。5回表は0点で抑えればコールド勝ちが決まるということで、だんだんギアを高めていく。まず5番中川 方晴には追い込んでから、高めの145キロストレートで空振り三振。6番藤瀬は外角いっぱいに決まる146キロのストレートで空振り三振。マリンでは、この日、最速の147キロのストレートを計測していたが、スピードはもちろんだが、キレ、球威、ボールの角度ともに最高のストレートだった。そして7番飯田達也は内角へ決まる143キロのストレートで詰まらせ三邪飛。

 無四球、9奪三振とほぼ完ぺきなピッチングで5回無失点。まだ試運転の段階とはいえ、初登板でこれほどの内容は本人にとってもほっとしたことだろう。最初のスタートでどれだけ好スタートが切れるか。それだけ重要な一戦だったが、これ以上ない結果だったといっていい。

 145キロ以上が10球を計測。平均スピードは143.03キロと高校生右腕としてはとても優秀な数字。そして無四球なのだから、非の打ち所がない投球だった。これからも[stadium]QVCマリンフィールド[/stadium]を熱くさせることが期待できそうだ。

(文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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